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本格派EVスポーツセダンが495万円!停滞する日本の自動車市場に挑むBYD「SEAL」に勝算はあるのか?

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本格派EVスポーツセダンが495万円!停滞する日本の自動車市場に挑むBYD「SEAL」に勝算はあるのか?

クルマ好きの方に試してもらいたいクルマが日本に上陸しました。

それは「BYD SEAL(BYD シール)」です。

最高出力507PS、最大トルク770Nm、0-100km/h加速4.1秒を実現したアウディのフルサイズSUV「SQ7」「SQ8」

日本では2024年6月25日より販売を開始し、話題を集めていますが、〝ミッドサイズクラス(Dセグメント)〟のBEVを495万円という破格値で提供してくれたことに、驚きです。

セダンってどういう意味?

そもそもセダンの起源は、17世紀頃の「セダン・チェア」という乗り物だとする説と、運転手(御者)と乗客の仕切りがない馬車を指すという2種が主流です。

ちなみに、御者と客室の仕切りがある馬車は「リムジン」とされます。

現代的な定義としては、エンジンルームと客室(キャビンルーム)、荷室(トランクルーム)が独立した〝3BOX〟スタイルとされています。一般的には4ドア車が多いです。

エンジンルームと客室と荷室が独立している3BOX車は、車体の重心位置を低く設定しやすく、また、静粛性も保ちやすいという特徴が挙げられます。

日本ではかつて、乗用車はセダンやクーペが主流でしたが、実用性・コスパの高いミニバンやSUVへ人気がシフトする中、軽自動車や大衆車はそれらの2BOXスタイルが主流となり、3BOXの王道スタイルのセダンは数を減らしていきました。

そして、国産車よりも欧州を中心とした高級自動車ブランドに注目が集まり、ドイツのメルセデス・ベンツやBMW、アウディといったクルマに人気は集中していきます。

日本でセダンに美しさと高級感が必要な理由

一方で、なぜドイツ高級車のセダンは人気があるのでしょうか? それは、ドイツには「アウトバーン」(元の意味は〝自動車道路〟)があり、速度無制限区間では時速200km以上で走るクルマが多いことが、理由の1つとして考えられます。

超高速で走行する機会の多いドイツでは、安全性と運転負荷の低減に有効な静粛性は極めて重要です。そのような厳しい条件下では、エンジンルームと客室、荷室が分離された3BOXは、衝突安全面や防音面などで有利です。

そこで磨かれた安全性と静粛性は、ドイツ車に付加価値をもたらします。また、アウトバーンの走行を前提とする欧州車全体の性能水準も相対的に高まり、欧州車のステータス向上につながっています。

また、高速走行での安定性をもたらすには、空力性能やハンドリング性能も極めて重要です。重心が低く、流れるようなデザインを基本とするドイツ車にスポーティなセダンが多いのは、機能美と密接に関係しています。

では、日本ではどうでしょうか? ドイツのように時速200kmで走行が許される一般道はありません。つまり、超高速域での実用性は実質、求められていません。

しかし、スポーティなセダンとして欧州車が人気を得ていることには、理由があるはずです。

話はちょっと変わりますが、円安で海外から輸入する製品の価格が高騰する中、高級な輸入機械式腕時計が人気です。

機械式腕時計は技術の粋を集めて精度を高めたとしても、デジタル時計やスマホの精度にはかないません。なのになぜ、多くの人が機械式腕時計を追い求めるのでしょうか?

それはブランドの「ステータス」や「ストーリー」「デザインの美しさ」「ラグジュアリー感」に魅力があるからです。

美しいデザインの高級な輸入機械式腕時計を装着することで得られる高揚感は、ほかに代えがたい魅力です。

日本でのセダン人気も、それと似ているかもしれません。

セダンは、乗客を守る安全性と静粛性や快適性という実用面を突き詰めつつ、さらにステータスやデザイン性を求めた結果、ドイツ車を中心とした欧州車に人気が集中したと考えると自然です。

「BYD SEAL」はどんなクルマ?

前置きが長くなりましたが、ここからは「BYD SEAL」をチェックしていきましょう。

「BYD SEAL」は、全長4800×全幅1875×全高1460mmのDセグメントに属する4ドアセダンです。

このクラスはメルセデス・ベンツ「Cクラス」や、BMW「3シリーズ」、アウディ「A4」などの実力者がそろう激戦区。自ずとユーザーのチェックレベルは厳しくなることが予想されます。

ではまず、気になるデザインから見ていきましょう。

「BYD SEAL」のデザインは、欧州自動車ブランドで実績を重ねてきた、ウォルフガング・エッガー率いるデザインチームが担当。欧州車に必要とされるスポーティーさとラグジュアリー感を兼ね備えたデザインワークに成功しています。


■「BYD SEAL」のエクステリアデザイン


「BYD SEAL」はエンジンを搭載しないので、冷却用のラジエーターが不要。そのためノーズが低くシャープな、EVらしい先進的なグリルレスのフロントエンドとなっています。

そして、スラントしたAピラーから独立したトランクルームまでを、流れるようなデザインで形成。クーペを思わせる華麗さが印象的です。

リアエンドのデザインも、LEDランプによるシャープなコンビネーションランプの水平基調が優美。加えてバンパー下部にはブラックのディフューザーを配して、スポーティーかつマッシブです。

