1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、4代目ゴルフの登場と背景について語ろう。
ゴルフ4登場の背景にはフェルディナント・ピエヒがいた
1997年に発表された4代目ゴルフは、今の目で見ればゴルフとしていかにもオーソドックスな存在にも思えるが、当時の3代目までのゴルフと比べて、まず高級化が目立ち、それと合わせて、デザインがかなり洗練されたものになった。さらにボディサイズも大型化し、当時のご意見番からは「本来、大衆車であるはずのフォルクスワーゲンのゴルフが贅沢なクルマになった」と批判されたりもした。
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ゴルフ4が変わった背景には、その開発に先立つ1993年に、伝説的なエンジニアであり経営者のフェルディナント・ピエヒが、フォルクスワーゲン会長に就任したことがあった。周知のとおり、ピエヒはかのフォルクスワーゲン(ビートル)の生みの親フェルディナント・ポルシェ博士の孫であり、若くしてポルシェ社の技術部長として辣腕をふるい、ビートル後継車(要するにゴルフ)となるべきミッドシップのEA266の開発も指揮していた。
EA266が、その対案であったアウディ系の設計にとってかわられてボツになると、あろうことかその宿敵アウディに招かれ、今度はアウディで技術部長として5気筒エンジンを開発したり、4WDのクワトロを世に出すなどして、アウディ躍進の立役者となった。そしてアウディ社長を経て、グループ総帥のフォルクスワーゲン会長の座に収まったわけだった。
ピエヒが率いたアウディは、ブランドの高級化や高性能化、そして先進技術の採用を一貫して推進した。そのアウディでやっていたことをそのままフォルクスワーゲンでも実践し、その結果、生まれてきたのがゴルフ4なのであった。
1年早く登場した初代アウディA3とプラットフォームを共用しており、A3と同じ高品質がゴルフ4にも反映されていた。フォルクスワーゲンでは、上のブランドの品質を下位ブランドにも展開することで商品力を高める方針がとられていた。もちろんコストはかかっているが、フォルクスワーゲンの下となるセアトやシュコダにも兄弟車を設定することで、スケールメリットによる低コスト化も図っており、まさに強力なクルマづくりが実践された。
ピエヒの下でベントレーやブガッティなどの高級ブランドもグループ傘下に収め、フォルクスワーゲン自身にもメルセデスSクラスに対抗するフェートンという大型高級車を登場させる。こういった、ある意味覇権的ともいえるやり方を嫌う論調も当然あり、フェートンなどはドイツでは不評だったが、そのいっぽうで下のクラスに新たに経済車のルポを加えるなどして、全方位的にクルマづくりを充実させる。それが、ゴルフ4を生んだ当時のフォルクスワーゲンだった。
新技術を投入し質感も高められたゴルフ4
実際のところゴルフ4の設計は、ゴルフ3の改良型ともいえ、もっと目立つ革新は次のゴルフ5で行われる。とはいえ、ゴルフ4もモデルライフを通して、次世代の新しい技術が多く投入されている。
まず注目されたのは、やはり高品質化であり、車体の生産工程を刷新し、高い精度で組み上げられたボディを持つに至った。それまで世界では日本車の品質の高さが評価されていたが、ゴルフもそれに対抗すべくゴルフ2の頃から、ロボットを導入したりして品質向上に努めていたが、ゴルフ4ではボディパネルの合わせ目の隙間、いわゆるチリを詰めて、わずか3.5mmとしたことが驚かれた。ボディには高張力鋼板を用いたほか、レーザー溶接を採用して飛躍的にボディ剛性を向上。走行時の品質感を大きく高めた。
エンジンは従来からの1.6Lや1.8Lも搭載したが、1.6Lは可変吸気を採用し、モデルライフ終盤には初となる直噴のFSI仕様も投入される。1.8Lはゴルフのガソリンとしては初めてターボ仕様も加わり、アウディ開発の5バルブを採用。4気筒では新設計のアルミ製1.4Lも搭載された。このほか従来からの狭角V6エンジンは引き続き搭載され、これはやがてさらなる高出力仕様のR32へと進化し、逆にスケールダウンしたV5エンジンも加わる。
ゴルフ初採用のトピックスとしては、ESCや、ハルデックスカップリングを使用した4WDの4MOTION、6速MT、さらにはツインクラッチのいわゆるDCTの先駆け的存在であるDSGなどもモデルライフ中に登場している。
ボディサイズは、標準的グレードで全長4155×全幅1735×全高1455mm。ゴルフとして初めて3ナンバーとなった。とくに全長は先代モデルと比べて135mmほど長くなったがホイールベースは40mmしか長くないことから、室内スペースはあまり広くなっていなかった。実際のところゴルフ4は、同世代のライバルと比べてとくに大きいわけではなく時代相応といえたのだが、やはりコンパクトカーの鏡というべき存在だったので、批判の声も出てしまったのだった。(文:武田 隆)
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実用車なのに低く座らせるドラポジ、メーターパネルが紫で見にくいことこの上ない、フロントウインカーがヘッドに紛れて見にくい、全てに重ったるく燃費も悪かった。
こんな出来の悪い車は、ゴルフではない!