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主張しすぎない最高 BMW M5(E34型) 英国版クラシック・ガイド M1譲りの直6 前編

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主張しすぎない最高 BMW M5(E34型) 英国版クラシック・ガイド M1譲りの直6 前編

主張しすぎない高性能サルーン

主張しすぎないことを、高性能サルーンの特長に掲げたBMW。一部のターゲット層には強く響いたに違いない。もっと特徴的な見た目を好んだドライバーも、いたとは思うが。

【画像】主張しすぎない最高 E34型BMW M5 同時期のE30型M3 現行のM3、M4、M5、XMも 全120枚

1990年に試乗したAUTOCARは、次のようにまとめた。「最高速度や中間加速は過去のベスト。操縦性や乗り心地との兼ね合いも最高。素晴らしい動力性能と燃費を両立しています。大人4名と必要な荷物を運べる能力を備えながら」

「路面への追従性、制動力、姿勢制御は量産サルーンとして異例の高さ。数段階、レベルが違います」。と更に続けている。初代BMW M5に当たるE28型より、E34型が優れているであろうことは予想できていたのだが。

ただし、刺激が薄れたと感じた人もゼロではなかった。ミドシップ・スーパーカーのBMW M1用ユニットから派生した3.5L直列6気筒エンジンをチューニングし、320psが引き出されていたが、エグゾーストには触媒が取り付けられていたためだ。

E34型M5は、1992年に3.8Lへ排気量が拡大。大幅なチューニングが加えられ、最高出力は345psへ向上している。この後期型を、AUTOCARでは「世界で最も速く能力の高いサルーン」だと絶賛している。

当時、英国では1365ポンドだったニュルブルクリンク・パッケージを選択すると、リアタイヤは17インチの255/40というサイズへアップグレード。ホイールも9.0Jのワイドなものが組まれた。

周囲を驚かせる羊の皮を被った狼

このE34型M5で大きな特徴といえたのが、1992年に追加されたM5ツーリングだろう。Mモデル初のステーションワゴンで、生産数は891台と極めてレア。コレクターズアイテムとして、今後の価値上昇は間違いない。

また、幾つかの特別仕様車も欧州では提供されている。こちらも同様に、近年の取引価格は高騰気味にある。

南アフリカ仕様のE34型M5は、現地の工場でキットから仕上げられたが、それ以外はすべてドイツのBMWモータースポーツ社、現在のBMW M社工場で生産されている。同じ右ハンドル車として、南アフリカ仕様も一部が英国へ輸入されているから注意したい。

S38型エンジンは、メンテナンスを怠らなければ耐久性は高い。そのかわり、リビルド費用は安くない。英国の場合、1万5000ポンド(約241万円)前後は必要になる。

E34型M5で心配したいのが、ボディのサビ。特に1993年以降は水性塗料が用いられるようになり、酸化しやすい。ボディシェルが大きく錆びると剛性が低下し、走行にも影響が出てしまう。

スポーツサルーンだから、過去の事故歴にも注意したい。購入時は、過去の履歴も含めてしっかり確かめたいところ。ボディのレストアにも1万5000ポンド(約241万円)以上は必要と考えたい。異常に安いM5は、疑った方が良いだろう。

控えめな見た目で非常に俊足なM5は、「羊の皮を被った狼」として周囲を驚かせた。今回ご登場願った、M5のエンブレムやスポイラーを省略した3.8Lエンジンの後期型は、その最たる例といえる。

オーナーの意見を聞いてみる

「父はかなりのクルマ好きでした」。と話すのは、今回のM5のオーナー、リチャード・グリーン氏。「兄はE30型のM3に乗っていますが、私はE34型M5の方が気に入っています。3.8Lのリミテッド・エディションも含めて、現在は5台所有しています」

「このM5を選んだ理由は、ブラックのボディカラーと左ハンドルだったから。オプションでリアスポイラーとM5のエンブレムが省かれていて、一見するとM5だとわからないところも好きです。9万6000kmの走行距離で、ドイツの友人から購入しました」

「一般道を走らせている限り、通常の5シリーズと目立った違いは感じられません。それが表れるのは、サーキットだけですね。M3とは別の種類のMモデルだといえます」

「M5は岩石のようにソリッド。本来あるべき通り、ちょっとしたコーナーでもテールスライドさせて楽しんでいます。息子もドリフトが上手ですよ」

「電子アシストがなくても安心感は高いです。リミテッドスリップ・デフと、超滑らかな直列6気筒エンジンだけ。素晴らしいクルマだと思います」

英国で掘り出し物を発見

BMW M5 3.6(E34型/欧州仕様)

登録:1990年 走行:8万9900km 価格:4万4900ユーロ(約651万円)

コレクターズ・コンディションだと売り手が紹介する、見た目の良い3.6Lの前期型。ドイツでこれまで過ごしてきている。ボディはシックなマカオ・ブルーだ。エアコンにレザー内装、サンルーフなど、オプションもふんだんに搭載されている。

これまでの事故歴はないという。当時物のBBSアルミホイールに、KW社製の車高調サスペンションが組まれている。希望すれば、オリジナルのサスペンションへ戻せるらしい。

BMW M5 3.8(E34型/欧州仕様)

登録:1995年 走行:14万6720km 価格:7万4950ユーロ(約1086万円)

3.8Lの後期型。6速MTにワイドなリアタイヤを履き、Mテック・ミラーで着飾っている。ボディカラーは人気のコスモ・ブラック。ブラック・レザーのパワーシートとのコーディネートもバッチリ。リアスポイラーは付いていない。

走行距離は長めながら、これまでしっかり整備を受けてきている。過去15年間に、1万1000ユーロを費やしたとのこと。その整備記録もすべて残っている。価格帯としてはトップ側にあるが、かなり珍しい内容の1台だろう。

中古車購入時の注意点などは後編にて。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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みんなのコメント

1件
  • BMWのE34、39、30、36、46
    これらが憧れのBMWで一番輝いていた。
    Fコード以降は、ただの高性能ドイツ車で魅力なし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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