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海外で話題を集めた「クルマの流行」 おしゃれなアイテムから悪趣味なものまで 34選 前編

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海外で話題を集めた「クルマの流行」 おしゃれなアイテムから悪趣味なものまで 34選 前編

生まれては消えていく流行

派手なエアロパーツやマットカラー、グリルガードなど、クルマの世界にはさまざまな流行、トレンド、ファッションがあった。実用的なものもあれば、現実離れしたものもあり、今ではすっかり見かけなくなったものも多い。

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今回は主に米国や欧州で注目を集めた、奇妙で興味深い「流行」の数々を見ていきたい。

マットカラー

光沢の少ないマットカラーはもともと、航空機などのステルス性を高める(敵側のレーダーに映りにくくする)ものとして軍隊では数十年にわたって使用されてきた。自動車業界では反対に、ライバルと差別化を図り、目立たせる手段として好まれている。

その流行にいち早く乗ったのが、BMW M3(E90型)や第2世代のフォード・フォーカスRSだった。BMWは「フローズン・エディション」という特別仕様車にマットカラーを採用したが、洗車するだけで質感が損なわれてしまうため、手入れが難しい。また、鳥の糞が付着した場合はすぐに取り除かなければならない。こうした煩わしさから、今後もマットカラーが主流になることはないだろう。

スピナーホイール

スピナーホイールは米国西海岸のカスタムカー文化から生まれたもので、停車時も車輪が回転しているように見せることができる。内側のホイールが止まっていても、外側のローターは回転し続ける。

しかし、停車中のクルマが動いているように見えてしまうことや、高速走行中にスピナーが外れる危険性など、安全上の懸念もある。スピナーホイールは一時的に脚光を浴びたが、今ではすっかり下火となっている。

レーシングカー風のリアウィング

モータースポーツの黎明期から、普通のクルマにもレーシングカーのスタイルを取り入れるのが人気だった。その中でも根強いトレンドとなっているのが、大型のリアウィングだ。レーシングカーのウィングが大型化・高度化するにつれ、後付けのアフターマーケット品も多様化してきた。

ただし、ダウンフォースとエアフローを最適化するために入念に設計されたレース用パーツと、一般的な市販車に後付されるものとでは大きな違いがある。ランボルギーニ・カウンタックに導入されたリアウイングもそうだが、後者はほぼ間違いなく重量と空気抵抗を増やすだけである。

CB無線

1970年代から80年代にかけて、米国市民の間ではいわゆるCB無線(市民ラジオ)が全盛だった。子供たちの間でも、無線用語を真似て会話の始まりに「ブレイカー、ブレイカー、ワン・ナイン(breaker, breaker one-nine)」をつける遊びが流行った。

こうした流行は、映画『コンボイ』や『トランザム7000』といった長距離トラックを題材にした映像作品の数々から生まれた。この流行により、米国のトラック運転手の隠語によるミステリアスな世界が一般に知られるようになり、乗用車にも浸透していった。

1990年代に入ると、手頃な価格の携帯電話が普及したことで車載CB無線は廃れていったが、米国では今でも通信手段として多くのトラック運転手が使い続けている。

シザードア

1980年代のモーターショーに行けば、ランボルギーニ風のシザードアを装備した特注車を数多く見ることができた。平凡なハッチバックからロールス・ロイスまで、さまざまなクルマが改造の対象となったが、成功の度合いや技術的な整合性には程度の差があった。

今でもシザードアの改造キットを販売している業者はあるが、2000年代半ばの改造車ブームの失速とともに、このトレンドも衰退した。

4×4サスペンションのリフトアップ

世界中でSUV人気が高まるずっと以前から、オフロード走行には四輪駆動システムが欠かせなかった。地上高を高くする必要性から、サスペンションのリフトアップ機構の開発が進められた。ボディを持ち上げ、過酷な路面状況でもタイヤや車軸に十分なクリアランスを確保する。

一般道しか走らないドライバーたちもその外観を気に入った。1980年代には、ピックアップトラックから高級SUVまで、脚立がないと乗り込めないほど車高を上げることが流行した。このトレンドの究極形態が、ショーイベントで巨大なジャンプ台を跳んだり、クルマを踏み潰したりして観客を楽しませるモンスタートラックだ。

車高短

ワイド&ローのスタイルはもともと、ハンドリングを向上させたいという願望から生まれたものだ。見た目はドリフト車とよく似ているが、独自のスタイルを確立し、機能よりも見た目が重視されている。

ドリフト文化の盛んな日本が発祥であり、日本車をベースに改造することが多い。海外では一般的に「スタンスドカー(Stanced cars)」と呼ばれる。このスタイルは今や世界中に広まり、タイヤを可能な限り幅広のリムに装着するなど多くのサブセクションが生まれている。

金のバッジ

金メッキや純金製のバッジや装飾品で愛車を際立たせようとするオーナーは昔からいる。レクサスが金のバッジを装着し始めると、ボンネットやトランクにキラキラ輝く装飾品を付けるクルマが急増した。その狙いは、さりげなく高級感を演出することだが、実際には露骨でやや下品な印象を与えることが多い。

