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ハイウェイの145kmを全力疾走 自作のロータス・カールトン 平均記録は264km/h 前編

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ハイウェイの145kmを全力疾走 自作のロータス・カールトン 平均記録は264km/h 前編

ハイウェイ318号線の145kmを疾走する

アメリカのレース主催者はセンスがいい。ナスカーのサブウェイ・ハラペーニョ250パワードバイ・コカ・コーラや、トリート・マイ・クロット・コム300など、巧みにスポンサー名を絡めてくる。

【画像】公道チャレンジに挑んだロータス・カールトン 同時期のカリブラ 三菱3000GT(GTO)も 全64枚

だが、すべてとは限らない。シルバーステート・クラシック・チャレンジと、その姉妹イベント、ネバダ・オープンロード・チャレンジは単刀直入といえる。それでも内容はエキサイティング。マッド・マックスばりに、公道をアクセル全開で疾走するレースだ。

イメージするマシンは、シボレー・コルベットやフォード・マスタングだと思う。あるいは、ランボルギーニカウンタックか。ロータス・カールトンは出てこないだろう。英国人ドライバー、ジョー・エリス氏以外の頭には。

控えめな彼は、20年ほど前の自身の成果を、これ見よがしにすることはない。頭にかぶった記念品のキャップと、トランクリッドのステッカーが、戦果を暗黙に示す程度だ。

イベント名のとおり、開催場所はアメリカ・ネバダ州、通称シルバーステート。出場車は2分間隔で次々にスタートし、封鎖したハイウェイ318号線を、いかに速く走り切るか競い合う。コースは90マイル(約145km)に及び、完走すら難しいという。

エリスにとってモータースポーツは目標とするものではなかったが、ある休日に思い立ったらしい。「アメリカは1990年代に旅行したことがありました。自動車雑誌に影響を受けていましたね」

生きて完走する経験を得たコルベットC4

「ジョン・ヘネシー氏が三菱3000GT(GTO)でレースを勝利したストーリーを読み、強い興味を抱きました」。とエリスが話す。後にハイパーカーのヘネシー・ヴェノムを生み出した人物だ。

「テキサス州に住んでいた友人へ頼み、ヘネシー・パフォーマンス社のマネージャーへ連絡を取り、ネバダ州の観光局へつないでもらいました。自分の招待が決まり、スタッフとしてレースを手伝うことになったんです」

パドックでの経験は、翌年の参戦切符へ展開した。「オープンロード・チャレンジには、レンタカーを使う人もいました。バイパーにロールケージを組んだようなクルマを借りられたんです」

「わたしはある店で、少々くたびれたシボレー・コルベットC4を借りました。それにレースのステッカーを貼って、時速105マイル(約169km/h)クラスに参戦。とりあえず、生きて完走という経験を得ました」

エリスの参戦は、主催者の関心を呼んだ。英国人が英国車で戦う姿を見たいと要望したらしい。その意向に、彼は充分なソリューションで応えた。

「ヴォグゾール(英国オペル)でレースした経験があり、ロータス・カールトンが速いことも知っていました。速く走るチューニングの1つとして、信頼性が重要なことも。全開で長距離を走るイベントに、何が求められるかじっくり考えましたね」

「実際、多くの人が修理に時間を割いていました。ネバダ州は暑く乾燥しているので、パワーと空力特性に優れたロータス・カールトンが良さそうだと思ったんです。あるいはベントレー・ターボRか。命のために、ボディは頑丈な方が良かったですし」

オメガのボディへロータスの駆動系を搭載

それ以来、彼はロータス・カールトンに関する理解を深めていった。しかし本物は当時も人気が高く、手の届く価格ではなかった。そこで、廃車状態から救い出したヴォグゾール(オペル)・オメガのボディへ、自ら不要になったロータスの部品を組むことにした。

「廃車置場には3台のオメガがあり、本当は全部買いたいところでした。カールトンにはサンルーフが付いていて、1990年代はステータスシンボルのようなものだったので、ルーフの状態にはコダワリました」

「最終的に、山積みになっていた1番上のクルマから、サンルーフ部分をノコギリで切り取っています」。エリスが笑みを浮かべる。

「フェンダーアーチは、ロータスから治具を借りて加工。最初に取り付けたのは燃料タンクです。ホイールベース内で可能な限り前方へ積めるよう、採寸して固定方法を練りました。F1仕様のスペックで、80Lのものを自作しています」

ロータス側も協力的だったようで、ロールケージが組まれた耐久試験用車両も借りられたそうだ。その結果、オリジナルに近い価値のあるシャシーへ仕上げることができた。

同時に、ロータス側の秘密も知ることになった。「ナルドのテストコースで、ロータス・カールトンは時速177マイル(約284km/h)を記録しています。ナルドはバンクカーブが延々と続く円錐状をしていて、荷物などを積んで重くした方が速かったそうです」

横転の可能性はゼロではない

「エンジンのリミッターを高め、セルフレベリング・サスペンションはフロントを下げ、リアを上げるように改良されていました。フロントを低くし、アンダーボディへ流れる空気を少なくするために」

「このカールトンでも同様ですが、見事に機能しています。空気で生じる圧力の中心は、重心より後ろで生じているようです」

「空気抵抗も良く、ボディ面と平滑なガラスなどでCd値は0.3。ボディキットを付けても0.32程度です。気流を改善するため、シャシー底面にはベニア板を貼っています。純正の燃料タンクがあった場所は埋めました」

カールトンには弱点もあった。リアのディファレンシャルギアは加熱しやすく、2000年9月にエリスが挑んだデビュー戦では使い物にならなくなった。フルードの冷却用システムを荷室内に追加していたが。

「フルードを循環させる電動ポンプはリアにあり、問題が起きても気付かない可能性はありました。最初はエアが混入してしまい、充分に機能していなかったようですし」

「本番は気温が高く、240km/h前後にスピードを抑えて走行していると、コルベットC5がオーバーテイク。過ぎ去る後ろ姿に、白いオイルスモークも見えました。そのオイルでのスピンを恐れ、さらにスピードを落としましたよ」

「横転の可能性もゼロではありません。考えられるのは、タイヤのバーストや横風でのコースアウト。路面のワダチでステアリングが取られることもあり得ます。リアタイヤが浮いて、エンジンの回転数が不意に上昇するのを何度か見ています」

この続きは後編にて。

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