第46回東京モーターショー2019のホンダブースにおいて、もっとも注目すべき車両はなんといっても新型「フィット」でしょう。フルモデルチェンジを実施し、4代目となった“次期型フィット”がモーターショー会場で世界初公開されました。発売は2020年2月の予定といいます。
新型フィットは、おもにどのような点が進化しているのでしょうか。
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まず、驚いたのはデザインです。現在発売しているモデル(3代目)とはイメージが大幅に変わりました。現行モデルは、エッジを利かせたシャープなデザインです。立派さや力強さを感じさせる意匠といえるでしょう。いっぽうで新型は、丸みを帯びた優しいデザイン。「人に寄り添う」という新型フィットのコンセプトを具現化したデザインといえそうです。
そして注目が、Aピラーです。信じられないほど細いのです。開発者に聞いたところ、「ピラーが前方視界の邪魔をしない、心地よい視界を作りたかった」といいます。その細さは、外観よりも、実際にフロントシートに座ってフロントウインドウ越しに外を見るときのほうがより実感できます。
筆者(工藤貴宏)も実際に展示車へ乗り込んでみて驚きました。まるで小田急ロマンスカーの先頭車両のように視界が広がる、これまでクルマで見たことがないようなパノラマなのです。交差点などで、斜め前方の歩行者がピラーの死角にならないという安全上のメリットもかなり大きいでしょう。開発者によるとなんと「Aピラーは窓を固定しているに過ぎない」とのことでした。
Aピラーが細いことで気になるのは衝突時の安全性ですが、その秘密となるのが新しい衝撃吸収構造。衝撃をAピラーではなくAピラーの後方(ドアの前)にある柱で受け止めることで、Aピラーを極限まで細くすることが可能になったそうです。
■トヨタ新型「ヤリス」との直接対決となるか?
新型フィットを実車確認してもうひとつ驚いたことがありました。
新型フィットには安全運転支援システム「ホンダセンシング」が搭載されていますが、ホンダのどのクルマよりも高機能の最新版を組み合わせています。その機能のひとつとして、ACC(アダプティブクルーズコントロール)には、渋滞時の完全停止に加えて停止保持機能が盛り込まれていました。じつは、その機能が組み込まれている国産Bセグメントのコンパクトカーはフィットがはじめてなのです。
マツダ「マツダ2」は、先日のマイナーチェンジで機能向上がはかられて完全停止まではおこないますが、停止保持はしません。またトヨタがヴィッツの後継車として発表した新型「ヤリス」も、クルーズコントロールは停止保持には対応していません(低速域では作動がキャンセルされる)。そんな装備の採用からも、新型フィットに対するホンダの本気度がうかがえます。
ちなみに、現行型や先代のフィットは、海外市場の意見を多く取り入れて、世界基準のコンパクトカーを目指しました。しかし新型フィットは考え方を変えて「コンパクトカーを見る目が厳しい日本のユーザーを満足させることを第一に考えてつくり、日本におけるベストなコンパクトカーを世界へ広く発信する」と開発者はいいます。
フィットとヤリスという、注目の2モデルがほぼ同じタイミングでフルモデルチェンジを迎えることで、2020年春に火蓋を切るであろうガチンコ対決が実に興味深いです。
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