この記事をまとめると
■クルマには時折「どうしてそうなった?」と思うようなデザインが存在
■4代目スープラの高いリヤウイングなどが例として挙げられる
■この記事では4つの例を挙げてそのデザインが採用された理由を解説
使い勝手や機能性を追求した結果!
街なかに停まっているクルマや道路を走っているクルマを見ると、「どうしてこんな形をしているの?」とか「こんな色にする必要があるの?」とか、不思議に思うデザインがあります。そんな“ふとした疑問”に、WEB CARTOPがお答えしましょう。はたして嘘かホントか!? 信じるのはアナタ次第!
最新のクルマのデザインはコンピュータを取り入れていることが多いため、「えっ? これってどうして!?」と思うような形や構造は多くありません。ところが、設計者や製作技術者が「どうしたらクルマって便利になるだろう?」と頭を捻っていた時代のクルマには、「どうしてそうなった!?」と感じるディテールが結構存在します。
たとえば、トヨタ・スープラは、国内はもちろん海外でも大人気の上級スポーツカーですが、現行モデルのひとつ前の4代目(1993年デビュー)に注目! 3リッター直列6気筒ツインターボが実現する280馬力と、当時の日本国内向け乗用車としては初となる6速MTが話題を呼びました。また、流麗で見るからに速そうなエクステリアにも話題が集中しまして、とくにボディ後方斜め上に高々と掲げられたリヤウイングが、当時の走り屋系ファンの琴線を刺激しました。が、コンサバ系のファンはその高さが「派手!」「下品!!」と拒否反応を示し、“リヤウイングなし”をオーダーする人も少なくなかったとか。では「どうしてそんなに高くなった?」かというと、運転中にルームミラーで後方確認をする際に視界を遮らないよう、リヤウイングの高さをちょうどルーフと同じ高さにしたから! 視認性、快適性を追求した、じつに“痒いところに手が届く”トヨタらしい配慮だったのです。
高く大きなリヤウイングといえば、1970年のアメリカ車、プリマス・ロードランナー・スーパーバードを忘れてはなりません。トヨタ・スープラよりはるかに大きなリヤウイングが、ボディ後部トランクの端っこにそびえ立っています。もともとスーパーバードはNASCAR参戦のホモロゲーション取得のために開発されたモデルで、426馬力を誇る7リッターのHEMIエンジンを搭載したわずか300台のみという超プレミアムなクルマです。それにしてもボディとのバランスを欠くほど高すぎるリヤウイングを見た当時のアメリカ人も、「どうしてそうなった?」と感じたに違いありません。理由としてはNASCARの「レースで勝つためにエアロ効果を追求」したことが挙げられますが、じつはボディ後部の浅くて広いトランクを“支障なく開閉するため”という説もあります。モータースポーツシーンにおける空力性能と、日常での使い勝手を追求した結果が、この奇抜かつ個性的なリヤウイングなのです。
かつてのフランス車のライトが黄色い理由は諸説アリ
さて、経済的にも社会的にも成功した人が乗るクルマ、ロールス・ロイスにも、思わず庶民が「どうしてそうなった?」と感じてしまうデザインがあります。それはロールス・ロイスの伝統ともいえる「スーサイドドア」です。4ドアの場合、前のドアは普通に前方に開くのですが、後ろのドアは並のセダンとは逆=後方に開くのです。いわゆる“観音開き”という開き方は4ドアのショーファードリブン(運転手付き高級車)ならば納得できなくはありませんが、2ドアモデルのロールス・ロイス レイスでさえも左右のドアが大きく後方に開くのです。それというのも、「降りようとした時にドアが邪魔にならないように」と、ロールス・ロイスがお客様に配慮したから! とくに長いスカートをお召しになったご婦人の方々が優雅に降車できるように、このスーサイドドアを全モデルに採用しているのです。ちなみに、4ドアも2ドアも大きく後方に開くリヤドアについて「手が届かないから開閉が大変」と思った人は、正真正銘の庶民。ロールス・ロイスの後席に乗る人は、決して自分でドアを開閉しませんから(ちゃんとオート機構もありますし)。
最後にフランス車のライトについて、解説しましょう。夜間を走行中の古いフランス車を見て「どうしてヘッドライトが黄色なの?」と疑問に思った人は少なくないでしょう。フランス人が黄色にこだわった理由には諸説あって、ひとつは第二次大戦中にまで遡ります。ドイツ軍がパリに侵攻した際、彼らのクルマが皆ハロゲンの白色だったために、それ以降「白色=ドイツ軍」という悪いイメージが刷り込まれたせいで黄色にしたとか。また、霧や雨が多いフランスの田舎では、550-590nmという波長の黄色がいちばん目立つから……という科学的かつ合理的な理由もあります。もうひとつは、瞳が青いフランス人には白いライトの光が眩しかったから、「目に優しい黄色」を採用したという説。このようにフランス車の黄色いライトにはいくつかの理由がありますが、いずれにしても平成18年度から新規登録のクルマのヘッドライトは白色に限定されてしまったので、その理由が囁かれる機会もいずれなくなるでしょう。
ともすると奇妙に思えるクルマの機能やデザインですが、じつはそれなりの理由があることを紹介しました。これをきっかけに街に溢れるクルマを漠然と眺めるのではなく、その形や色について興味を持ってみてはいかがでしょうか。
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みんなのコメント
理屈を考えれば霧の多いフランスで波長の長い黄色い光が必要だったからが妥当ではないでしょうか?
BMWのOEMなのに、なんであんなにキモくしたのか?