ユーモラスなデザインで人気のダイハツ製軽自動車「ムーヴ キャンバス」。2代目となる新型に登場したターボモデルに、モータージャーナリストの小川フミオ氏が試乗した。
DAIHATSU MOVE CAMBUS|ダイハツ ムーヴ キャンバス
良品廉価なハイブリッドモデルが追加されたダイハツ「ロッキー」 / トヨタ「ライズ」に試乗|DAIHATSU / TOYOTA
新たにターボモデルを設定した新型ダイハツ ムーヴ キャンバスに試乗
ユーモラスなデザインで人気のダイハツ製軽自動車「ムーヴ キャンバス」。2代目となる新型に登場したターボモデルに、モータージャーナリストの小川フミオ氏が試乗した。
Text by OGAWA Fumio|Photographs by TAKAYANAGI Ken
機能性とエモーションとを両立させたデザイン
優れたカーデザインというとき、必ずしもスポーツカーを指すわけではない(と思う)。過去を振り返って、いわゆる名デザインとされるなかには、英国の「ミニ」、フランスの「ルノー5」、イタリアのフィアット「ヌオーバ500」など、小さなクルマが含まれる。ダイハツが2022年7月5日に発売した、新型「ムーヴ キャンバス」に接して、そんなことを思い出した。
ムーヴ キャンバスは、2016年に初代が発売された“トールワゴン”。658cc 3気筒エンジンを、全長3,395mm、全高1,655mmのボディに搭載。ルーフの前後長をうんと伸ばして、居住性のよさを強調するとともに、ユーモラス(メーカーでは“可愛らしい”と表現)な雰囲気のフロントマスクなど、機能性とエモーションとを両立させたデザインは、今回の2代目にも受け継がれている。
利便性(含税金)のみで軽自動車を選ぶ層でなく、クルマ好きにも、ムーヴ キャンバスはアピールする。パッケージングを徹底的に突き詰めたエンジアリングと、ルーフの角を丸くしたり、「キャラクターラインを水平にするのに心を砕いた」(エクステリアデザイン担当の福田学氏)といった、細部にいたるまで気配りされたデザインが、作り手のこだわりを感じさせるからだろう。
加えて、新型は、ついに、ターボチャージャー搭載モデルが新設された。高速の合流や、追い越し加速など、これまでのターボをもたない自然吸気モデルがいまひとつ得意でなかった領域を、今回のターボモデルでしっかりカバーしようというのだ。
ついでに、もう少しマニアックなことを書いておくと、新型はDNGA(ダイハツ・ニューグローバルアーキテクチャー)という新世代のプラットフォームを採用。高剛性と軽量が特徴だ。サスペンションシステムも改良を受け、操縦性の向上が謳われている。
はたして、ターボモデル(前輪駆動の「セオリーGターボ」というグレード)に乗ってみると、予想以上に走りがいい。ごく低回転域から、ターボが効き始める3,000rpmを超えて、47kWのマックスパワーが出る6,400rpmまでシュンシュンっとエンジンが回り、クルマはぐんぐんと加速する。
車重が900kgしかないので、小気味よいという感じの加速感だ。足まわりは、ダイハツ工業が言うとおり、しっかりしており、高速での快適な乗り心地と、カーブを曲がるときの車体安定性ともに、かなり高いレベルにある。
ダイハツの開発者は「お父さんと娘さんが共用できる」ところがムーヴ キャンバスの身上としていた。まさに、クルマ遍歴を重ねてきたお父さんにも、ターボは勧められる。
これ、軽自動車?と思うほどの上質感
これ、軽自動車?と思うほどの上質感
ターボには、専用機構として「D-CVT」なる新開発の変速機が搭載される。そもそもベルトを使うCVT(無段変速機)はゆるやかな加速に特に向いていているいっぽう、ごく低回転域と、高速などでの高回転域において難点があった。
ダイハツやグループ企業のトヨタが小型車に使うCVTだが、低回転と高回転ではやや反応が悪く、かつベルトを使う機構なので甲高い音が耳ざわりになることも。そこでD-CVTが考えられた。低回転域と高回転域は、特別にギアを使うことで弱点をカバーしようという変速機だ。
確かに、効果はばつぐんのようだ。加速時にCVT特有の金属的な音が耳につかない。高速巡航中も同様。意外なほど静かで、足まわりの設定もよく、適度にスポーティで、それでいて快適。乗り心地はフラットで、上質感が高い。これ、軽自動車?と思うほど。
ムーヴ キャンバスは、ステアリングインフォメーションにやや乏しいのが弱点。高速道路では、せっかくシャシー性能が高いのに、前輪の角度とステアリングホイールの動きに隔絶感がある。それで慣れないうちはやや不安。ここだけは、もったいないと思う。
内装の質感もけっこう高いし、センスがなかなかいい。可愛らしさを強調する「ストライプス」にしても、大人っぽさを謳う「セオリー」にしても、シート素材は、妙に上質感を追いかけていないで、いわばコットン感覚が好感をもてる。
感触もいいし、座り心地も快適だ。後席はシートバックの角度は調整できないものの、左右2分割で、別々に前後23センチもスライドできるため、荷室を使わない際はたっぷりとレッグルームが確保できる。
長距離乗っていないので疲労度については、ここではコメントできないのが残念。ターボなら、かったるい思いはないし、ドライブトレインからのノイズも、車体まわりからの風切り音や路面からの擦過音も低く抑えられている。これなら、遠出したくなりそうだ。
オプションでアルパイン製の同軸スピーカーを、前後合わせて4つ備えることもできる。音質は確かめられていないが、ディスプレイオーディオは使い勝手もよさそうなので、私が買うなら、これは絶対に選ぶだろう。
運転支援システムも充実。アダプティブクルーズコントロール、レーンキープ、パノラマモニター、先行車発進通知、標識認識、自動ハイビーム切り替え……などの機能がオプションを含めて、さまざま用意されている。ダイハツコネクトやディスプレイオーディオも選択可能。
ターボ前輪駆動モデルの燃費は、22.4km/L(WLTC)。ターボGの価格は(「セオリー」も「ストライプス」もともに)前輪駆動が179万3000円、4WDは191万9500円。雪の少ない地方に住んでいたら、前輪駆動がいいと思う。
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みんなのコメント
あまりのギャップに引いてしまう
よくもまあ言えるものだな。
ダイハツのクルマなんて、
ダッシュボードに痛い飾り付けをして
イライラした荒っぽい運転をする、
いろんな意味で怖いおばさん御用達の
クルマじゃないかよ。