この記事をまとめると
■年間16万4000台のトヨタ車を世の中に送り出すトヨタ元町工場を見学
「ハイテク」も「人のワザ」も全部載せ! トヨタの工場を見学したら「工場の中身の開発」まで圧倒的な内容だった
■製造途中の車両が組み立てライン上を自走する自走組み立てラインを開発中
■4万平方メートルのヤードでは10台のVLRロボットによる車両運搬を予定している
1959年に開業してトヨタの礎を築いた元町工場
トヨタ初の量産工場である元町工場の操業開始はなんと1959年である。ちなみにその名前の語源は「元・町工場」。トヨタにとっては、会社の発展の大きな礎となった工場なのだ。
元町工場での車両の生産台数は1990年にはじつに年間44万4560台に達したが、この20年ほどは一直、二直の繰り返しで、現在では16万4000台に落ち着いているという。改めて驚かされたのは、その内訳。ラインは現在、BEVやFCEV、HEV、そしてエンジン車の4つのパワーユニット、セダン、ミニバン、SUVという3つの車型の混流なのである。
ラインに流される順番は基本的には注文に基づくが、1台辺りの所要時間は、たとえばbZ4Xが8.8時間、MIRAIは11.3時間と異なる。bZ4Xのバッテリーのためには電池パックの組立工程が別に置かれ、MIRAIは高圧水素タンクの取り付け作業などが専用の組立工程で行なわれたあと、この混流生産ラインに入ってくる。工程辺りの作業時間には最大30秒の差があることから、混ぜ方は配慮されている。作業時間の長いクルマばかり連続して流れないようにするためだ。
こうした多品種のクルマを高品質で組み立てつつ、作業員の負荷を軽減するために、ラインにはさまざまな工夫が凝らされている。UM(Universal Modular)トレイは、アタッチメントの交換でさまざまなパワーユニットを搭載でき、同じ工程での車両への搭載を可能にする。
興味深いのは、これを含めて作業員の創意工夫によるカラクリ的なアイテムが多数使われていること。実際に作業する立場からのリアルなアイディアから生まれ、採用された作業補助アイテムは、延べ1500以上にもなるという。
そんな組み立てラインの景色も、近い将来にはまったく違ったものになっているかもしれない。トヨタは次世代BEVの導入を機に、工場生産ラインの大胆なまでの自動化を目指している。まさしく「工程2分の1」実現の重要なキーだが、それは同時に生産リードタイムも、さらには工場投資も2分の1にするという大革新である。
これを可能にするのが、車両への新モジュール構造の採用だ。次世代BEVは車体をフロント、センター、リヤの大きく3パートに分割する。フロントとリヤはギガキャストによる一体成型とされ、センターは床下にバッテリーを敷き詰めるかたちだ。
部品の組付けは各モジュールごとに行なわれる。たとえば現在は車両のなかに入り込んで行なっているインストゥルメントパネルやシートのなどの取付けを立ったまま作業できるようになる。作業員の負担が減るし、クオリティも高まる。作業時間の短縮はコスト削減に繋がるという具合である。
気になるのは分割して組み立てられたモジュールをどう結合するのか。ボルト留め、嵌合が主になるが、鉄とアルミの接合になる場合も考えられるため、さまざまな手段が検討されている。果たして、ボディ剛性がどうやって確保されるのかなど、クルマ好きとしては興味深いところだ。
目指すはベルトコンベアを必要としない自走式組み立てライン
同時に開発されているのは、自走組み立てラインである。ベルトコンベアなしに製造途中の車両に自走させるのは、BEVであれば比較的容易にできる。搬送用の設備が不要になれば大幅なコスト削減になるし、ラインの大幅変更など従来は大型連休中にしか出来なかったことも、すぐに取りかかれる。
こうした新しい工程の導入は、いわゆるデジタルツイン化、つまりコンピュータ上でも同じものが再現されている。つまり、元町で開発された工程、新しいラインづくり等々を、すぐに他工場でも展開することが可能になるわけだ。
こうして完成したクルマはキャリアカーに積まれて日本全国に、あるいは輸出港まで運ばれて海外に出荷されていく。元町工場のヤードは4万平方メートルと広大で、ここに最大1600台を置くことができる。クルマが出来上がると運搬員が1台ずつこのヤードに運び、行き先別に整列させる。その車両は今度はキャリアカーのドライバーによって積載場まで運ばれ、積み込まれるという流れになる。1日につき160便で、800台のクルマが出荷されていくそうだ。
運搬員の方はクルマを所定の位置に置いたあと、歩いて戻ってくる。これはかなりの負担になる。そしてキャリアカーのドライバーもやはり徒歩でクルマを取りに行く。広いヤードだけに、1日8kmも歩くのだそうだ、運転する以外に……。
労働市場の高齢化、高い離職率、なり手不足は慢性的な問題であり、しかもそれを解消するためのドライバー労働時間短縮、いわゆる物流2024年問題も出てきた。ドライバーの負荷を低減し、安心して働ける場とすること、高効率化はまさに喫緊の課題である。
解決策のひとつが自動化。その一環として9月から稼働を始めたのがヤード内の車両運搬を行なうVLR(Vehicle Logistics Robot)ロボットだ。
クルマの床下に潜り込んでタイヤを掴んで持ち上げ、10km/hで走行するこのロボットが、完成車をピックアップしてパレットに載せ、ヤード内の指定された位置に降ろす。そして出荷の際には積載場まで運んで行く。ドライバーはここで積み込めばいいので、負担が激減する。
このロボットは貞宝工場のスタートアップスタジオで開発された。構内の路面にはうねりがあるので、何とレクサスLS用のエアサスペンションが使われている。保全課の方々と連携して設計されており、管制コントロールに加えて異常検知時の自動停止システムも備える。GPSにより制御されるため、ヤードにはガイド線などは必要なく、10cmの精度でクルマを整列させることが可能。人の乗り降りが必要ないので、ドア開閉のための60cmの間隔が不要で、同じスペースにより多くのクルマを置くことができるのもメリットだ。
2024年末には搬送のオペレーションをすべてこのロボットに替えるという。現在は運搬員20人で行なっている仕事が、10台のVLRロボットに置き換わるのである。さらに今後は、工場からヤードの搬送も自走での移動を可能にする技術開発に取り組んでいくという。
人の持つ技術を最大限に活かすために、可能な部分は大胆に自動化していく。技術を持つ人がロボットを鍛える。時代の変化に対応するべく、自動車生産の現場も進化は急なのだ。
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