現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 日産シルビア(昭和40/1965年4月発売・CSP311型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト028】

ここから本文です

日産シルビア(昭和40/1965年4月発売・CSP311型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト028】

掲載 1
日産シルビア(昭和40/1965年4月発売・CSP311型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト028】

この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第28回目は、流麗なクーペスタイルが印象的だった初代日産シルビアの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

美への探究から生まれた流麗なクーペスタイル
あくまでも美しいスタイリングを狙ったのがシルビアであるが、そのプロトタイプであるダットサンクーペ1500は、昭和39(1964)年9月に開催された第11回東京モーターショーでデビューしている。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

当時の日本車としてはきわめてユニークな2ドア2座クーペであるが、そのスタイリングは、BMW507(2座スポーツ・カブリオレ)の流麗なデザインで知られている、アメリカのアルブレヒト・ゲルツの「アドバイス」 を積極的にとり入れてつくり上げられたものという。ただし、日産側としては、同社の若手デザイン・スタッフの作品であるとしている。

その真偽はともかく、クリスプ(明快な、簡潔な、の意味)ラインと名付けられたその鋭角的でシャープなシルエットは、宝石のカットを思わせるものがある、と高く評価されていた。もっともあまりのシャープさのため、そのボディの製作にあたってはプレスの限界を超えてしまい、日産系の非量産ボディの専門メーカーである殿内製作所(当時)が手叩きで仕上げたものである。

ベター・ルッキングに相応しい高性能ぶり
シルビアは昭和40(1965)年3月に、ニッサン・シルビアとして正式にデビューし、4月にはアメリカのニューヨーク・ショーに出品された。そしてアメリカの自動車専門誌「カー・アンド・ドライバー」はその年の7月号で、シルビアを「1965 年のベター・ルッキング・カーのひとつである」と高い評価を与えた。

もしそれが、日産のデザイン·スタッフのみの作品とすれば日本車のデザインが国際的に高く買われた最初の例ということもできる。

シルビアは最初ダットサンの名が付けられるはずだったが、「車格のイメージが大衆車のダットサンではふさわしくない」という意見が出て、ニッサンに改められたという。当時の日産がこの「ベタ ー・ルッキング・カー」にかけた期待がうかがえるエピソードである。

昭和39(1964)年から40年にかけて、日本ではスポーツタイプが相次いでデビューしている。シルビアはフェアレディ1500(SP310)の高級クーペ版といった性格をもっていたが、当時の状況を考えれば、そのベースになったのがSP310であるのは当然である。

エンジンはG型のボアを7. 2 mm拡げ、ストロークを7.2mm縮めたショートストロークのR型で(87.2 ×66.8mm)、排気量は1595ccとなっている。

吸排気マニホールドの形状を変えて吸排気の流れを改善し、ビッグエンドにF770合金を使用するなどの手を加え、圧縮比は9.0、SUキャブを2連装して最高出力は90ps/6000rpm、最大トルク13.5kgm/4000rpmを発生した。かなりの高回転タイプといってよい。

トルク特性が素直で回転の伸びも良好
4速手動ギアボックスは、ポルシェタイプのボークリング・フルシンクロ式である。クラッチもコイルスプリングから、ダイヤフラムスプリングに代えて強化をはかり、フェーシング表面積も拡大されている。

スタイリッシュな2シータークーペゆえにあまりスポーツカー的イメージはないが、実際の動力性能は確かなものがあった。SUツインキャブ(日立製)の1.6 Lは基本的にフェアレディ1600と同じで、トルク特性が素直で伸びも良かった。

シャシはSP310(後にSP311)とほぼ同一のX字補強メンバー付きのラダータイプで、前輪はダブルウィッシュボーン/コイル独立懸架、後輪はリジッド・アクスル/半楕円リーフ・スプリングの組み合わせと常識的なレイアウトとなっている。前輪には、ダンロップのMKII型ディスクブレーキが装着された。車内はとにかく快適性が高かった。シートの仕立てもきちっとしていたし、操作系のレイアウトが整理されていた。

車両価格は発表当時でも120万円と、SP311 (1600)が88.6万円、セドリック・スペシャル6(ベースモデル)が115万円であることを考えると、かなり高価なモデルだった。 当時世界のスポーツGTカーが2+2座モデルを競って発表しているとき(ジャガーEタイプ、MGBなど)、2座のシルビアはやや性格があいまいなクルマという評価もあり、結局その総生産台数は554台にとどまった。

CATALOG&TOPIC
しかし、各メーカーが量産態勢の整備に血まなこになっていたこの時代、「あくまでも 美しさ」を求めたシルビアには、逆説的な存在価値があったともいえる。

CATALOG
<意外なスプリンター>
ごく少量生産ゆえに、当時もっとも高価な国産車となった。0→400m加速は18秒台、最高速度160km/h以 上 が 昭和40年 ~ 42年頃の国産スポーツ車の必須データであった。シルビアはこのカベを破ったデータを誇示し性能をアピール。 0→400mは18秒 を切る17.9秒、 最高速 度165 km/hは当時スカイラインGTに次ぐデータであった。