■「BYD SEAL」のインテリアデザイン

続いてインテリアもチェックしましょう。

ルーフ部分は紫外線カット率99%のパノラミックガラスルーフとなり、まるでオープンカーのような開放感をもたらしてくれます。

ドライバーとパッセンジャーを包み込むような、インスツルメントパネルからドア部分、ステアリングホイールの造形は、スポーティかつ高級感に満ちたもの。ドライブする喜びを増加します。

15.6インチの大画面タッチスクリーンは電動で縦横向きに回転します。

シフトセレクターはシンプルながら、ラグジュアリー感も兼ね備えます。

ドライバーとパッセンジャーには、ベンチレーションとヒーターがうれしいパワーシートが用意され、ダイヤモンドパターンのレザーがあしらわれます。

そして、ドアパネルは繊細で立体的なデザインが選ばれ、マテリアルもラグジュアリー感のあるものに。

リアシートは分割可倒式でトランクルームへとつながり、また、フロントにも50リッターのスペースのトランクスペースが用意されているのも、BEVならではです。

■「BYD SEAL」の走行性能はどう?

「BYD SEAL」には、2種類のグレードが用意されています。

まずは2WDの「BYD SEAL」。こちらは、モーター出力が230kWです。

上位モデルは4WDの「BYD SEAL AWD」。フロントに160kW、リアに230kWのモーターを搭載し、0-100km/h加速は3.8秒と、強烈です。

そして、BYDのブレードバッテリーは電池容量82.56kWhの薄い板状なので、積載性の効率化とハンドリングにも好影響を与えます。

満充電では、「BYD SEAL」なら最大640km、「BYD SEAL AWD」は最大575kmの走行距離を可能にします。

■「BYD SEAL」の価格はいくら?

気になる価格を改めてチェックしましょう。

「BYD SEAL」はメーカー希望小売価格が528万円です。また、「BYD SEAL AWD」は605万円となっています。

加えて、BYDは「1000台限定:導入キャンペーン特別価格」を設定。先行1000台までは、「BYD SEAL」が495万円、「BYD SEAL AWD」が572万円となっています。

「BYD SEAL」の実力は充分、日本の高級セダン市場に受け入れられるか?

BYDとしては初の輸入セダンとなる「BYD SEAL」。

セダン自体の売れ行きが厳しい日本で、人気を得ることは可能でしょうか?

ポテンシャルは充分あると思われます。

直接のライバルとなるのは、テスラ「Model 3」でしょう。こちらのRWDモデルの価格は531万3000円。0-100km/h加速が3.1秒のパフォーマンス AWDは725万9000円となっており、価格的には勝算のあるレベルです。

また、BYDはディーラーネットワークの拡大を進めており、2024年6月末で55拠点のところを、2024年12月末までに全国90拠点に増やす予定です。

ネット通販が進む日本ですが、クルマは車両の登録も含めて、車検や整備などのアフターサービスが重要です。輸入車の場合は国産車以上に、アフターサービスが気になるものです。BYDは、そんな日本のクルマ事情も考慮して、ディーラー戦略を重視しています。

実際、BYD Auto Japanの東福寺社長も「『シール』が日本のセダン市場で勝算はあるかと聞かれると答えにくいですが、戦えるポテンシャルはある」と、発表会でコメントしています。

BYD Auto Japan 代表取締役社長 東福寺 厚樹氏

韓国のヒュンダイも含め、アジアのクルマメーカーにとって、日本のクルマ市場は販売のハードルが高い国です。そして、世界最大の自動車メーカーであり、ハイブリッド車の雄、トヨタの本国です。

一方、BYDは世界で累計700万台ものBEVを販売した中国の巨大メーカーですが、前述のとおり、日本では決して焦ることなく、販売拠点の整備から進めています。

日本自動車輸入組合(JAIA)が発表した、2024年6月の輸入車新規登録台数速報によると、BYDの6月の新規登録台数は148台で、前年同月比で159.1%の伸びを見せています。

また、1月からの累計台数は980台で、前年比で183.9%と大幅な伸びを見せています。

輸入車全体の6月の新規登録台数が、前年比91.8%と苦戦する中では、かなり優れた販売実績と言えるでしょう。

もちろん、輸入車新規登録台数トップのメルセデス・ベンツの6月の新規登録台数が5166台、2位のBMWが3853台であったことを考えると、まだまだ規模は小さいですが、ディーラーネットワークが拡大し、「BYD SEAL」の登録台数が今後伸展すれば、BYDの月間登録台数が1000台を突破するのも夢ではないかと思われます。

世界市場ではBEVの販売台数の伸びが鈍化していると言われています。その理由として、BEVの台数が急速に増えたことに対して、インフラの整備が各国で遅れたことも挙げられます。

その中で、日本におけるBYDの動きは堅実であり、「BYD SEAL」もまた、爆発的な販売台数というよりも、「気づいたら街で見かけることが増えたね!」と言われるような、売れ行きを示すのではないでしょうか。

商品の品質に厳しいとされる日本市場で認められることで、逆に世界でのBYDの評価を高めたい……そんなBYDの本気・熱意がこもった「BYD SEAL」の日本上陸。今後の行く末を見守っていきましょう。

取材・文/中馬幹弘

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みんなのコメント

56件
  • wsq********
    こんな中華製可燃性粗大ゴミに500万も払えません。もう少し出しても、ブランド力やステータス性の高い、ベンツEQAやアウディe-tronを買います。
  • NAS********
    本格派とは?
    本格じゃ無いけどそれらしきものという意味なら間違いではないかな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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