輸入車 [2024.05.14 UP]
DSオートモビル フランスに息づく美と信念を体現したクルマの、はじまりから現在まで
DSオートモビル|語り継がれる名車の系譜 vol.41|
自動車ブランド初!DSオートモビル「ChatGPT」を標準装備に 日本導入は4月中旬
文●ユニット・コンパス 写真●DSオートモビル
※中古車参考価格はすべてグーネット2024年4月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年6月号の内容です)
フランスが抱く、自動車文化を牽引してきたというプライドが込められたDSオートモビル。その成り立ちを紹介する。
パリという街が作り上げた美しく独創的なクルマたち
シトロエンから独立した高級車専門ブランド
フランスは、美しいものに対して深いこだわりを持つ。彼らが紡いできた歴史や文化、その成果物ともいえる美術品を見ればそれは明らかだ。
1770年頃に、キュニョーが世界で最初の蒸気機関自動車を発明したこともあり、20世紀に内燃機関の時代が到来しても、フランスは自動車産業の中心だった。世界初の自動車レースもパリがスタート地点だった。そういう歴史的背景もあり、フランスの自動車ブランドは、独自の道を切り拓く強い信念を持っている。
その体現といえるのが、シトロエンが1955年に発表したDSである。他のどのクルマにも似ていないスタイリングは、高速巡航を快適に行うための空力を意識したもの。サスペンションにも、路面の凹凸を柔らかに受け止め車両の姿勢を一定に保つハイドロニューマチックと呼ばれる独自のシステムを採用。それはまさに世界最先端をゆく内容で、20世紀を代表する名車であった。
21世紀に入ってからも、シトロエンは変わらず個性的なクルマを作り続けてきた。しかし2009年に、ラグジュアリーモデルのブランディングを際立たせるべく、シトロエンから高級車ブランドを独立させる。それがDSオートモビルだ。
ネーミングは言わずと知れた伝説の名車から。ブランドの方向性を指し示すものとして、これ以上ふさわしいものはないだろう。
DSオートモビルはこんなブランド
DSオートモビルのフラッグシップとなるDS 7は、CセグメントのクロスオーバーSUV。フランスのセンスを盛り込んだ内外装には、職人の手仕事的なディテールが光る。
時計のストラップをモチーフにしたシートはDSの特徴として使われるデザイン。ダッシュボードの表皮にナッパレザーを用いるなど、フラッグシップにふさわしい上質さ。
パワートレインは1.6L直4ターボに加え、同エンジンに前後モーターとバッテリーを組み合わせたプラグインHVをラインアップする。
[DSオートモビルが名車になった理由]独自の文化と価値観を突き詰めたラグジュアリーの世界
DSの独創性を受け継ぐブランド
DSオートモビルがブランドのヘリテージとしているのが、1955年のパリサロンで発表されたDS(ディー・エス)。空力的デザインや油圧動力をサスペンションやブレーキなど先進的な設計を採用した。
表現するのはフランス流のラグジュアリー
2009年にシトロエンの上級サブブランドとして位置付けられ、2014年から「DS」として独立。シトロエンがポップなデザインと使い勝手の良さを持つのに対して、DSはラグジュアリーでファッショナブルな世界観を作り出す。
先進的な装備や電子制御を積極的に採用
DSブランドの魅力はデザインだけではない。かつてのDSが独創的なメカを搭載していたように、DSオートモビルは、ステランティスグループのなかで先進的な装備をいち早く搭載するブランドとしても位置付けられる。
フランスが誇る高級車として首相公用車に
シトロエンの上級モデルは政府高官が使う公用車としての役割も担ってきた。もちろん、DSにもその歴史は受け継がれている。フランス大統領のための特別なカスタムが施されたDS 7「ELYSEE」も製作されている。
動きを取り入れた他ブランドにない上質さの演出
個性的なデザインをさらに印象づけるために、エンジン始動時にヘッドライトが可動したり、ダッシュボードに収納されていた時計が回転して現れるといった工夫も。独創的なチャレンジもブランドのアイデンティティだ。
電気自動車のフォーミュラカーレースにも参戦
電気自動車レースの最高峰で、先日日本でも初開催されたフォーミュラE。DSオートモビルは2015-2016シーズンから参加し、これまで2度のタイトルを獲得している。
いま買いの中古車たち
DS 7 クロスバック
現在「DS7」として販売されているモデルのマイナーチェンジ前にあたる。前走車に追従するクルーズコントロールなど装備も充実している。中古車価格もこなれてきた。
中古車参考価格帯:250万円~560万円(18年~23年 DS 7 クロスバック 全グレード)
DS 3 クロスバック
SUVテイストの小型クロスオーバーモデル。実用性を高めつつも、仕立てはやはりラグジュアリーで、インテリアもクラスを超えた質感を誇る。中古車価格がこなれてきているのも魅力だ。
中古車参考価格帯:210万円~450万円(22年~24年 DS 3 クロスバック 全グレード)
DS 4
Cセグメントのモデルでありながら、ラグジュアリー感あふれる内外装のデザインを採用。1.2Lターボ、1.5Lディーゼルターボ、1.6Lターボ+モーター搭載のプラグインHVをラインアップ。
中古車参考価格帯:430万円~600万円(22年~24年 DS 4 全グレード)
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みんなのコメント
フランス自動車史の黎明期を飾る重要な会社のひとつにしてタルボ=ラーゴの前身であるダラック、そして、戦後にそのタルボ=ラーゴやフランス・フォードを吸収し、一時はド=ゴール大統領の公用車も手掛けたシムカ。要はルノーでもプジョーでもシトロエンでもない、フランス車第4の血統を体現するブランドなのだ。少なくとも、DとSとを組み合わせたエンブレムや、上の二角を切り欠いたフロントグリルのデザインは、かつてのダラックを彷彿とさせる。そしてプジョーにもシトロエンにもないノッチバックセダンのDS9は、フランスフォード・バデット〜シムカ・アリアーヌ〜クライスラー180〜タルボ・タゴーラと紡がれた系譜の復活に他ならない。
もういい加減、「シトロエンのふり」をするプロモーションは止めたほうがいいと思う。
シトロエン(37万台)の道楽?