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日本でEVが中国なみに普及する時代は果たして来るのか?  来るとしたらそのために必要なのは?

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日本でEVが中国なみに普及する時代は果たして来るのか?  来るとしたらそのために必要なのは?

 トヨタbZ4XがサブスクのKINTOで5月12日から展開されることが発表され、参考価格がFFで600万円、4WDで650万円になった。また、兄弟車のスバルソルテラは594万~682万円。すでに日産ARIYAは標準539万~、B9 e-4ORCE limited790万200円~でWeb受付中で、ヒョンデアイオニック5は479万~589万円だ。

 今年2月のヒョンデアイオニック5試乗を皮切りに、bZ4Xとソルテラ、そして日産ARIYAと、主要日韓EVのSUVモデル4台すべてを試乗した国沢光宏氏。そこで、EVが現時点で日本に比べて普及している中国並みに日本でEVが普及する日は来るのか、またそのために必要なことについて国沢氏がレポートする。

日本でEVが中国なみに普及する時代は果たして来るのか?  来るとしたらそのために必要なのは?

文/国沢光宏、写真/奥隅圭之、佐藤正勝、平野 学、日産、ベストカーWeb編集部、ベストカー編集部

■10年後のメインとなるであろうEVを見据え、直近では売れるのか?

トヨタbZ4X(写真左)とスバルソルテラ(写真右)。車格でいえば、ハリアーの兄弟車的なSUVのEV版だ

『bZ4X/ソルテラ』、『ARIYA』、『アイオニック5』と、次世代を担う電気自動車がたくさんデビューしてきた。興味深いことにニッチなマーケットじゃなく、エンジン車からの代替を想定した「売れ筋ど真んなか」を狙っていること。だからこそアイオニック5はWCOTY(ワールドカーオブザイヤー)を受賞し、高く評価されたワケです。当然ながら我が国も10年先には電気自動車がメインとなる。果たして売れるだろうか?

 まず、3モデルを紹介してみたい。bZ4Xは(以下ソルテラを含む)、2030年に250万台の電気自動車を販売するという目標を立てたトヨタの先鋒として登場した。プラットフォームはTNGA GA-Kをベースにした電気自動車版。大雑把に言えばハリアーの兄弟になる。したがってボンネットを開けるとガソリン車とソックリ。インテリアもセンターコンソールのあるエンジン車風。

 走りはよく言えば「エンジン車から乗り替えても違和感なし」。電気自動車だとワクワクしながらハンドル握ると、少しばかり「華やかさ」に欠ける。トヨタ/スバル開発チームに聞くと、「普通に乗れるクルマが開発目標です」。豊田章男社長体勢になる前の80点主義だったトヨタ車を思い出した。とはいえボディ剛性高く、前後の重量バランスいいためキッチリ曲がるいいクルマです。

こちらは日産ARIYAと筆者。今年秋までは標準仕様のFFモデルのみの販売となる

 続いてワールドプレミアから2年半もかかって登場したARIYAながら、いまだに大容量電池モデルやAWDモデルは上市されず、秋まで標準電池のFFのみの販売になる。したがって絶対的な動力性能や、航続距離での「凄いですね!」についちゃなし。しかし、少しガッカリしながらハンドルを握ると「タイしたもんだ!」という評価に切り替わります。驚くほど静か&滑らかなのだ。

 こう書くと電気自動車なんだから当たり前でしょ、と思うだろうけれど、圧倒的なスムーズさを出すのは駆動系の工作精度やモーターの巻き線技術、そして制御のノウハウを必要とする。登り坂でジワジワ走り出す時の微振動や、アクセル全閉から全開にした時のレスポンスが素晴らしい! まぁ違いのわかる人だけ驚くことですけど。インテリアもおカネがかかっており素敵!

今年2月に実施されたヒョンデアイオニック5をドライブする筆者。その完成度の高さは辛口で鳴らす筆者に舌を巻かせたほど!