マクラーレンはスピードテールに18金ホワイトゴールドのバッジ(オプション)を付けて、オリジナリティを強調した。もっと希少なプラチナを選ぶことも可能だ。

テールフィン

テールフィンを量産車に取り入れた人物として、GMのチーフデザイナーであるハーレー・アール(1893~1969)氏を紹介することが多いが、その後輩のフランクリン・クイック・ハーシー(1907~1997)氏の功績とする見方もある。いずれにしても、テールフィンは1948年のキャデラックを皮切りに、1950年代を通じてあらゆる米国車で急速に普及し、サイズも存在感も大きくなっていった。

テールフィンは世界中で取り入れられ、流行のピークは1959年のキャデラック・エルドラドだ。1960年代に入ると、テールフィンは古いというイメージが広がり、もっと実用的なデザインが好まれるようになったため、徐々に姿を消していった。

ウッドパネル

1950年代までボディの生産には木材が広く使われていたため、外装に木材がむき出しになっているクルマが多く見られた。米国ではこうしたクルマは「ウッディーズ」として知られ、これにインスピレーションを得た多くの米国車メーカーが、ステーションワゴンに高級感を添えるためにウッドパネルを採用するようになった。

1980年代にミニバンが登場し、広い室内空間を持つ乗用車が人気を集め始めると、プラスチックの木目調パネルを施した大型のステーションワゴンの需要は低迷。クライスラーPTクルーザーを最後に、量産車におけるトレンドは終わりを告げた。

マフラーの大型化

競技用車両のマフラー(排気管)が大きいのは、より多くの排気ガスをエンジンからできるだけ早く排出し、パワーを最大限に引き出すためだ。一般のクルマに大型のマフラーを装着すると、たいていは社会のマナーに反するような騒音が発生する。

1960年代にアフターマーケット(後付け)のチューニングが定着して以来、大型のマフラーはスピード狂の象徴となっている。性能が上がったかのような印象を受けるかもしれないが、競技用車両のようにエンジン全体を改造しない限り効果は薄く、かえってパワーの低下を招く可能性もある。

ライトのスモーク化

スモークのかかったライトは、攻撃的な印象を与えるものとしてドレスアップでは長年定番となっている。その狙いは確かだが、実際にはほとんどの場合、ライトの照度や視認性が低下してしまう。

プロが施す薄い色合いのスモークは素晴らしいが、下手なDIYで台無しになってしまうこともある。例えば、ライトを黒いタイツで覆ったり、家庭用塗料で黒く塗り固めたりと、おかしな失敗談もある。また、ライトの光量や照明範囲、色味に関しては法律で厳しく定められており、一歩間違えると違反になる可能性もある。

プライバシーガラス

現在では、さまざまな色合いのプライバシーガラスが、多くのクルマに新車時から装着されている。ほとんどの国では、色付きのプライバシーガラスはリアウィンドウにしか使用できない。フロントガラスはドライバーの視界を最大限に確保するためにクリアにしておかなければならない。

1990年代には、着色ガラスへ交換したり、ガラスの上にシートを貼ったりすることが流行した。ガラス面に残された波打った跡や気泡は、オーナー自身の努力の結晶である。新車購入時にはたいていオプションでプライバシーガラスを選択できるが、後付けしたい場合はプロに依頼して安全に施工してもらおう。

グリルガード

グリルガードは無骨な四輪駆動車によく似合う。英語圏ではブルバー(Bull bar)と呼ばれることが多い。本来は、オフロード走行や大型動物との衝突時に車体を保護するためのものだ。しかし、時代が進むにつれてSUVが進化し、都市生活に浸透していくと、1990年代の終わり頃にはすっかり影を潜めるようになった。

自動車の安全性に対する意識の高まりと、歩行者に対するグリルガードの危険性が相まって、本当に必要とされる地域(オーストラリアの奥地など)を除いて装着する人は少なくなった。例えば英国では、グリルガードの装着は違法ではないものの、推奨はされていない。日本では、保安基準に適合したものであれば車検に通すことができる。

スポットライト

スポットライトは何十年も昔から注目の的だった。1960年代の英国では、いわゆるモッズカルチャーのスクーター(ライトやミラーを大量に付けてデコレーションしたもの)が人気を博した。クルマにおける歴史はラリーから始まり、高速走行時の夜間照明の必要性からトレンドとなった。自動車メーカーもその人気ぶりに着目し、多くのモデルにオプションとしてスポットライトを設定した。

1990年代にヘッドライトの技術が進歩すると、スポットライトの需要は減少した。しかし、本格的なオフロードを走る人たちは、今でも夜間の視界を確保するためにLEDライトバーを装着することが多い。北欧諸国では、冬季の長く暗い夜を乗り切るために、大型で強力なスポットライトを装着したクルマをよく見かける。

アンダーネオン

ネオンの光と同様に、この流行自体も一時的なもので、今ではすっかり消えつつある。珍しいことに、安価なコンパクトカーから超高級スーパーカーまで、あらゆる分野にまで広がった流行である。

クリスマスシーズンの夜の都市では映えるかもしれない。

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