デルタをベースに名門カロッツェリアが仕立てた希少2ドアスポーツ
——さて、2022年の1回目です。何か特別なモデルを紹介したくないですか?
松本 確かに最初だし、素敵な車がいいよね。今、カーセンサーEDGE.netを見ているんだけど、イタリア車ってほんと華があると思うんだよね。アルファ ロメオ ジュニアザガート、マセラティ スパイダーザガート、アルファ ロメオのモントリオールとかさ?
——今回はそれらに負けないぐらいの希少車を用意しましたよ。前にお邪魔したことがありますが、世田谷のシノダオートモービルさんに変わった車があったんですよ。松本さん、お気に召すかな? ザガートのハイエナ? っていうんですけど。知ってます?
松本 本当に? それは恐ろしくレアだよ。一度だけ実車を見たことあるんだけど、写真で見るよりもギュッと凝縮感があってさ。同じ系統のデザインだったアルファ ロメオ SZ(5ベースの新しいタイプ)よりもキビキビしてて、往年のザガートを彷彿とさせる軽快なフォルムなんだよ。
——やっぱり探してみると面白い車が流通しているんですね……。あ、この車ですね。あれ? これ何かの車に似てますよね? なんだろう。
松本 この車のコンポーネントはランチア デルタHFインテグラーレのエボルツィオーネなんだ。だからファーガソンタイプのフルタイム4WDを積んでるんだよ。
——あー。え? デルタHFインテグラーレって4ドアですよね? この車、2ドアですけど……。
松本 カロッツェリアザガートにとってはそんなのはお茶の子さいさいなんだよ。まさかと思うけどカロッツェリアザガートは知ってるよね?
——はい……ある程度は……ですけど。
松本 ホント、ちゃんと覚えておいてよ。このカロッツェリアを知らないと会話に加われないからね(笑)。
——念のため、もう一度説明をお願いします……。
松本 カロッツェリアザガートは、傑作と言われたフィアット 600ベースのGT モデルであるフィアットアバルト 750ザガートとか、アルファ ロメオ SZ、TZ、弩級のモデルだとアストンマーティン DB4 GTザガートなんかを作った会社なんだ。1950年代にはフェラーリをワンオフで作ったりしてたね。会社を作ったウーゴ・ザガートという人は、航空機技術に精通した人物でアルミ合金を多用して強度を上げる作り方を知っていた人と言われているんだ。
——ほうほう。
松本 まさに、憧れのカロッツェリアなんだよ。分からないかなぁ、このすごさが。
——わ、分かりますよ。
松本 ちなみに、僕は20年くらい前にこのカロッツェリアザガートへ行ったことあるんだよ。
——本当ですか?
松本 まだ近代的になる前の感じでね。写真でしか見たことなかったカロッツェリアの仕事場が幸運にも覗けたんだよ。小さなクレイモデルを置くテーブルに、赤と白のテーブルクロスを広げて自家製のパニーニと瓶に入ったジュース類を振る舞ってくれてね。そんなすごい会社なのに、とても気さくな人たちばっかりだったよ。カロッツェリアザガートの3代目であるアンドレアさんと一緒に歓談しながら楽しいランチタイムを過ごしたりしたよ。
——またすごい話ですね、それも。
松本 なんか無造作に、埃を被ったトロフィーが置いてあったんだけど、見たら1960年代のタルガフローリオのモノだったりしてびっくりしたよ。それほど大らかなカロッツェリアなんだ。こういう自由な雰囲気だから、小ロッドの素晴らしい作品が世に送り出せたんだと思うよ。
——このハイエナザガートはどんな車なんですか?
松本 この車は経緯よりも詳細の方が大事だから生い立ちはあえて割愛するけど、クラシックカーに詳しいオランダの実業家がスケッチ見て作ろう! と狼煙(のろし)を上げたのがきっかけだったんだ。そして75台限定で作ることになった。そういえば昔、横浜にザガート・ジャパンっていう輸入元があって、何度か他のザガートを見に行ったな。
——これだけ大きく作り替えるのって、かなり大変なんですよね?
