■奇跡の新車同然のロータス「エリーゼ」
1996年の登場以来、四半世紀の間、ほとんど基本構造を変えないまま進化を続けてきたロータス「エリーゼ」が、ついに生産を終えた。そのすべての基本となった初代モデルは、往年のロータス「ヨーロッパ」を思わせる愛らしい顔つきと、とびきりシンプルかつ軽量な仕立てで愛好家から高く評価されている。では生産終了を受け、オークション・マーケットでの評価は今後変化していくのだろうか?
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●絶版のエリーゼは高騰するのか?
ロータスが「エキシージ」、「エヴォーラ」と共に、エリーゼの生産を終了するとアナウンスして以降、日本国内のユーズドカー市場におけるエリーゼは、高年式の低走行車を中心に、若干値上がり傾向となっているようだ。
以前よりも“応談”の値札がついた販売車両も、何台か見かけるようになった。とはいえ、一時のフェラーリやポルシェを中心とするクラシックカー/コレクターズカーのような、急激な高騰はしていない。
世界に目を向けてもそれは同じだ。RMサザビーズのこれまでの取引の傾向から見ても、F1マシンのような特別なものを除き、基本的にクラシック・ロータスは大きくプライスを上げてはいない。
イギリスというお国柄ゆえ、専門店は多く、パーツの再生産や供給のルートも確保されているため、むしろ比較的安定しているといっていい(ただ、2021年夏に正式発表となる「タイプ131」がどんなモデルになるかで、状況は変わる可能性もある。ロータスはアルピーヌとの共同開発を発表したが、アルピーヌ側は今後はEVのみになると明言。はたしてタイプ131はEVだけになるのか、それとも内燃機関を搭載するのだろうか……)。
●走行わずか3000kmの1997年型エリーゼ
しかし、ある意味今後のクラシック・ロータスの値動きの試金石となるであろう車両が、RMサザビーズに出品された。1997年型のロータス・エリーゼである。
初代エリーゼは1995年のフランクフルト・モーターショーでデビューし、翌1996年6月から生産を開始。2000年11月にフェーズ2に切り替わるまでの約4年間生産されたが、出品車両はそのごく初期の、1997年2月-9月の生産車両であることが、シャシ・ナンバーから分かる。資料から変遷を辿ると、スターター・モーターのアップデートおよび、エンジン・マネジメント・フューズのリコール対策後のモデルのようだ。
外装色はレーシング・グリーン・メタリックと比較的タマ数が多いカラーだが、マグノリアという明るいベージュの内装はなかなか珍しい。汚れやすい色だが、シートはもちろん、乗降時に足を引っかけがちで汚れやすい高いサイドシルを覆うトリムも、とても美しい状態を保っている。
それもそのはず。なんとこの1997年型のエリーゼ、約24年間でわずか1739マイル(約2800km)しか走っていない! 4人のオーナーによって大切に大切に受け継がれてきた、ある意味四半世紀近く前からタイムマシンに乗ってきたような1台なのである。
最初のオーナーはロブズ・ランプロウ氏で、購入時の書類をはじめ、過去のメンテナンスの履歴も完備している。装着しているタイヤ、ピレリPゼロはおそらく新車時のままだろうが、直近では2020年6月に50年の歴史を誇る英ロータス販売店のベル&コルヴィルにて整備を受けている。
ここは老舗のディーラーである一方で、チューニングの世界でも名を馳せており、初代エリーゼを販売していた当時、同社のデモカーには某誌の取材であの佐藤琢磨選手が試乗し、完成度の高さに驚いていた。
■パワーよりも軽さこそ正義、はスポーツカーの常識
出品車は最高出力がわずか118psの、いわばスタンダードの「111」と呼ばれるモデルだ。この初代エリーゼが搭載するローバー製の1.8リッター直列4気筒DOHCエンジンは、年を重ねる度にパワー・アップしている。
1998年11月には135ps仕様の「スポーツ135」が85台造られ、1999年1月には可変バルブタイミング機構を備え143psを発揮する「111s」が登場。そして2000年2月には160ps仕様の「スポーツ160」が50台造られている。
もし、同じような走行距離のこうしたハイパワー仕様がオークションに登場したら、さらに貴重で価格が高騰するかといえば、そうとはいい切れない。なぜなら、この出品車の時代のエリーゼは、700kgを下回る車両重量を実現するため、徹底した軽量化が施されているからだ。
それを象徴する部品がアルミ製のブレーキ・ローターで、量産車としては初の採用だった。ただしノイズが出やすく、提供するサプライヤーが倒産したため1998年1月以降は一般的なスティール製のブレーキ・システムへと変更されてしまった。
初期のエリーゼ特有の、恐ろしく軽快な走りをもたらすこのキー・パーツは、後年のハイパワー仕様のエリーゼには付いていないのである。
●英国生産で純正オプションを装備
写真からは判別できないが、おそらくこの時代のアルミ・バスタブに用いられている接着剤は、現在の鮮やかなオレンジのものとは異なり、薄いグリーンのはずである。
いっぽう、ごく初期のエリーゼの特長のエンジン・フードのステーを兼ねるトランク・カバーは写真でしっかり確認できる。そのほか内外装は基本的には新車当時のままだが、クリアのヘッドライト・カバーや着脱式のモモ製ステアリング・ホイール、アルミ製のドア・レギュレータ・ハンドルなどは、当時のロータスおよびロータス・スポーツ・ディヴィジョンの純正オプション品のようだ(ステアリングのみ、若干リムのデザインが異なるようだが……)。
左右ドア・ガラスの上部と中央部の骨の上に被さる、まるで傘のような構造の薄いソフト・トップの状態も素晴らしい。初代エリーゼには1DINサイズのオーディオも装着できるようになっていたが、この車両は未装着である。そのため空調調整スイッチ(ヒーターのみでエアコンはオプション)サイドのパネルが横に長いタイプになっている。
エンジン・フード上部のアンテナも未装着だ。走るために必要なものはあるが、余計なものは一切ない、シンプルさが際立った仕様ともいえる。
なお、初代エリーゼはロータスがブガッティ傘下からプロトン傘下となった後に、数年ほどマレーシアのシャー・アラム工場での組み立てもおこなわれていたが、出品車は英国ノーウィッチのロータスの本拠地、ヘセル工場製である。
マレーシア生産のエリーゼは、お国柄かクーラーのみを装着し、なんとヒーター・レスという仕様で、日本へもわずかな台数が輸入されている。
このまるで新車のような初代エリーゼに、RMサザビーズは3万-3万5000ポンド(邦貨換算約450-525万円)のエスティメイト(推定落札価格)を設定している。内容を考えれば決して高いとはいえない値付けだが、はたしてどんな評価が下されるのか。注目のオークションになりそうである。
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みんなのコメント
その先輩が『これはかっこいいな』と言っていたのがこのモデルのエリーゼだった。
実車を見たこともほとんどないが、今でもこのエリーゼはかっこいいし、そして美しいと思う。