■新開発「ロータリーEV」システムに期待大!
同社のグローバル販売台数の3分の1を占めるなど、マツダにとって重要なモデルであるミドルクラスSUV「CX-5」は、毎年のように商品改良がおこなわれ、新鮮さを保ち続けています。
しかし現行モデルは、2017年2月に登場してから7年が経過しており、そろそろ次期型の登場に期待したいところ。現時点で分かっている情報を元に、次期CX-5について予想してみましょう。
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マツダが次期CX-5について触れたのは、2024年3月期決算発表会でのこと。
マツダによると、電動化事業部(e-Mazda)を発足し、電動化事業へのリソースシフトを加速していくこと、マツダ初のBEV専用プラットフォームのBEVを2027年に導入すること、そして2024年後半にはCX-50にハイブリッドモデルを追加することなどを明らかにしました。
そして次期CX-5にもマツダ製のハイブリッドを搭載する計画を公開しています。
ここでいうハイブリッドとは、既存のマツダ車に搭載されるマイルドハイブリッドではなく、いわゆるストロングハイブリッドのことでしょう。
マツダには、ラージ商品群向けのPHEVシステム(「CX-60」に搭載)と、スモール商品群向けのロータリーエンジン発電のPHEV(「MX-30」に搭載)の2つの電動パワートレインがありますが、これまで“ストロングハイブリッド”はもっていませんでした。
ところが2023年11月、中国市場向けにトヨタ製の2.5リッターエンジン+モーターを搭載した「CX-50 ハイブリッド」が登場。長安マツダのホームページを見ると、CX-50 ハイブリッドのエンジンスペックは、トヨタ「RAV4 ハイブリッド」や「ハリアー ハイブリッド」などに搭載の2.5リッターハイブリッドとまったく同じでした。
車両をOEMしてもらうのではなく、パワートレインのみを譲り受け、自社のCX-50に組み込んで販売する戦略としたようです。
北米向けCX-50も2024年後半にハイブリッドを発売するとのこと。マツダはトヨタと資本提携をしているため、ハイブリッドユニットのやり取りが可能だったのでしょう。
当然、次期CX-5にも同様にトヨタ製ハイブリッドが搭載されることが予想できますが、マツダは決算発表の中で、あえて「マツダ製のハイブリッド」と表現しており、そこには何らかの目論見があるはず、と筆者(自動車ジャーナリスト 吉川 賢一)は考えていました。
そうした折の2024年5月28日、トヨタ・スバル・マツダの3社が、マルチパスウェイワークショップと銘打ち、カーボンニュートラル実現に向けた電動化時代の新たなエンジン開発を三者三様で行っていくと発表。
マツダはそのなかで、新しいシングルロータリーおよび2ロータリーエンジンのコンセプトユニットを初公開しましたが、驚いたことに、そのうちシングルロータリーのコンセプトユニットには、なんとトヨタのハイブリッドシステム「THS」が組み合わされていたのです。
THSは、エンジン停止状態のモーター駆動とエンジン直結駆動の両方が切り替え可能な「シリーズパラレル式ハイブリッド」ですので、MX-30に搭載したロータリーエンジン発電のPHEV(シリーズ式ハイブリッド)とはベツモノです。
エンジンはマツダ製、電動トランスミッションはトヨタ製という組み合わせとなっているならば、「マツダ製のハイブリッド」といっても過言ではなく、おそらくこの新ロータリーエンジンハイブリッドが次期CX-5に搭載されるのではないでしょうか。
※ ※ ※
ただ、ロータリーエンジンには、「エミッション」(排出ガス)と「燃費」という2つの課題があります。
マツダは、ロータリー特有課題は継続検討しながら、自社のユニークポイントであるロータリーエンジンの活用の道を模索していくようです。
またマツダによると、ロータリーエンジンは燃料の雑食性がある(通常の直列配置エンジンよりも様々なカーボンニュートラル燃料に対応させやすい)そうで、カーボンニュートラル燃料との相性も検討しているはずです。
コンセプトユニットが登場したことで、一気に期待が高まったロータリーハイブリッド。
次期CX-5のデビューは、早くとも2026年になるものと筆者は予測していますが、人気車であるCX-5に待望のストロングハイブリッドが登場、しかもロータリーエンジン搭載ともなれば、国内外問わず、大いに話題となることでしょう。
マツダの動向には引き続き注目していきたいです。
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