松本 そうだね。このハイエナを作るにあたって、かなり苦労したそうなんだ。なんといってもフィアット側はストリップアウトしたデルタ インテグラーレのシャシーだけはできないって主張していたらしく、仕方なくディーラーからランチア デルタHFインテグラーレを購入してきて、それをバラバラにして作ったんだよ。
——もったいない話ですね……。
松本 この車はプラットフォームとエンジン、動力伝達系はインテグラーレのものを使って、キャビンのほとんどはアルミ合金の板から叩き出して作られているんだよ。このあたりは昔ながらの作り方だね。FRPで型に樹脂や繊維を張って作る方式と違って、テクニックとセンスが問われるんだ。いわばアルティジャーノ(職人)ここにあり、みたいなモデルなんだよね。
——ちょっと他では見られないフォルムですもんね。
松本 スポーツカーとして軽量化にも配慮してあってね、ドアの内張りやダッシュボードはカーボンコンポジットで作られているんだ。しかもボディ剛性を高めるためにリアハッチが開かない、いわゆるモノフォルムで作られているんだよ。実用性よりも性能とデザインを重視したんだね。あと、オリジナルのランチア デルタHFインテグラーレよりも150kgも軽く作られているんだ。
——限定生産75台ってかなり少ないですよね?
松本 そうだけど、実際には75台は作られず、24台と言われているんだ。本当にレアモデルだよ。しかも作っているのはフィアット、アルファ ロメオやマセラティ、そしてランチアの黄金期を支えて、イタリアの輝かしいスポーツカー史を作ったカロッツェリアだからね。今、ハンドメイドの車にどれだけ価値があるか、流通価格を見れば分かるでしょ?
——確かにそのとおりですね。
松本 唯一無二の歴史ある少量カロッツェリア、ザガート社が作ったハイエナザガートはちょっとやそっとではお目にかかれないモデルだし、価値が上がるのはむしろ当たり前だと思うな。
ランチア ハイエナ ザガート
ランチア デルタ HFインテグラーレをベースに、名物カロッツェリアのザガートが仕立てた2シータークーペ。ボディには、ザガートが得意としていた軽量なアルミが用いられている。75台を予定していた生産台数は、最終的に24台のみに。撮影車両は正規輸入された3台のうちの1台となる。※カーセンサーEDGE 2022年3月号(2022年1月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています文/松本英雄、写真/岡村昌宏
【取材協力】シノダオートモービルカーセンサーEDGE.netはこちら
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
660ccのスバル「小さな高級車」に反響殺到!「意外と安い」「上質な軽自動車ってサイコー!」の声も! 快適すぎる“超豪華インテリア”採用した「オトナの軽自動車」ルクラに大注目!
「ズラリと並んだ護衛艦」が一斉に出港!“壮観すぎる光景”を捉えた写真を海上自衛隊が公開
ホンダが世界初の「新型エンジン」公開で反響殺到! 伝統の「赤ヘッド」&“V型3気筒”に「面白そう!」「これでこそホンダ」と称賛の声! 超進化した新型「すごいエンジン」に大注目!
「ホテルが見つからない」 大阪万博またピンチ! 稼働率全国トップの80%超え、宿泊費2~3倍高騰も! 宿泊難民続出で、兵庫県へ“避難”勧告の現実か
スバル「新型フォレスター」登場へ! 7年ぶり「フルモデルチェンジ」で何が変わった? 全長4.6mちょうどいいサイズは“そのまま”に「大進化ポイント」存在! 【開発者インタビュー】
ついにエルグランドが2026年フルモデルチェンジ。第3世代e-POWER搭載で低燃費実現へ
スバル新型「フォレスター」発表に反響殺到!?「歴代で一番好き」「間違いなくヒット」の声も! ゴツいタフ顔&強化ハイブリッドで別次元に!? どう変化したのか
【震えて待て】アルファード中古価格の下落が止まらない。ローン終了と増産で次なる下値待ったなし
「ホテルが見つからない」 大阪万博またピンチ! 稼働率全国トップの80%超え、宿泊費2~3倍高騰も! 宿泊難民続出で、兵庫県へ“避難”勧告の現実か
免許取得者の3割がMT免許を選んでるしシビックRSも大人気! 自動車メーカーはぜひMT設定の見直しを
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント