北米マツダが3列シートSUVのCX-90をワールドプレミアしたが、日本では今後ブランニューモデルのCX-80が現在のCX-8に代わってマツダ最上級SUVとなる予定だ。そこで、現在日本国内で買うことのできる3列シートSUVを総評してみた。
文/渡辺陽一郎、写真/マツダ、ベストカー編集部
マツダCX-90が北米で誕生……となれば気になる「国産3列シートSUV」選手権!
■日本国内では新たにCX-80が3列シートSUVとして投入予定
北米で発表されたワイドボディを持つ3列シートSUV、CX-90。日本にはこのナローボディ版となるCX-80が今後、登場を控えている
今はSUVの人気が世界的に高く、日本でも新車として売られる小型/普通車の約30%を占める。25%のミニバンを抜いた。
そこで各メーカーともSUVの開発に力を注ぎ、マツダは北米などの海外市場で販売するCX-90を発表した。海外向けの最上級SUVとあってボディは大きく、北米仕様は全長が5120mm、全幅は1970mm、全高は1730mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は3120mmと長い。
CX-90のパワーユニットはCX-60と基本的に共通で、直列6気筒3.3Lガソリンターボと直列4気筒2.5Lプラグインハイブリッドの搭載が公表されている。プラットフォームもCX-60と同じで、後輪駆動をベースにしたタイプだ。
日本市場で現在のマツダのフラッグシップSUVは3列シートモデルのCX-8。今後、この後継モデルとしてCX-80が投入される
日本国内ではCX-90は発売されず、CX-80がCX-8の後継車種として投入される予定だ。パワーユニットは、直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボなど、CX-60を踏襲する。
CX-80は、CX-90の幅を狭めた仕様になる可能性が高い。従来から販売されているCX-8も、海外仕様のCX-9をベースに全幅を狭めて開発された。同様の関係がCX-60とCX-90にも当てはまる。
そうなるとCX-80の全長/全幅/全高はCX-90と同等か、少し短く抑える程度だ。全幅はCX-60と同じ1890mmで、CX-90に比べると80mm狭まる(※編註:ベストカー本誌ではCX-80のボディサイズは全長4950×全幅1890×全高1720mmと予想。これはCX-8より全長で+25mm、全幅で+45mm、全高で=10mmとなるが、ほぼ同サイズとなる)。
CX-80で注意したいのはボディサイズだ。前述のとおり、CX-90と同じなら全長は5120mmで、ホイールベースも3120mmに達する。CX-8の全長は4925mm、ホイールベースは2930mmだから、後継のCX-80はそれぞれ190mm長くなる。
CX-80のボディが長くなるのは、後輪駆動を採用するからだ。2列シートのCX-60も、後輪駆動の採用により、室内空間が同程度のCX-5に比べて、全長とホイールベースが約170mm上回る。
3列シートのSUVに、エンジンを縦置きにしてボンネットの長い後輪駆動を組み合わせると、全長が5m以上に達することが多い。ランクルプラドのように、全長を5m以下に抑えた後輪駆動の3列シートSUVもあるが、あくまでも少数派だ。
■快適な3列シートSUVはどれだ!?