TOPIC
初代シルビアの価格は120万円。いかにそれが高価格だったか、当時の他車と比較してみよう。セドリックの最上級グレードであったスペシャル6は115万円、ホンダS800が65万8000円、スカイラインのGT-Bは90万1000円だった。これをS13型シルビアが発売されていた平成初期の物価に換算すると、650万円程度に相当する。

日産シルビア(CSP311型)諸元
●全長×全幅×全高:3985×1510×1275mm
●ホイールベース:2280mm
●車両重量:980kg
●エンジン型式・種類:R型・直4OHV
●排気量:1595cc
●最高出力:90ps/6000rpm
●最大トルク:13.5kgm/4000rpm
●トランスミッション:4速MT(フロアシフト)
●タイヤサイズ:5.60-14 4PR
●新車価格:120万円

[ アルバム : 日産シルビア はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【ヨーロッパ以外で初】本日から開催! アルピーヌA110RGTが「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」参戦
【ヨーロッパ以外で初】本日から開催! アルピーヌA110RGTが「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」参戦
AUTOCAR JAPAN
クルマ火災の救世主! イタリア発の次世代消火具「ファイヤーショーカスティック」は愛車を守る最強の味方だ。
クルマ火災の救世主! イタリア発の次世代消火具「ファイヤーショーカスティック」は愛車を守る最強の味方だ。
くるくら
今年は飛びませんように……ラスベガスGP、マンホール/水道管の蓋を舗装&補強。昨年とばっちりのサインツも「安全が何よりの願い」
今年は飛びませんように……ラスベガスGP、マンホール/水道管の蓋を舗装&補強。昨年とばっちりのサインツも「安全が何よりの願い」
motorsport.com 日本版
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
レスポンス
ルノー新型「5 Eテック」は約450万円から 英国仕様が発表、春に納車開始へ レトロな最新EV
ルノー新型「5 Eテック」は約450万円から 英国仕様が発表、春に納車開始へ レトロな最新EV
AUTOCAR JAPAN
レクサス新型「“和製”スーパーカー」に反響多数! V8×超美麗ボディに「いつ登場する!?」「憧れる」の声も! 噂の「LF“R”!?」に期待高まる
レクサス新型「“和製”スーパーカー」に反響多数! V8×超美麗ボディに「いつ登場する!?」「憧れる」の声も! 噂の「LF“R”!?」に期待高まる
くるまのニュース
通学向けに特化した専用設計 ヤマハ新型「PAS ULU」登場 バイクメーカーならではの設計が
通学向けに特化した専用設計 ヤマハ新型「PAS ULU」登場 バイクメーカーならではの設計が
バイクのニュース
いまさら聞けない「水素自動車」って何? メリット/デメリット、課題とは 普及は実現可能か
いまさら聞けない「水素自動車」って何? メリット/デメリット、課題とは 普及は実現可能か
AUTOCAR JAPAN
10年の休眠を経てシングルナンバーで路上復帰! 激レアいすゞ「ベレットGT」のファストバックに34年…2年がかりでリフレッシュ!!
10年の休眠を経てシングルナンバーで路上復帰! 激レアいすゞ「ベレットGT」のファストバックに34年…2年がかりでリフレッシュ!!
Auto Messe Web
ペダル踏み間違い時加速抑制装置、国連基準化 2025年6月義務化へ 日本発の技術が世界標準に
ペダル踏み間違い時加速抑制装置、国連基準化 2025年6月義務化へ 日本発の技術が世界標準に
日刊自動車新聞
メルセデスベンツ、新型EVバス『eIntouro』発表…欧州初の無線更新可能なバスに
メルセデスベンツ、新型EVバス『eIntouro』発表…欧州初の無線更新可能なバスに
レスポンス
ホンダ新型「N-BOX」登場! 史上初「映える」凄い“オシャ内装”採用! めちゃ便利な「画期的な機能」も搭載! リラックスできて“テラス気分”な「軽バン」とは?
ホンダ新型「N-BOX」登場! 史上初「映える」凄い“オシャ内装”採用! めちゃ便利な「画期的な機能」も搭載! リラックスできて“テラス気分”な「軽バン」とは?
くるまのニュース
ダイハツ、タフトを一部改良 法規対応で安全装備を追加 価格は6%値上げ
ダイハツ、タフトを一部改良 法規対応で安全装備を追加 価格は6%値上げ
日刊自動車新聞
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
くるまのニュース
どんな違いがあるのか!? 通常モデルとは違う仕様が用意されている中型バイク3選
どんな違いがあるのか!? 通常モデルとは違う仕様が用意されている中型バイク3選
バイクのニュース
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
レスポンス
写真で見るニューモデル 光岡「M55ゼロエディション」
写真で見るニューモデル 光岡「M55ゼロエディション」
日刊自動車新聞
旧ビッグモーター、車両の修理不正もビッグに8万件、補償総額数十億円も[新聞ウォッチ]
旧ビッグモーター、車両の修理不正もビッグに8万件、補償総額数十億円も[新聞ウォッチ]
レスポンス

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

177.0271.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

156.0908.0万円

中古車を検索
シルビアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

177.0271.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

156.0908.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村