低走行ワンオーナーだと、その価値は5億円前後
バブル期の日本を熱狂させたフェラーリ「F40」。“20世紀最高のスーパーカー”とも称されるこの名車の中でも、わずか100台ほどしか生産されなかったとされる初期のライトウェイトバージョン。その希少な1台を所有するオーナーを取材しました。
【画像】一度は乗ってみたい憧れのスーパーカーが日本に!? 極上のフェラーリ「F40ライトウェイト」を写真で見る(51枚)
フェラーリは記念すべきタイミングで周年事業を展開し、クルマ好きが“スペチアーレ”と呼ぶ特別な限定生産モデルを定期的にリリースしています。
創立80周年を祝うスペチアーレ・フェラーリとして2024年に公開されたのが「F80」で、4作目の「エンツォ・フェラーリ」、5作目の「ラ フェラーリ/ラ フェラ—リ・アペルタ(ロードスター)」では採用されなかった巨大なリアウイングが復活しました。
巨大なリアウイングを持つスペチアーレ・フェラーリといえば2作目のF40と3作目の「F50」が有名ですが、F80のフロントホイールアーチ後端にある垂直のパネルはF40のビジュアル要素にオマージュを捧げているものだとアナウンスされており、F80のデザインには、もはや神格化された存在であるF40を想起した人が一定数いました。
後継モデルであるF50と同じように3ペダルのマニュアルトランスミッション仕様だったF40は現在もカーマニア垂涎の一台となっており、低走行のワンオーナー車だと5億円前後という驚愕のプライスで流通しています。その狂気に満ちた走行フィーリングさえも魅力のひとつとなっているF40は、今後も高値で取り引きされ続けるでしょう。
同時期に登場し、ライバルとなったポルシェ「959」とは異なる古典的なアプローチでの性能追求がなされたF40は、一切の無駄を排したスパルタンなクルマであったがゆえに、いまでも熱心なファンを獲得しています。
そして、フェラーリ社の創業者であるエンツォ・フェラーリの生涯最後の作品となったこともステータスを高める要因のひとつになっているといえるでしょう。
創立40周年にあたる1987年に発表されたF40は、エンツォが陣頭指揮をとり、最高の英知と技術を余すことなく投入して製作されましたが、その概略は1984年にデビューしたフェラーリ「288 GTO」の進化版というものでした。
ポルシェ959がそうであったように、288 GTOもグループBホモロゲーション取得のために開発されたものの、結局レースシーンにおける活躍の場が与えられず、ロードゴーイングGTモデルとしてのみ販売されたといわれてきましたが、これには諸説あり、ここ最近グループBの概念は開発時に一切なかったという見解も散見されるようになってきました。
1984年から1987年にかけて272台が生産されたのみで役割を終えた288GTOをベースとし、フェラーリから指示されたGTカー開発パートナーでありセミワークス的存在でもあったミケロット社が「288GTOエボルツィオーネ」を6台生産しましたが、このクルマのコンセプトがF40へと発展しました。
フェラーリは、そのままレースに出場できそうなコンペティツィオーネ的モデルを公道向けのストラダーレとして販売することを創業当初から実践してきましたが、記念すべき40周年というタイミングにも原点に回帰することを決意。究極のスーパースポーツカーとして開発した288GTOエボルツィオーネをF40へと昇華させました。
「288 GTO」から「F40ライトウェイト」に
こうして誕生したF40は、直接的なルーツとなるモデルの製作にミケロットが携わり、開発時にル・マン24時間耐久レースへの参戦も画策してLM(ル・マン)とも称されていたこともあり、デビュー当初から戦うためのクルマであるというオーラや血統を、見る者、乗る者に強く意識させました。
F40が288GTO/288GTOエボルツィオーネから発展したということは、「308/328」シリーズがそのオリジンだったといえ、実際にF40も車体の基本構造としてフェラーリ伝統の鋼管スペースフレームを採用していました。
本稿の最初のほうでF40はスパルタンなモデルだったと書きましたが、それと同時にクラシカルなスーパーカーだったともいえ、ドライバーズシートに座ることを許され、最高出力478馬力を発生するドッカンターボエンジンのパワーを味わったすべての者が危うさを感じ、それが最大の魅力となったわけです。
今回快くF40を撮影させてくれたSさん(76歳)の愛車は、1988年から1989年という初期にのみに生産された大変稀少なライトウェイト仕様で、ノンキャタライザーエンジン、スライド式アクリル製サイドウィンドウ、内張り無しドアなどが特徴です。
F40の総生産台数は1311台と公表されていますが、ライトウェイト仕様はわずか100台程度しかデリバリーされなかったといわれており、良質だと標準仕様ですら5億円前後なので、まだ1万8000kmしか走っていないSさんの愛車(まさに奇跡の1台)は5億円オーバーという価値になるのかもしれません。
運転支援システムの類いが一切装着されていないF40の室内はレーシングカー並みにシンプルで、この運転席がドライバーを虜にしてきました。ヘッドライトはリトラクタブル方式で、固定式ガラス内にウインカーと補助ランプが納まっています。車体の右側にだけ“F40”という車名が刻まれたリアウイングも、長きにわたってファンを魅了し続けてきたディテールのひとつです。
リクライニング機能を持たないシートはケブラー一体成形のフルバケットタイプで、新車オーダー時に、S・M・Lの中から選択できました。
レオナルド・フィオラヴァンティ氏がデザインしたボディはコンポジット素材を主体としたもので、パワーユニットを外部から確認できるようにするなど、心憎い演出が光っています。
エンジンはF120A型と呼ばれる総排気量2936ccの水冷V型8気筒DOHC32バルブにIHI製のツインターボチャージャーを搭載します。フロントカウル内にはスペアタイヤを収めるためのスペースが存在し、ラジエターには2基の電動ファンが備わっています。
オーナーのSさんは、50歳ぐらいのときに288 GTOを購入し、長きにわたって愛用してきましたが、2023年3月にライトウェイト仕様のF40を迎え入れ、288 GTOを下取りに出しました。
全身にレーシングDNAを備えたF40のパフォーマンスは凄まじく、最高速度が324km/hです。0-100km/h加速タイムは4.1秒、0-400m加速タイムが11.9秒、0-1000m加速タイムが20.9秒だと発表されています。
スペチアーレ・フェラーリに乗りなれているオーナーのもとに来たライトウェイト仕様のF40は、ベストコンディションを保ちつつ、時おりトップレベルのパフォーマンスを発揮しながらしっかり動かされ、幸せな日々を過ごすことになるでしょう。
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みんなのコメント
軽量版)そもそもが危ないから乗らない方がいい
この手の車って足にするわけじゃないから数千kmしか乗ってない車両とかも多いでしょ