マツダのコンパクトハッチバック「マツダ3ファストバック」の改良モデルに小川フミオが試乗した。進化した新世代ガソリン・エンジン「スカイアクティブX」の印象は?
国産車では珍しい2.0リッター・クラスのハッチバック
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マツダ3がさらに魅力的になった。「SUV人気の今、ハッチバックで売れるの?」という外野の懸念もなんのその、市街地でハッとするほど目をひくデザインだけに気になる人も多いはず。くわえて、2020年11月の商品改良で、これまでよりパワフルになったモデルが登場した。2021年1月にようやく試乗がかなった、あたらしいマツダ3ファストバックは、いいところがうまく伸ばされた、という印象だ。
乗ったのは、マツダ3の看板エンジンである「スカイアクティブX」搭載モデルだ。燃費とパワーを両立させる独自の技術が満載されたマツダ肝煎りのエンジンである。むずかしいことを書くとキリがないので、簡単にいうと、リッター15kmを超える好燃費と、気持ちよい加速を堪能できることが「売り」だ。
全長4460mmのボディは、現行ゴルフ(4265mm)よりすこし大きい。ハッチバックという車型は、2.0リッタークラスの日本車にはほとんど存在せず、スバルに「インプレッサ」があるぐらいだ。ただしインプレッサはステーションワゴンに近いスタイル。マツダ3ファストバックは独自のポジションである。
「ハッチバックという車型が日本車に少なくなったのは、SUVが人気を集めているからかもしれません。でも“SUVでなくてもいい”、“より軽快なイメージで、かつ駐車場を選ばないクルマがいい”と、考えるユーザーもいらっしゃいます」
今回の商品改良を担当したマツダの谷本智弘主査はそう語る。たしかに、いまの40代以上は、たとえば輸入車ならフォルクスワーゲン「ゴルフ」やアウディ「A3」、それにプジョー「306」といったハッチバックを経験してきた世代といえる。日本車ならそれこそマツダの「ファミリア」に乗っていたという人も少なくないはずだ。
実用域で扱いやすい
マツダ3ファストバックは、車高が低め(SUVに対して)であることが幸いしてSUVよりは重心が低く、乗り心地がよい。ステアリング・ホイールを切ったときの車体の動きもすなおで、ドライバ−が望んだとおりにカーブを曲がっていける。運転して快適で楽しいクルマに仕上がっている。
スカイアクティブXエンジンは、専門用語をつかうと「ガソリンHCCI(予混合圧縮着火)」なる世界初の機構で話題になったエンジンを搭載する。燃費効率化とガソリンエンジンの魅力である回転のなめらかさ(とパワー感)を追求している。そのために、発進時や変速時にトルクを補うための小型モーターや、スーパーチャージャーまでそなえている。
今回の商品改良で、マツダはさらに、エンジン制御プログラムに手をくわえた。よりなめらかにトルクが出て、気持ちよく運転出来るよう目指したそうだ。この結果、パワーユニットの総称として「eスカイアクティブX」というネーミングが与えられた。
従来型と比較すれば、たしかに、実用域での扱いやすさが向上していた。とりわけ、2500rpmから3000rpmあたりの、加速時に大事なエンジン回転領域で力が増しているのだ。アクセルペダルを踏み込んでいくと、たとえのぼり勾配の道でも、力不足感はなく、気持ちがいい。
試乗したのは、今回の改良にあわせて追加された6速MTの前輪駆動モデルだった。従来から設定されていた4WD+6速MTで、この変速機のしっかりしたシフトフィールと、操作しやすいクラッチなどを体験ずみだった私としても、期待を裏切られなかった。
従来の4WD+6速MTでは、2000rpmから3000rpmあたりのトルクがやや細かったので、混んでいる高速道路で積極的に流れに乗って走るには、マメにシフトする必要があった。それもまた楽し、ではあったけれど、今回は高めのギアにいれっぱなしでも、まったく問題なし。シフトの楽しみは、ワインディングロードを走るときのためにとっておくか、という感じだった。