 最後に、アイオニック5は実車を見て/乗って「こりゃ凄い!」。クルマにウルサい欧州COTYの選考委員たちもそう思ったのだろう。アイオニック5が3位。兄弟車の起亜EV6が大賞を獲得した。電気自動車専用プラットフォームということもあり、足元はフラットで広々としており、開放感タップリ! ステアリングギアボックスからタイヤ選びまでお金をかけているのも欧州で評価された。

 そして電気自動車としての華やかさを持つ。普通に走っていれば制御系はARIYAに肉薄するほど上質。乗り心地のよさを含めれば総合評価でARIYAを凌ぐ。それでいてAWDモデルは絶対的な動力性能で「凄いね!」。クルマ通でも驚く元気さを持ち、さらに後輪駆動ベースだからハンドリングはスポーティ。日本だとバイアスがかかる韓国車だということを忘れたら圧倒的な魅力度を持つ。

■2023年に現在の3倍の台数が普及するのは厳しい様相だが……

日産ARIYAは初期受注のバックオーダー分は、すでにすべてのユーザーに届いているのだというが……

 長い前置きになった。ここから本題となる『日本でも電気自動車は普及するか』について考察してみたい。すでに納車が始まっているARIYAの場合、初期受注分のバックオーダー分は(B6リミテッド)すべてユーザーの手元に届いたと聞く。正しい情報を伝えると、新型コロナ禍や半導体不足で生産が遅れており、輸出モデルを含めフル生産ながら作り切れていない状況。

 bZ4Xとソルテラも同じ。この2車種、そもそも2022年の生産&販売計画台数が少ないため、発売と同時に年内分は売れてしまったようだ。トヨタもスバルも両車合わせて5000台程度と言われる台数分くらいの「電気自動車を待っていた顧客」がいたということです。しかもARIYA同様、新型コロナ禍と半導体不足でフル生産体制になっていない。作りきれていないです。

 アイオニック5はどうか? 世界規模で見ると圧倒的な生産台数不足! なんせ欧州を見るとバカ売れに近い。日本に先駆けて発売したアメリカもヒョンデ自身が驚いているほどの受注という。日本を除けば韓国車に対するバイアスなし。純粋にクルマだけ見たら、日本勢より圧倒的に上質で高い性能を持つ。私も日本人じゃなければこの3車種で考えたら1秒も迷わないです。

■日本製EVは毎年FMC級の進化を果たすことが必要だ!

日産初代リーフ。筆者曰く、「電池の寿命とリセールバリューの悪さをイメージづけてしまった」と負の印象を指摘する

 ということで今年の販売台数は4車種とも「普及」と表現するには少なく、むしろニッチマーケットが反応している感じ。加えて現在進行形の受注状況を考えるなら、少しばかり伸び悩んでいる様子。したがって2023年に販売台数が3倍になるかとなれば、今のところ厳しい感じ。とはいえトヨタでいえば、2030年に250万台という電気自動車を販売しようと考えている。

 2023年が世界6万台だったとしても、8年でその40倍以上の台数を売らなくちゃならないワケ。もちろん車種だって増えていくだろうけれど、先鋒としちゃアイオニック5に代表される海外勢と激しく勝負しながら10万台くらい欲しいところ。残念ながら現在のbZ4X&ソルテラとアイオニック5が世界を舞台にガチで戦えば厳しい、毎年フルモデルチェンジする勢いでの進化が必要だ。

 日本市場では電気自動車に対する評価を変化させなければならないと思う。日産リーフが「電池寿命が厳しい」とか「極端にリセールバリュー悪い」というマイナス評価を定着させてしまった。リーフe+など3年/2万km走って電池は新品同様なのに! 一度低下した悪いイメージを回復させるのには時間と努力を必要とする。電気自動車の普及には何かキッカケが必要か?

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みんなのコメント

28件
  • 宏光なんか見たくない。
  • まともな内燃機関も作れない中国がEVに目を向けるのは必然。日本自動車産業とは背景が違うぞ!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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