ベストカーWeb読者にはスピードリミッターがクルマに装備されていることを知っている人も多いはず。しかし、これはどのような目的を持った機能なのだろうか? 今回はスピードリミッターの秘密を探る!
文/長谷川 敦、 写真/スバル、トヨタ、日産、ボルボ、ホンダ、メルセデスベンツ、写真AC、Adobe Stock、アイキャッチ画像/alswart@Adobe Stock
「スピードリミッター」って外しちゃっていいの!? もし外したらどうなる?
■スピードリミッター搭載の理由とは?
スピードリミッターが作動すると、アクセルペダルを目いっぱい踏み込んでもクルマはそれ以上加速しない。通常、国産普通車のリミッターは180km/hで作動する(Asawin@Adobe Stock)
スピードリミッターとは、その名称どおりにスピードに制限をかけるものだ。クルマの場合、例えばスピードリミッターが180km/hに設定されていると、走行スピードが設定値に達した段階でリミッターが働き、それ以上の速度が出せないようになる。
この機能が搭載されているのは第一に安全のため。当然ながらスピードが上がるほど事故が起きる可能性が高くなり、また、事故になってしまった場合のダメージも重大なものとなる。
実際にスピードを制御する方法だが、センサーで速度を感知し、設定値に達すると電子的にスロットル開度を下げる、あるいはターボの過給圧を低下させるなど。これは車種によっても異なる。
かつては燃料供給をカットするなどの方法も行われていたが、現在ではもう少々高度な制御を行ってドライバーにリミッター作動によるショックを感じさせないようになっている。
実は、このスピードリミッター搭載は法律で義務付けられているというわけではない。トラックなどの大型にはスピードリミッター搭載の義務があり、これは90km/hとなっている。しかし、一般的な乗用車に搭載されるスピードリミッターは、基本的に自動車メーカーの自主規制だ。
そのため、一部の国産車にはスピードリミッターが搭載されていないケースもあり、これは輸入車でも同様。つまり、各自動車メーカーは安全性を重視して自社のクルマにスピードリミッターを搭載しているということ。
■スピードリミッターの解除は合法か? そしてなぜ解除が必要なのか?
スピードリミッターの搭載が法律によるものではないことはわかった。となると、ユーザー側でスピードリミッターを解除しても違法にはならないのか?
答えはイエス。スピードリミッターはあくまでメーカー側が自主的に搭載している機能であり、これを解除しても法律違反に問われることはない。ただし、搭載が義務付けられている大型トラックのスピードリミッターを解除すると違法になる。
現在の国産車に搭載されるスピードリミッターは、速度が180km/hに達した時に作動するよう設定されている。日本国内での法定最高速度は120km/hのため、通常の走行であればこれを解除する必要はない。
しかし、後述するようにリミッターを解除する手段はあり、実際にそれを行っているユーザーもいる。その目的はサーキット走行のため。
レースが行われるサーキットは、何もレーシングカー専用の施設ではない。むしろ、スポーツ走行の時間帯に、日ごろ公道を走らせているクルマを持ち込んでサーキット走行を楽しむ人が多い。そして当然ながら、特殊な状況を除いてサーキットに速度制限はなく、クルマが持つ能力を存分に発揮できる。
だが、サーキットの長い直線区間でスピードリミッターが作動すると、それが足かせになってしまう。そこで事前にリミッターを解除しておけば、高速走行を存分に楽しむことができるというわけ。
■スピードリミッター解除の方法
スピードリミッターはECUのプログラム変更で解除することができる(※写真はイメージ)。しかし、一部車種ではこの作業を行えないものもある(structuresxx@Adobe Stock)
では、どんな手段でスピードリミッターを解除するのか? それには以下のふたつの方法がある。
■後付けユニットの装着
最初に紹介するのは、クルマのアフターパーツメーカーが販売するリミッター解除ユニットを装着するというもの。チューニングパーツなどをラインナップするアフターパーツメーカーでは各車に対応するユニットを販売していて、これを装着すればリミッターを解除できる。
具体的な解除方法は機種によっても異なるが、一般的な後付けユニットはECU(エンジンコントロールユニット)に送られるリミッター信号を変更してリミットを解除する。
この後付けユニットによるリミッター解除は比較的簡単に行えるのがメリットで、ユニットの価格は安価なものなら1万円程度。さらに高価なユニットも存在している。
■ECUのプログラム書き換え
クルマのスピードリミッターはECUのプログラムとして搭載されている。そこでこのプログラムを書き換え、リミッターが作動しないようにする方法もある。当然ながらこのプログラム書き換えは専門業者に依頼する必要があり、チューニングショップなどでこのサービスを実施している。
プログラム書き換えのメリットは、余計なユニットを装着しなくても解除が行えること。デメリットはプロによる作業が必要なことで、手軽さという点では後付けユニットに軍配が上がる。
ただし、車種によってはプログラムの書き換えが不可なケースもあり、その場合は後付けユニットに頼ることになる。
プログラム書き換えの費用はショップや車種で異なるが、おおむね5万~20万円ほど。プログラム書き換えと後付けユニットのどちらでもリミッター解除が可能な場合は予算で決めるのもよいだろう。
■世界のスピードリミッター事情
最後は日本を含む世界のスピードリミッター事情を見ていこう。
スピードリミッター搭載は世界各国で共通の自主規制ではなく、この機能を搭載していないモデルも多い。つまり、普通自動車は180km/h、軽自動車で140km/hというリミットを設けている日本が少々特殊ともいえる。
欧州車ではハイパフォーマンスカーにスピードリミッターが搭載されていたケースもあるが、これも法的規制ではなくメーカー間の紳士協定によるもの。
そして、そのリミット値も250km/hと日本に比べてはるかに高い。これはもちろん、そもそもの道路速度規定が異なるため。もっとも、250km/h以上の速度を出しても交通違反にならないのはドイツのアウトバーンくらいなのだが。
だが、こうした状況にも変化が生じつつある。スウェーデンのボルボは、2022年7月以降に販売される内燃機関(エンジン)搭載の新車に180km/hのスピードリミッターを搭載していて、EV(電気自動車)では160km/hのモデルもある。
また、ほかの欧州メーカーでもスピードリミッター導入の動きはあるが、これは燃料や電力の消費を抑えて環境へ負荷を軽減する狙いも考えられる。
日本でもEVが増えているが、例えば日産の軽EVサクラに140km/h、普通EVのアリアには180km/hのスピードリミッターが搭載されている。これは従来のガソリン車の基準に即したものだ。
基本的に日本国内の公道では作動することがないスピードリミッターだが、解除が可能で、しかもそれが違法ではないことに注目したい。特にサーキット走行を考えている人は、スピードリミッターを解除する選択肢もあることを知っておいて損はない。
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みんなのコメント
こっちのリミッター外しは違法なんだけどやってるトラックは多いよね。
車検の時に戻せば問題ないしそもそもチェックしてるかも疑問。