新型ブロンコ、見た目がワイルド
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】待ち構える2台 ブロンコと競合するか?【比べる】 全129枚
「なんで、そこまでワイルドにする必要があるのか?」
フォード新型「ブロンコ」の世界発表となったオフィシャル動画を見て、ユーザーのみならず自動車業界関係者の多くが唸った。
まず驚いたのが、ドアなし状態での走行シーン。
事前に公開された画像でも、ドアなし状態のシルエットが映ってはいたが、実車動画はかなりの迫力を感じた。
開発中のテスト車なのかも思いきや、量産車でも「フレームレスドアで取り外し可能」というではないか。
通常のクルマではサイドミラーはドア側に装着されているが、ドアを外すことを前提としてるブロンコはサイドミラーの取り付け位置が車体側にある。
ルーフについても、スライド式のソフトトップではなく、単純な脱着式。
ドアなどを、製造現場では一般的に「ふたモノ」と呼ぶが、ルーフまで分割のふたモノとして、それらを一気にリアラゲッジスペースに詰め込んでしまう。
こうなると、もうクルマというより、大きなオモチャに見えてくる。
インテリアにも驚いた。
高級感を出すことは理解できるが、ダッシュボードがいたってシンプルな造形。そこに、12インチモニターがドカンと組み込まれ、なんともワイルドな印象だ。
こうした特長的な内外装は単なるエンタメではない。なにせ、走りが驚きだ。
戦闘力あるブロンコのオフロード性能
走りについては、「バハのトロフィートラックで培った技術」という説明がある。
バハとは、米西海岸カリフォルニア州サンディエゴからメキシコ国境を越えた先にある、バハカリフォルニアと呼ばれる荒地が広がる半島で行われるオフロードレース。
筆者(桃田健史)は2000年の記念大会で、米国三菱自動車ワークスチームの運営統括ディレクターを務めた経験がある。
当時のパリダカールラリーで使用した車両を、フランスからアメリカに輸送し、アメリカ国内でバハ仕様に大幅改造した。
キーポイントとなるのは、サスペンショントラベル(サスの作業量)だ。ババは路面の凹凸が極めて大きく、さらに高速走行するケースが多い。
そのバハレースでのトップカテゴリーがトロフィートラック。なかでもフォードワークスマシンは、月面走行をイメージする「ムーンウォーク」と称されるほど、サスペンショントラベルが豊富で、当時でも優れた操安性を誇っていた。
そうしたフォードのオフロード走行ノウハウを、最新技術を織り交ぜながら、誰もが驚きの走りを体験できてしまう。
この領域はこれまで「F150ラプター」が担ってきたが、それを車体としてはワンクラスダウンの「レンジャー」ベースで仕上げたのが新型ブロンコである。
尖る理由とは、単なるモデルではなく
では、フォードはなぜ、ブロンコをここまで尖った商品として仕上る必要があったのか?
背景にあるのは、SUV市場の成熟だ。
時代を振り返ってみると、初代ブロンコが登場した、いまから55年前の1965年。フォードはいまになって、初代ブロンコを「アメリカ初のSUV」と呼ぶ。
むろん、当時のユーザーにはSUVというカテゴリーの認識はなく、ブロンコはジープの対抗馬という位置付けだった。
それが90年代になり、アメリカでのSUVブームの前兆が見え始めると、ブロンコは単なるF150の2ドアSUVという中途半端な存在となってしまい、市場の中で埋もれた。
それから24年が経ち、SUV超激戦区となったいま、ブロンコを復活させるため、フォードとして戦略の中で2つの柱を立てる必要があったに違いない。
1つは、前述のように、徹底して目立つこと。見た目も、パッケージングも、そして走りもジープ「ラングラー」や、ランドローバー「ディフェンダー」と同じフィールドではないようなイメージの、異質感を具現化することが必然だったはずだ。
そのためにも、もう一本の柱として、ブロンコを単なるモデル(車種)ではなく、フォードとして新たなるブランド化する必要があった。
日本にブロンコブランド上陸、あり?
フォードのブランドというと、フォードと、ラグジュアリーブランドとしてのリンカーンがある。
2000年代までは、ラグジュアリー系ブランドのマーキュリーがあったが、時流に合わずに廃止された。
また、フォードのブランド戦略というと、99年から08年まで続いたPAG(プレミアム・オートモーティブ・グループ)がある。
アストン マーティン、ジャガー、ランドローバー、ボルボという、いま思えばなんとも贅沢なラインアップを総取りしていた。さらに、マツダの大株主でもあった。
結局、そうしたブランドを切り売りしながら、フォードは経営を立て直しつつ、新たなるブランド創設を虎視眈々と狙っていた。
そして目をつけたのが、オフローダーSUVという分野だ。
日本市場でも明白なように、ジープブランドが世界的に安定して成長していることが、ブロンドブランド化の最大の要因である。
ブロンコはフォードにとって、世界戦略車の主力になり得る。
つまり、日本市場においても、フォード再上陸ではなく、ブロンコブランドとしてまったく新しい事業体として日本販売が始まっても不思議ではないと思う。
並行輸入ではなく、フォードのアジア戦略の一環として。
さて、ジープ、ディフェンダー、そしてブロンコと揃うとなると、品定めに苦労するユーザーが増えそうだ。
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みんなのコメント
日本で買うとなると価格はどれも同じくらいでしょうかね。
オフロードの走りの面で見ると唯一独立懸架ではないラングラーが優位な気がします。
ディフェンダーはモノコック&独立懸架ですから、もはや乗用車のような気がしますが、日本で使う分には十分でしょう。
デザインはブロンコが好きです。
ドアやルーフもラングラーに比べての着脱のしやすさをアピールしていたり、28500米ドル(〜300万円)からの価格もラングラーをはっきり意識したものかと。
アメリカではラングラーが本格クロカンの絶対王者(かつ敵がなく少々慢心気味)なので、正しい選択かと思います。
個人的にはオフロードを想定したシースルーのサイドドアがとても気になります。実用性はわかりませんが、遊び心があってとてもいいですね。