新車試乗レポート [2023.05.30 UP]
【日産 アリア B9 e-4ORCE】アリアのすべてを味わうなら4WDモデル!
文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、日産
待ちに待ったアリア4WDモデルを公道で試すチャンスが来た。
アリアは日産における電気自動車(BEV)のフラッグシップモデルで、最新の技術や機能、装備が投入されている。すでに2WDモデルは試していたが、本命との呼び声が高い4WDモデルを試さずに、アリアを語ることは難しい。
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アリアの4WDモデルに注目する理由
アリア B9 e-4ORCE
なぜ、アリアの4WDに注目するのか。とくに悪路を走る機会が少なく、降雪などの悪天候ではあまり走りたくないという多くの人にとっては、4WDの必要性に疑問を感じるかもしれない。
じつは、アリアの4WDモデルが搭載する先進技術「e-4ORCE」は、悪路での走破性を高める機能だけでなく、毎日の日常でも、メリットを感じられるように作られている。なのでこのレポートでは、普通の乗用車としての使い勝手と、雪上試乗での悪路性能の両方をレポートしたい。
4WDモデルはバッテリー容量によって2タイプ存在
アリア B9 e-4ORCE
アリアの4WDモデルは、バッテリー容量の異なる2タイプが用意されている。
「B6 e-4ORCE(66kWh)」と「B9 e-4ORCE(91kWh)」だ。執筆時点では、納期が長期化している関係で受注を停止しているが、発売当初の限定車の価格は「B6 e-4ORCE リミテッド」が720万600円、「B9 e-4ORCE リミテッド」が790万200円であった。つまり、2WDと4WDの価格差は約72万円ということになる。なお、これらは標準装備を充実させた限定車を元にした話で、通常モデルの「B6」は539万円であることもあわせてお伝えしておきたい。
4WDモデルと2WDモデルの大きな違いはモーターの数。4WDを実現させるために、アリアでは前輪と後輪それぞれに駆動用モーターを搭載している。床下にバッテリーを敷き詰めるBEVではよくある方式だ。
加速力はスポーツカーレベルにある
アリア B9 e-4ORCE
モーターが増えたことで性能面でも大きな違いが生まれている。「B6」では、最高出力が90kW、最大トルクが260Nmアップすることで、0-100km加速は7.5秒が5.4秒に。最高速度も160km/hから200km/hと大幅にレベルアップしている。
今回試乗した「B9 e-4ORCE」はシリーズで最高性能を誇り、最高出力は290kW、最大トルクは600Nm、0-100km加速は5.1秒。それでいて、後続可能距離は580km(WLTCモード)と余裕たっぷり。フラッグシップにふさわしいスペックといえる。これはメルセデス・ベンツのEQCとほぼ同等で、スポーツカーであるフェアレディZ(2012年モデル)の5.3秒を上まわる。
どこまでもクールで洗練された走り味
スペックだけみれば過激なクルマかと思うかもしれないが、「B9 e-4ORCE」に乗った印象はまったくの逆。
交通の流れに沿って常識的な運転をしているかぎり、ほとんどのドライバーは大人しくて運転しやすいクルマだと感じるはずだ。だが、実際の車重は2.2トンを超えるわけで、従来の常識から考えれば真逆な印象ということになる。
それこそが「e-4ORCE」の魅力。発信加速に優れるのはBEV全体の特徴だが、「e-4ORCE」は4つのタイヤに効率的に力をかけるため、タイヤが無駄にスリップすることなく、なおかつなめらかに加速する。タイヤをスピンさせながら急加速すればドライバーは「パワフルで迫力のあるクルマだ!」と感じるが、じつはそれは無駄なエネルギーを放出しているわけで、当然航続距離も短くなってしまう。アリアの走りに迫力がないことは、逆説的ではあるが「e-4ORCE」の高い効率を裏付けているのだ。
市街地を走らせていて気がついたことがもうひとつ。運転しやすいと感じた理由について。コーナーや交差点で身のこなしがとても軽やかなのだ。もっと小さなクルマを走らせているような感覚で、ハンドル操作に応じてスッとクルマの向きが変わる。これもじつは「e-4ORCE」のおかげ。前後モーターのトルク配分制御と内輪ブレーキ制御を組み合わせることでこれを実現しているという。
また、他人の運転で助手席に乗っているときも快適だった。クルマが加速、減速するときにクルマが瞬時に姿勢を制御するため、首が前後にシェイクされないのだ。これは地味に嬉しい。きっとロングドライブでの疲労も変わってくるはず。
とにかくクールというか、いい意味でクルマが主張しない乗り味というのが「B9 e-4ORCE」に丸1日、数百キロ乗った感想だ。性能も機能も盛り沢山だが、それを声高に主張しないというキャラクターは、電気自動車であることも相まって新鮮な印象を受けた。
アリア B9 e-4ORCE
滑りやすい路面で「e-4ORCE」の絶大なる安心感を体験
凍った湖の上で行われた試乗会では、路面状況が悪くなったときの安定感の高さを実感した
なお、氷上でアリアの「B9 e-4ORCE」を走らせたときの印象も振り返って考えればそのとおりだった。同時にテストしたエクストレイルがドライバーの意図を汲んでワイルドな走りを披露したのに対して、アリアは徹底的に安定志向。あまり運転が得意でないドライバーが雪道を走らせたとしても、スピードさえ出しすぎなければヒヤヒヤすることはあまりないはずだ。
まとめ
見た目どおり、クールでスタイリッシュなクルマだったというのがアリア4WDモデル。ファーストカーとして使える航続距離、日本車ばなれした未来的な内外装、輸入車を含めてもトップクラスにあると言える先進安全装備を考えると、まさに日産のフラッグシップモデルにふさわしい内容となっている。
気になるのはいつ手に入るのかというクルマの本質とは距離があるが、深刻な問題。初期に受注した限定モデル以降、4WDモデルは現在オーダーストップがかかっている。せっかくの先進的な内容であっても、このまま時間が過ぎていけばニューモデルとしての旬が短くなるのは間違いない。日産復活を印象づける力の入ったクルマだけに、販売再開が待ち遠しい。
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