1位はCX-8。3列専用設計のため、その快適性は日本で現在販売されている3列シートSUVのなかで最高ランクを誇る
そこでSUVに装着される3列目シートの快適性をランキングしてみたい。マツダの販売店によると「CX-80の発売は2023年10月以降になる予定で、2024年にズレ込む可能性もある」というから、CX-8は今でも購入できる。
そして3列目シートが最も快適なSUVはCX-8だ。2列シート仕様を設定しない3列シート専用車とあって、SUVながらも3列目に力を入れて開発された。身長170cmの大人6名が乗車して、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシひとつ分に調節すると、CX-8では3列目に座る乗員の膝先に握りコブシふたつ分の余裕ができる。多人数で乗車しても、窮屈に感じない。
2位となるのはランクルプラド。2009年デビューと設計年次は古くなっているが、次期モデルの登場も近くなってきている
2位は以前ならCR-Vだったが、生産を終えた今はランクルプラドだ。CX-8と同じ測り方で、3列目に座る乗員の膝先空間は握りコブシふたつ分になる。つまりCX-8と同等だが、ランドクルーザープラドは、床と座面の間隔が不足するから膝の持ち上がる窮屈な座り方になる。そのために2位に下がった。
3位はランクル300。ボディこそプラドより大きいものの、3列目シートの膝先空間については前述のプラドを下回っている
3位はランクル300だ。ボディはランクルプラドよりも大きいが、2列目シートにスライド機能が付かない。そのために2列目を前側に寄せて3列目の足元を広げられず、3列目の膝先空間は、前述の測り方で握りコブシひとつ分だ。ランクルプラドの握りコブシふたつ分よりも狭い。
4位はアウトランダーだ。ほかの車種のように2列目シートの膝先空間を握りコブシひとつ分に調節すると、3列目には座れない。2列目の膝先が1列目の背面に触れるまで前側に寄せると、3列目に辛うじて座れる。
4位となったのはアウトランダー。だが、その3列目シートの居住性そのものは決して高くはないと筆者はいう
5位のエクストレイルは、足元空間はアウトランダーと同程度だが、座り心地はもう少し下がる。
5位がエクストレイル。こちらもアウトランダーとの差はほとんどなく、座り心地で差が出たと筆者は指摘している
■ミニバンと3列シートSUVを比較してみると?
それではステップワゴンなどミニバンと比べてみると3列シートSUVはどのようになるのか。1列目から3列目まで着座姿勢に大きな差が出ないミニバンが有利だという
以上のようにSUVの3列目シートは、ミニバンとは快適性が本質的に異なる。SUVでは最も快適なCX-8でも、3列目の居住性をミニバンに当てはめると、コンパクトなシエンタやフリードと同程度だ。ランクルプラドはそれ以下で、大人が多人数で乗車して移動できる距離は、片道1時間程度までになる。
ランクルやアウトランダーはさらに短く、多人数乗車は片道30分くらいが限界だ。エクストレイルはもっと窮屈だから、片道15分前後と考えたい。このようにSUVの3列目は、荷室に装着された補助席に位置付けられる。
SUVとミニバンの3列目を比べると、最も大きく異なるのは床と座面の間隔だ。ミニバンの床面は、1/2列目の部分を少し上げ底にしている。この構造により、ボディの後部に搭載される燃料タンクの位置まで床を高めて、表面を平らに仕上げた。そのために1列目から3列目まで、着座姿勢に大きな差は生じない。
しかし、SUVはミニバンのような平らな床面構造ではない。1/2列目シートの位置は床が低く、3列目の部分は、燃料タンクのために持ち上がる。そのために3列目は1/2列目に比べて、床と座面の間隔が狭い。膝が持ち上がり、腰が落ち込んだ座り方になる。
■SUVの3列目はあくまで補助席的な位置づけ
ランクルプラドの3列目シート。さすがにミニバンと比べてしまうと、快適性での旗色が悪くなるのは否めないところか
しかもミニバンほど3列目に配慮していないから、3列目に座った乗員の足が2列目の下に収まりにくい。ますます膝を抱えるような窮屈な姿勢になる。座り心地も異なり、SUVの3列目は座面の柔軟性が乏しいから、路上のデコボコを直接的に伝えやすい。
従って先に述べたとおり、SUVの3列目は荷室に装着された補助席と考えたい。多人数で移動するために3列シートのSUVを買う時は、販売店の試乗車を使って3列目の居住性、乗降性、乗り心地を入念に確認する必要がある。
そして多人数乗車の機能と、優れた悪路走破力を両立させたいなら、SUVではなくミニバンの4WD仕様を選ぶと合理的だ。雪道程度なら、ミニバンの4WD車でも充分に走破できる。
また、デリカD:5はミニバンでありながら、4WDにロックモードを採用している。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)にも余裕があるから、悪路走破力はSUV並みに高い。3列シートのSUVが欲しいと思ったら、ミニバンの4WD車も視野に入れて検討するといいだろう。
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