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え! 「スカイライン」にハッチバック? 「クラウン」よりスゴイ! 「勘違い」されがちな“老舗ブランド”スカイラインの「本質」とは

掲載 更新 40
え! 「スカイライン」にハッチバック? 「クラウン」よりスゴイ! 「勘違い」されがちな“老舗ブランド”スカイラインの「本質」とは

■「スカイライン」が全て「スポーツ」という「勘違い」

 1957年の初代デビュー以来、65年以上に渡り今も続く日産随一の老舗ブランド「スカイライン」は、コアな走り屋のための「スポーツセダン」というイメージが強いですが、本来はもっと幅広いユーザーに向けたモデルであると同時に、時代の最先端をゆく役目も果たしていました。
 
 同じく60年以上の歴史を持つトヨタクラウン」がSUVなどに大変革していく中、スカイラインがこの先も生き残るために、日産は何をすべきなのでしょうか。

【画像】ワゴンやハッチバックも! 歴代「スカイライン」の知られざる名車を写真で見る(58枚)

 1950年代にはじまり、1960年代に花開いた日本のマイカー時代。当時生まれたクルマの多くは姿を消しましたが、一部のクルマは今なおその名を残しています。

 しかも「セダン」の基本型を貫き通しているクルマがあります。それが、スカイラインです。

 またスカイラインといえば、高性能スポーツセダンの代名詞。モータースポーツでの活躍はあまりにも有名で、スカイラインのスポーティネスを物語っています。

 でもスカイラインの歴史を遡ってみると、実はスカイライン=スポーツセダンとは厳密には言い切れないこともありました。

 まず、1957年に生まれた初代スカイラインは、トヨタ クラウンなどの国産高級車がライバルでした。ただし凝った足回りや高出力エンジンがもたらす性能の高さは、スカイラインにスポーティな性格を与えていたのも確か。

さらに「スカイライン・スポーツ」という、極めて高価で贅沢なクーペおよびコンバーチブルモデルも存在しました。

 1963年登場の2代目(S50型)では、高級車のポジションを「グロリア」に譲り、1.5リッタークラスの小型車に変わりましたが、伸ばしたノーズに6気筒エンジンを押し込んだ「2000GT」の追加により、スカイラインがスポーティであるという印象を高めました。

 続く3代目・C10系(ハコスカ)は、2000GTのヒットやGT-Rの鮮烈なデビューなどにより、現在に至るスカイラインのイメージを強く決定づけています。

 一方でハコスカは、1.5リッターや1.8リッター 4気筒モデルも人気がありました。その後も、「6気筒よりノーズが軽い4気筒のほうが、フットワークに優れている」と評された4気筒モデルは、6代目・R30型まで販売台数の多くを占めました(6気筒と併売された4気筒モデルはその後8代目・R32型まで存続)。

 その証拠に、4代目・C110型(ケンメリ)から6代目まで、4気筒モデルには「TI」(ツーリング・インターナショナル)という名称が与えられ、GTと並行した別のシリーズであることを強調していました。

 その性格は「軽快な走りが楽しめ、燃費にも優れたスポーティなセダン」と言えるもの。日産の屋台骨を支える重要な使命を受けた量販車だったのです。

 もちろんそこには「レースで強いスカイライン」という、長年培ったイメージも手助けしていました。

■スカイラインは「多様性」も備えた「ちょいスポーティなファミリーカー」!?

 なお筆者(遠藤イヅル)は、7代目(R31型)スカイライン4ドアセダンの4気筒モデルで、もっとも安価だった「1800G(1985年式)」を所有しています。

 この車にはパワーステアリングさえありません。簡素なシートは「ローレル」のタクシーモデルと同じ!

 当時の価格は約125万円で、クラスが1つ下の「ブルーバード」でそれなりに装備を持つ1.6リッターの中堅グレードや、さらには「サニー」の上位モデルと同価格帯でした。

 この価格設定は実によく考えられていて「ファミリーカーとしてブルーバードを買おうと思ったけど、その予算があれば、憧れのスカイラインに(たとえ装備が全然ついていなくても)手が届く」という、当時のお父さんの夢を叶えることも可能でした。

 思えば、硬派な印象が強いあのハコスカでさえ、開発コンセプトは「高速化時代に相応しいファミリーカー」だったほど。

 各世代とも、とんがったスポーツモデルがイメージリーダーだったため見逃されがちですが、本質は「ちょいスポーティなファミリーカー」が核だということです。

 その上で、当時の日産の中でも最新鋭技術を搭載することで、「走りが楽しめるスポーティなクルマ」のイメージを高めていたのです。

 豪華なハイソカー路線に転向して批判を浴びた7代目(R31型)の前期型や、元来は別車種として企画され、V6エンジン搭載・プレミアム化で賛否が分かれた11代目(V35型)もまたスカイラインそのもの。

