初代「カイエンGTS」で感じた雷に打たれたかのような衝撃
2000万円ほどの予算で選ぶ場合、どのSUVがいいか? ある人はメルセデス・ベンツ「Gクラス」と答えるかもしれませんし、「レンジローバー」と答える人もいるでしょう。なかには、レクサス「LX」と答える人もいるかもしれません。
【画像】「えっ!…」SUVなのに走りが楽しい! これがポルシェの旗艦SUV「カイエンGTSクーペ」です(30枚以上)
しかし、スポーツカー好きの答えは、一択ではないでしょうか。そう、ポルシェ「カイエン」です。何しろ、世界有数のスポーツカーブランドが手がけるフラッグシップSUVですからね。
“オンロードでスポーツカーに匹敵するほどのドライビングフィールを味わえるSUV”というのは今でこそ珍しくありませんが、初代「カイエン」が登場した2000年代初頭では、非常に貴重な存在でした。
それまでのSUVは、オフロードを重視したいわゆる“本格派”が主流で、オンロードでの快適性や操縦性を重視したタイプは“都会派SUV”なんて呼ばれていました。
しかしそれらであっても“運転感覚はセダンに近いもの”止まりであり“スポーツカーに匹敵するほどの走り”といった領域にまでは踏み込めていませんでした。
そんな状況をまず打破したのはBMW。SUVブームの兆しが見え始めた2000年に、悪路走破性とスポーティなドライビングフィールを兼備した同社初のSUV(BMWはスポーツ アクティビティ ヴィークルを意味する“SAV”と呼ぶ)初代「X5」をリリースします。
この「X5」のヒットは、「悪路走破性はほどほどでOKだけどスポーティな走りも楽しめるSUVが欲しい」というニーズが、想像以上に大きいことを露わにしました。
同様のニーズをつかんでいたのがポルシェです。2002年に、それまで背の低いスポーツカーしか手がけていなかったスポーツカーブランドのポルシェが、突如SUVの「カイエン」をリリースしたのです。
デビューと同時に瞬く間に世界中でスマッシュヒットを記録した「カイエン」は、年を追うごとにバリエーションを拡大。2019年には3代目「カイエン」の派生モデルとして「カイエンクーペ」という名のクーペモデルも追加しています。
そんな「カイエンクーペ」の中で最もピュアなハンドリングフィールを味わえるグレードが、今回フォーカスする「カイエンGTSクーペ」です。
初代「カイエン」にラインナップされた「カイエンGTS」を初めてドライブしたときの感動は、筆者(工藤貴宏)にとっては鮮烈すぎて今も忘れることができません。走り始めて最初の交差点を曲がっただけで、雷に打たれたかというくらいの衝撃を受けました。
ステアリングを切ると、車体の重さや重心の高さを一切感じさせることなくクイックに向きを変え、そのまま路面に吸いついているかのごとく曲がっていく……。それまでのSUVでは決して体験したことのない、まるでスポーツカーのようなドライビングフィールだったのです。
●コーナリング性能は一級品、コンフォート性能も極上
そんな筆者にとって特別な思い出のある「カイエンGTS」の最新モデル「カイエンGTSクーペ」。試乗してみて感じたのは「走りは相変わらず一級品だな」という思いでした。
率直にいうと、初代の「カイエンGTS」のように、とことんハンドリングを極めているといったピュアな印象は少しマイルドになった気もしますが、「やはりスポーツカーブランドのつくるSUVはひと味違うな」という気持ちにさせてくれます。
なかでも、大きく重い車体をしっかりとコントロールするサスペンションの調律はお見事。アクセルペダルを踏み込みながらコーナーを駆け抜けていく際の爽快感は、「スポーツカーを運転しているのでは?」と錯覚するほどです。
スタンダードな「カイエンクーペ」や「カイエンSクーペ」と比べて24mm低い車高や、「カイエン」シリーズで最も大きいネガティブキャンバー(タイヤの傾き)は決して伊達ではありません。
そんな一級品のコーナリング性能だけでなく、乗り心地などのコンフォート性能も極上なのが「カイエンGTSクーペ」のもうひとつの魅力。「こういう乗り味は他社のSUVでは味わえないよね」と改めて実感させられます。
細部にまで貫かれるスポーツカーらしさ
「カイエンGTSクーペ」のスポーツカーらしい点は、ハンドリングフィールだけではありません。
例えば、パドルシフトは操作感が重く、いかにも操っているといった感覚を味わわせてくれる設計となっています。軽い操作感なら「使いやすいね」という評価を得られるでしょうが、ポルシェは「重くて操作しづらい」といったクレームを受けることを恐れず、あえて重めの操作フィールに設定しているのです。
「カイエン」シリーズを普段から愛用している人なら気づかない些細なことでしょうが、こういった細部にもスポーツカーらしさが貫かれているのです。
また“加速”や“コーナリング”と並び、走行性能における重要な要素となる“減速”=ブレーキング時の安定感もたまらないものがあります。
ポルシェの本拠があるドイツには、速度無制限区間のある高速道路がありますが、そこを走っていると急に前方の車間距離が詰まり、150km/hを超える速度域からフルブレーキングを迫られることがあります。
そのようなシーンでも、「カイエンGTSクーペ」は前のめりの不安定な姿勢になることはなく、クルマ全体を深く沈めるように安定して減速していきます。この挙動はさすがのひと言。どんな場面でドライバーの期待を裏切らない辺りも、ポルシェらしい部分といえるでしょう。
●カミソリのような鋭いレスポンスとパンチ力が生む刺激
そんな「カイエンGTSクーペ」は、今となっては希有な大排気量のマルチシリンダーエンジンを搭載しています。
それは、最高出力500ps、最大トルク660Nmを誇る4リッターのV8ツインターボで、現行「カイエン」シリーズの“非ハイブリッドモデル”の中では最高のパフォーマンスを発揮します。
とはいえ、0-100km/h加速が4.4秒、最高速度が275km/といったスペックは、実はそれほど重要ではありません。筆者が高く評価したいのは、その豊かな官能性です。
アクセルペダルを深く踏み込めば、伸びやかなV8サウンドが耳に心地よく、さらに高回転域まで回すとカミソリのような鋭いレスポンスとパンチ力による刺激を味わわせてくれます。
実はこの非ハイブリッド系V8エンジン、現行「カイエン」シリーズに搭載されるのが最後となるのでは? というウワサもあります。それが事実か否かは次世代モデルの登場まで分かりませんが、社会情勢を考えると、そうなっても決しておかしくはありません。
* * *
「カイエンGTSクーペ」は、ドライビングに楽しみを見出すクルマ好きにとっては唯一無二の存在といえるでしょう。SUVとはいえ、スポーツカーブランドが手がけるモデルはやっぱり他とは違うのです。
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みんなのコメント
コンセプトが明確なんだろうね。1日の長があるって事やね。
流石ポルシェ社のセッティングよ
まぁそのぶんタイヤの減りが凄まじいけど