妖艶な美しさを放つディーノ。このクルマのヒストリーは、あまりに有名であるがゆえに改めて事細かに書く必要もないだろう。また、スペックを並べてみたり、インプレッション記事を書くこと自体が野暮な行為のようにも思えてくる。そうだとは知りつつも、今回はこれまでと趣向を変えて、ディーノ206GT(以下、206GT)にスポットをあてつつ、ディーノ246GT(以下、246GT)との相違点を解りやすく解説してみることにした。
大人になってから気づく「ディーノの魅力」
旧車のレストアについて考える[part1:どこからがレストアにあたるのか?]
幼少期にスーパーカーブームを経験した著者、当時はランボルギーニ カウンタックやイオタ、フェラーリBB,ランチア・ストラトス…などなど、やはり派手目のクルマが好きだった(カウンタックは当然のことながらウイングのついたタイプね。やはり見た目にも迫力ある方が好きだったのかな?)。子どもながらに胸をときめかせて写真を眺めていた。
ところが大人になるにつれて「カウンタックは何が何でもLP400!」と、初期の無駄がなく、シャープなデザインが好きになり、子どものころにはあまり興味のなかったミウラにも惚れ惚れするようになり、そしてディーノの美しさに見るにつれてため息が出るようになっていった。
上京したばかりの頃、走っているディーノを初めて見たときは、バイクでしばらく追いかけた記憶がある。ずっと眺めていても飽きないほどに完成されたデザインは、子どもの頃はそこまで傾倒しなかったのか、今となっては不思議でしかたがない。
そんなディーノであるが、一般的に知られている「246GT」以外にも、2Lエンジンを搭載する「206GT」があるのをご存知だろうか?
「206GT」は、ホモロゲーション取得用に生産され、152台しか作られていない「超」がつくほどの希少車なのである。
幸運なことに、筆者のまわりには何人かのディーノオーナーがいる。さらにそのなかには、希少な206GTのオーナーもいるので、色々と話しを聞く機会も多い。せっかくなので、206GTと246GTの違いを写真とともにその違いを見ていこう。
なお、246GTの初期型(ティーポL)は、206GTとほぼ同じ仕様で、エンジンの排気量は2418cc、生産台数は357台…といったクルマも存在するため、すべてにおいて確実な相違点と言えないことを先に記しておきたい。
[解説]ディーノ206GTと246GTの違いとは?
■基本スペック(以下、写真はすべてイエローが206GTでレッドが246GT)
206GTのエンジンはV型6気筒1987cc。アルミ鋳造のエンジンで、最高出力は185馬力(あくまで公表?)、ボディーもハンドメイドのアルミ製となっている。
一方、246GTは同じV6でもエンジンは2418ccまでスープアップされ、最高出力は195馬力まで引きあげられている。
ここでおそらく「え?10馬力しかアップしていないの?」と思う読者がいるだろう。もしかしたら、この公表は案外正確なのかもしれない。なお、246GTのエンジンは鋳鉄ブロックに、ボディーは鉄製へと変更されている。
筆者は206GTと246GT、いずれの助手席にも乗せてもらったことがあるが、206GTは高回転までキッチリとエンジンを回して楽しめる印象だ。さらに車体の軽さも相まって、まるでレーシングカーのような味付けとでも言うべきなのであろうか…。一方、246GTは重量の増加を感じさせず、低速トルクがしっかりしていて乗りやすい印象だった。特に、コーナーリング性能に関しては(筆者のあまり豊富でない経験のなかではあるが)ロータス・ヨーロッパを唯一上回るのではないかと感じるほどであった。
ディーノ 206GTとディーノ 246GTの細かな相違点とは?