 対極と語られる8代目(R32)も、スポーティネスにあふれたスポーツモデルに昇華しつつ、ふつうのお父さん向けのおとなしい性格のグレードも存続していたことは見逃してはいけません。

※ ※ ※

 ところで前述のように、サニーやブルーバードなどと同様にあくまでも量販車だったスカイラインには、ワゴンやバン、5ドアハッチバックやディーゼルエンジン搭載モデルまでありました。当時、いかにスカイラインが日産の主軸車種だったのかがわかります。

 ワゴンは「商用バンみたい」と思われてあまり売れず、5ドアも国内市場ではまだ受け入れられなかった昭和の時代にあえて展開したことに、日産がスカイラインに込めた先進性や期待の大きさも感じます。

 さらに2009年には、12代目(V36型)の車種展開として、スカイライン初のクロスオーバーSUV「スカイラインクロスオーバー」(J50型)も登場しました。

 FRベース・高性能で流麗なクーペルックというキャラクターは、現在の視点から見ても十分に魅力的ですが、当時はまだ今ほどのSUVブームが来る前。

 同クラスに「ムラーノ」があったことや、高排気量で高価な3.7リッター V6エンジンのみの設定だったこともあってか、販売は苦戦。国内では1世代限りで姿を消してしまいました。

 このように結構チャレンジングなモデルが多いのも、スカイラインが持つ先進性・多様性の一端と言えます。

■市場規模は縮小したけれど! それでもスカイラインを「あきらめないで!」

 さらにスカイラインは、グリスアップ回数の削減、無反射式メーター、テンパータイヤ、電子制御可変吸気コントロール、四輪操舵(4WS)の先駆「HICAS」、FR用4輪駆動システム「アテーサE-TS」など、日産がその時代ごとに開発した最先端の技術や装備を、率先して採用してきました。

 そしてGT-RやRSターボ、GTS-Rなどの高性能モデルを数多く輩出しただけでなく、通常のグレードでも、常にその時代で最強クラスのエンジンを搭載していたのもまたスカイラインの伝統です。

 その流れは、2013年から販売中の現行モデル、13代目・V37型でも踏襲。ダイレクトアダプティブステアリング、同一車線内なら手放し運転が可能な最先端の運転支援システム「プロパイロット2.0」などを満載し「スカイラインは“技術の日産”の象徴である」という系譜を、しっかりと受け継いでいるのです。

 この現行モデルでは、2019年のマイナーチェンジで日産バッジを復活させたり、最高出力405psの高性能版「400R」を追加するなど「ついにスカイライン復活か!」という期待を抱かせました。

 しかし2021年には一部報道で「スカイライン開発中止?」とささやかれ、それを日産が否定。一方で2022年にはプロパイロット2.0搭載のハイブリッドモデルが廃止されるなど、先行きは不透明な状態です。

 誕生以来60年余という歴史を誇るスカイラインは、まさに日本を代表する名車。これほどまでに多くのファンに愛され、ブランド化に成功しているスカイラインが、このままフェードアウトしてしまうのはあまりにも惜しいです。

 しかも、国内における「日産最後のセダン」となってしまいました。

 同じ頃に生まれた老舗ブランドのクラウンが、最新モデルではクロスオーバーSUVから出現し、スポーツSUV・セダン・エステートの4形態を販売するとアナウンスしているように、次期スカイラインにもクーペやSUVなどを展開することで、再興の余地はあるのではないでしょうか。

 スカイラインセダンは海外ですでに「インフィニティ Q50」として地位を固めており、クーペ版「Q60」、クロスオーバーSUVの「QX50」(初代は前出のスカイラインクロスオーバー)、その兄弟車でクーペSUVの「QX55」なども、スカイラインファミリーのクルマとして日本での販売に期待したいところです。

※ ※ ※

 長年に渡り、私たちの心をずっと熱い気持ちで満たしてくれるスカイライン。

 開発中止の噂が流れた2021年、日産の星野副社長が宣言した「日産自動車は決してスカイラインをあきらめません」という言葉を信じ、今後の動向に注目したいと思います。

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みんなのコメント

40件
  • 「GT-Rがスカイラインを生かし、GT-Rがスカイラインを殺した」と感じた、当時、日産の水野和敏さんが説明した「スカイラインを本質に引き戻すためにGT-Rを切り離す。それが互いのためだと思う」がすべて。
  • 高級路線になってフーガと同じような立ち位置になってしまっている。
    フーガを無くしたからそれでいいのかもしれないが、庶民でもちょっと背伸びすれば買える「速いハコ」に戻ってほしい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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