マツダは、下は「マツダ2」から上は「マツダ6」まで、マニュアル変速機を用意してくれている数少ないメーカーだ。私なぞは、こうしてユーザーに幅広い選択肢を与えてくれているという事実ゆえに、マツダはりっぱなライフスタイルブランドだと思っている。
輸入車でもマニュアル変速機が少なくなった昨今、ギアをホールドしてエンジンを上までまわし、加速していく楽しみを与えてくれるのは、おおいに歓迎したいし、そんなドライブの楽しさを知っているひとには、試してもらいたいと思っている。
ライバルは輸入車
もうひとつ、マツダではユニークな試みに、いまチャレンジ中だ。スカイアクティブXエンジンの最高出力が132kW(180ps)から140kW(190ps)へ、最大トルクが224Nmから240Nmへ向上したのは、燃焼制御の見直しによるところが大きく、これはコンピューターで制御されているそうだ。
そこで改良前の車両を所有するユーザー向けに、ソフトウェアプログラムの書き換えサーヴィスの提供を考えているという。これにより改良後と同等の性能を発揮するそうだ。
「いまはまだ認可が下りていないのでなんともいえませんが、もし出来るようになったら、サービス工場でのアップデートを提供したいと思っています」と、主査の谷本氏は語った。
価格は、試乗した「マツダ3ファストバックXプロアクティブ」前輪駆動の319万8148円(6MTも6ATも同一価格)から。日本では、ほとんどライバルがいないので、輸入車に眼を向けるとライバルのハッチバックは多い。ちなみに、マツダ車と輸入車を検討する購買者もけっこういるそうだ。
メルセデス・ベンツ「A180」(367万円)、BMW「118i」(337万円~)、アウディ「A3スポーツバック30TFSI」(330万円)、それにモデルチェンジが予定されているVW「ゴルフTSI」(323万円~)あたりが思い浮かぶ。ルノー「ルーテシア」やフィアット「チンクエチェント」それにアウディ「A1」やVW「ポロ」はサイズ的にひとまわり以上小さい。
マツダ3ファストバックは輸入車と真っ向からぶつかる価格のようであるものの、輸入車は、快適装備がオプションであるケースが多く、マツダ3と同等の装備にすると、さらに高額になる。それに、前席を中心にデザインしたようなスタイリッシュさもかねそなえるマツダ3ファストバックは個性でも負けていない。そして、とりわけマニュアル車の楽しさでは、一頭地を抜いている。
マツダ3ファストバックのような個性的なクルマが、日本車に存在するのはクルマ好きとしてうれしい。
ただ、複雑な機構を持つスカイアクティブXエンジン搭載モデルは価格競争力が弱い(つまり割高に感じる)とするむきもある。エントリーモデルの1.5リッター・ガソリンは約222万円だから、価格差は約100万円だ。モーターやスカイアクティブXエンジンがもたらす上質なフィーリング、燃費性能の良さ(WLTCモード17.4km/L)などメリットはそれなりにある。長く乗れば乗るほど良さを実感出来るはずだ。クルマを長く乗る人にとって、プラス100万円の価値は十分にあると思う。
文・小川フミオ 写真・田村翔
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みんなのコメント
性能も価格ほど大したことなく補機類もたくさん付いててコストダウン出来る要素がない。
こうして必死に記事を書かせて宣伝しているが評価を覆すのは不可能でしょ。
5%程度しか選ばれていないエンジンに余計なコストを投じるよりも他にやることがあるはず。
直6FRの強行といい昨今のマツダの方針は本当におかしい。
でもskyactivX、これはダメ。今時マイルドとは言えHV付きで「リッター15kmを超える好燃費」なんて他メーカーの記事なら絶対言わない。
過給機も付いてるのに、スポーツエンジンとして訴求できるほどの性能があるわけでもない。なのに自動車メディアでは、ドライバビリティが~加速感が~と口を揃えてスポーティさを強調する。
極めつけは、普通の2Lエンジンより100kg近く重いX仕様車の車重。普通だったらこれだけでもハンドリングについてあること無いことボロクソ書かれてもおかしくないのに、ここに言及してる記事は全然無い。
あらゆる自動車メディアがなんとか誉めよう誉めようと記事を書いてるのがよく分かる。
マツダさん、お金の使い方間違えてるよ?