シトロエンやプジョーと基本設計や技術を共有
イタリア伝統のブランドを、活性化させる役割を担ってきたモデルは数多い。しかし、小さく新しい電動クロスオーバーは、その目的をしっかり果たせる可能性が高い。
【画像】新時代の幕開けを告げるSUV アルファ・ロメオ・ジュニア・エレトリカ サイズが近いモデルは? 全149枚
充分な販売数を稼ぎ出し、経営を安定化させるには、航続距離や充電速度、価格など、相応の実力が不可欠。だがそれに加えて、アルファ・ロメオの場合、ブランドらしさも極めて大切な要素になる。
今回、ジュニア・エレトリカを試乗したのは、ミラノ郊外にあるバロッコ試験場。過去には、8C コンペティツィオーネやジュリア・クアドリフォリオもテストにかけられてきた、広大なサーキットが整備された場所だ。
正式な量産仕様ではなく、公道へは出られないのかもしれない。同時に、ジュニアの運転の楽しさへ、アルファ・ロメオが自信を抱いている証拠でもあるだろう。このモデルの開発技術者は、ジュリア GTAにも携わった人物が多いとか。
またジュニアは、ステランティス・グループに属する、シトロエンやプジョーが提供する同クラスのSUVと基本設計や技術を共有している。サーキットで、ブランドの独自性を強調する狙いもあるはず。
同社の上層部の1人は、「プラットフォームは、エンブレムの内側にあるすべてではありません」。と話す。かくして、ボディサイズはジープ・アベンジャーやフィアット600eに近いが、ジュニアは想像以上にアルファ・ロメオなようだ。
新時代の幕開けを告げる大胆デザイン
ジュニアのボディサイズは、全長が4173mm、全幅は1781mm。全高は、ヴェローチェでは通常より25mm低く、1505mm。写真から受ける印象以上に、実物は小さい。
2020年に生産を終えたジュリエッタのボディサイズは、順に4351mmと1798mm、1465mmだった。樹脂製のフェンダーアーチをまとうが、ジュニアは40mm高いだけ。背の高いハッチバックと考えても良さそうだ。
スタイリングは、ブランド新時代の幕開けを告げるような、大胆なもの。逆三角形のスクデット・グリルに、テレダイヤル・ホイール、ストンと切り落とされたコーダトロンカ・リアエンドなど、特有の特徴にも事欠かない。
エアインテークの造形は複雑で、LEDのイルミネーションはモダン。しっかり流行も抑えられている。
インテリアも、特徴を受け継ぎつつ従来とは一線を画す。スイッチ類などは、ステランティス・グループで共有される部品ながら、ダッシュボードのデザインはドライバー・オリエンテッド。過ごしやすく、運転へ集中しやすく、実用性も忘れていない。
メーター用モニターは、望遠鏡を意味する、カノッキアーレ・カウルの内側。底部がフラットにカットされたステアリングホイールは、アルカンターラ巻き。リムは適度に太く、握りやすい。スポーク部分にはスイッチが並ぶ。
ドライバー側へ傾いたインフォテインメント用タッチモニターは、10.25インチ。システムはメニュー構造が理解しやすく、反応は素早く、グラフィックも鮮明だった。
最高出力は282ps 航続距離は334km
運転席の着座位置は低めで、センターコンソールは高め。心地良い包まれ感がある。試乗車のヴェローチェ・グレードには、スポーツシートが備わる。サイドサポートの間隔は、もう少し広くてもいいだろう。
リアシートは大人2名に問題ない広さ。小物入れも各所にある。荷室容量は400Lあり、このクラスでは小さめといえるが、週末のお出かけに困るほどではないはず。床面の高さは、3段階に調整できる。
ボンネットを開くと、エンジンカバーのようなリッド。その下に、充電ケーブル用の収納がある。
エレトリカ・ヴェローチェに載る駆動用モーターは、282ps。バッテリーは50.8kWhで、航続距離は334kmと長くはない。急速充電能力は100kWで、こちらも速いとは呼べない。最高速度は199km/hが主張されるが、その手前で速度上昇は弱まるようだ。
ベースグレードのジュニア・エレトリカは158ps。航続距離は410kmになる。
追って、ガソリンエンジン仕様も登場予定。これはジュニア・イブリダを名乗り、135psを発揮する1.2L 3気筒ターボを積んだ前輪駆動となる。リアアクスルに電気モーターを追加した、四輪駆動も用意される。
さて、ジュニア・ヴェローチェを走らせてみると、数字通り活発。馬鹿げた勢いで加速することはなく、本気のダイナミック・モードでも余裕あるパワーを発揮させやすい。カーブからの脱出は不満なく鋭く、追い越しも余裕でこなせる。
目を見張るほど精彩なコーナリング
ヴェローチェではサスペンションが専用チューニングで、14.6:1というショートなステアリング・レシオを採用。フロントには直径380mmのベンチレーテッド・ディスクブレーキが組まれる。タイヤは、ミシュラン・パイロットスポーツEVを履く。
前輪駆動だが、トルセン式のリミテッドスリップ・デフを搭載。左右のタイヤ間のパワーバランスを整え、アンダーステアを抑え、ステアリングの精度を高めたという。
これらが相乗し、コーナリングは目を見張るほど精彩。攻め込みすぎると外側へ流れ、内側のタイヤから荷重が抜けるとトラクション不足へ陥るが、ジュニアの前輪駆動シャシーへ慣れれば限界領域まで思い切り楽しめる。
ステアリングは正確で、反応はクイック。ギリギリまで攻め立てようという、自信も抱きやすい。オーバースピードで突っ込んでも、挙動は安定しリカバリーもしやすい。
一気にパワーを掛けると、フロントタイヤは悶える。だがトラクション・コントロールが自然に介入し、ラインを乱すことはない。
ボディロールは最小限ながら、タイトなカーブでは荷重移動を感じ取れる。峠道では、没入感を高めるのに役立つはず。20インチという巨大なアルミホイールを履いていても、石畳でも乗り心地は上質。静寂性も高い。
動的な魅力を生む軽量化 優れた基本バランス
ジュニア・ヴェローチェの運転は楽しい。内燃エンジンのモデルも含めて、このクラスでは最高水準と表現できるほど。ホットハッチのフォード・フォーカスと比べても、エンターテインメント性は引けを取らないだろう。
この動的な魅力を生んでいるのが、ボディやシャシー、インテリアで徹底された軽量化。実際、車重は1560kgに収まっている。
アルファ・ロメオは、ジュニアの販売でバッテリーEVのエレトリカが占める割合は、約30%だと予想している。さらに、ヴェローチェはその10%に留まるらしい。つまり、試乗車は主力グレードではない。だが、基本バランスが優秀なことは間違いない。
期待へ応える運転体験を味わわせる、ジュニア・エレトリカ。価格はお高めで、航続距離はもう少し欲しいところだが、訴求力あるラテンなファミリー・クロスオーバーが登場することになりそうだ。
アルファ・ロメオ・ジュニア・エレトリカ・ヴェローチェ(欧州仕様)のスペック
英国価格:4万2295ポンド(約854万円)
全長:4173mm
全幅:1781mm
全高:1505mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:5.9秒
航続距離:334km
電費:6.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1560kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:50.8kWh(実容量)
急速充電能力:100kW
最高出力:282ps
最大トルク:35.0kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
ハイブリッドはトナーレより安いよね?