今回は写真で比較しながら、見た目の違いを見ていこう。当然ながら一番わかりやすいのはナンバープレートだ。5ナンバーであれば206GT、3ナンバーであれば246GTである。確実に見分けられる分かりやすい方法といえるだろう。
ディーノ 206GTとディーノ 246GTをホイールで見分ける
車両の見た目で、もっともわかりやすいのはホイールだ。206GTはセンターロック、246GTは5穴のホイールだ。
ただ、これに関しては初期の246GT(ティーポ L)にも見られるように、センターロック仕様の個体が存在する。これは海外の話だが、206GTの事故車を「起こ(再生)した」際、センターロックの部品が見当たらず、やむなく5穴に変更して、現在に至るまで部品を探しているオーナーもいるようだ。
他にも、あえてセンターロックに変更している246GTも存在するようで、一概に確実な見分け方とは言えないのかもしれない。
ディーノ 206GTとディーノ 246GTの給油口およびエンジンフード、ドアキーの相違点とは?
206GTと246GTの決定的にわかりやすい相違点といえば「給油口」「エンジンフード」「ドアキー」だろう。206GTは給油キャップが剥き出しのタイプなのに対して、246GTは給油口に蓋がついている。また、エンジンの熱を排出する排出口の数が206GTは6×2に対して、246GTは7×2と数が増えている。さらに、ドアキーの位置が206GTはエアインテークの内側にあるのに対して、246GTは外の下側に位置している。
いずれも、走っているときに発見した際に見分けるのは至難の業ではあるが…。
ディーノ 206GTとディーノ 246GTのフロントまわり
フロントから見ると、両車にはほとんど相違点が見当たらない。
ルームミラーが違うかな?と思ったら、オーナーいわく「ディーノにはルームミラーがないので、後からつけたんです」とのことであった。…ということで、前から見た場合に見分けるのは至難の業かもしれない。
*筆者注:246GT最終型のティーポEのみフロントのバンパーの形状が異なる。グリルに回り込んでいないのが分かるはずだ
ディーノ 206GTとディーノ 246GTをリアテール側から見た相違点
206GTと246GTではバンパーの薄さが異なる。206GTの方が薄く、ナンバー灯が埋め込まれている。
また、バックランプは、206GTがバンパー下部分に左右対称に2個つくのに対して、246GTはセンター下に1個へと変更されている。写真では解りづらいがマフラーの排気口も246GTの方が細い。
一方で、246GTはホイールベースが60mm長くなっている。その結果、屋根から流れるルーフのフィンが延長された分、リアエンドまで流れずに途中までで終わっている。
さらに、トランクオープナーが室内に変更され、キーで開けるボタンからノブのような形へと変更されている。それに伴い、ナンバー灯の位置も変更されている。
ディーノ 206GTとディーノ 246GTの室内の相違点
室内で特に変更があった部分はヒーターのコントロールスイッチ系だ。
206GTではコンソール部分に位置していたスイッチ類が、246GTではダッシュボード右側へと移されている。
またボンネットオープナーやペダルのオフセットなど細かな変更も行われている。
最後に
今回は、調べてもなかなか詳細が見つからない206GTと246GTの細かな相違点をマニアックに解説してみた。
ディーノの美しさに魅せられたファンは数多く存在するので、熱心なマニアにとっては今さら…と思う項目があるだろう。ディーノに対する思い入れは人それぞれだろうが、間違い探しのように、写真を隅々まで眺めながら相違点を見比べてみること自体が楽しい行為だし、思わぬ発見や気づきがあるかもしれない。
なぜ、旧いクルマのデザインは秀逸なのか?過去の記事はこちら
なぜ、旧いクルマのデザインは秀逸なのか?[part1:ヘッドライト編]
なぜ、旧いクルマのデザインは秀逸なのか?[part2:テールデザイン編]
なぜ、旧いクルマのデザインは秀逸なのか?[part3:クーペ編]
[ライター・撮影/ユダ会長]
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みんなのコメント
正にこの部分に同意する方が多いのではと、最近の『ミウラ』に対するコメントを見るたび思う。
そう、あのスーパーカーブームの真っ只中にあって、子供の人気を2分したのは『カウンタック』と『BB』であり、セカンドグループに『イオタ』が入るぐらいで、『ミウラ』はもう少し下のグループだったはずだ。
結局、「盆栽」だって子供の頃は何が良いのか分からなかったが、今はその良さが少しは理解できるようになったし(と言うか世界的なブームだけど…)、一つ言えるのは、大人になるって、派手なうわべに惑わされることなく物事の本質が見えるようになることなんだろうな。