現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 中国のEV上陸を牽制すべくカナダもアメリカもEUも凄まじい関税を課す! そうなると中国が次に狙うのは「政府が弱腰」な日本市場

ここから本文です

中国のEV上陸を牽制すべくカナダもアメリカもEUも凄まじい関税を課す! そうなると中国が次に狙うのは「政府が弱腰」な日本市場

掲載 93
中国のEV上陸を牽制すべくカナダもアメリカもEUも凄まじい関税を課す! そうなると中国が次に狙うのは「政府が弱腰」な日本市場

 この記事をまとめると

■中国製EVに対してアメリカやカナダは100%の関税を課す方針だ

中国製BEVへの警戒感を強めるEUとアメリカ! 中国メーカーが日本を本格的に狙う可能性はあるのか?

■関税対策として中国メーカーは同国内及び近隣の国に工場を建設している

■中国メーカーは日本市場を視野に入れている可能性がある

 中国車が海外で売りにくくなっている

 カナダ政府が2024年8月26日に、2024年10月より中国から輸入されるBEV(バッテリー電気自動車)へ100%の関税を課す方針を明らかにした。中国政府はさっそく反発する姿勢を示しており、今後はカナダに対する報復措置をとることになりそうだ。

 アメリカ政府もすでに100%課税することを発表しており、EU(欧州連合)も関税の引き上げを発表している。中国政府が自国生産するBEVメーカーへ過大な補助金を交付していることで、中国製BEVの車両価格の著しい低下などを招き不公正というのがその理由となっている。

 新型コロナウイルス感染拡大以降中国経済はかなりのダメージを受けており、内需がボロボロな状況が続いている。政府は消費を拡大させるためにさまざまな施策を凝らしているが、なかなか改善を見せない日々が続いているようだ。そうなれば政府もBEVの海外市場への積極的な出荷を推し進めてくることは、目に見えており、アメリカやカナダ、EUの動きはその予防という意味もあるように見える。

 現状でとくに中国系ブランドBEVのメイン市場となっているのは東南アジアであるが、現状は中国からの完成車輸入も目立っているが、タイやインドネシアでは現地生産工場がすでに稼働しており、近々稼働予定となっている。欧州においても東欧地域ですでに現地生産工場の建設が進んでいる。北米市場向けでも一部中国メーカーがメキシコに現地生産工場の建設予定地を確保しているといった報道もある。

 カナダ、アメリカ、メキシコは北米自由貿易協定を結んでおり、メキシコ製中国系ブランドBEVを規制できるのかもすでに議論となっている。つまり、東南アジアや欧州、北米では中国製ではなく同域内生産へ移行しており、それが「逃げ道」になりかねないとされている。

 メーカー名で中国車の雰囲気を軽減

 ただ中国政府としては国内の生産工場もしっかり稼働してもらわないと、雇用面も含め都合が悪いのは否定できない。そこで俄然注目されるのではないかと筆者が考えるのが日本市場進出である。世界3位から4位になったとはいえ、日本国内の年間新車販売台数(2023事業年度締め)は約452万台となっている。現状そのなかに占めるEV(BEV、PHEV[プラグインハイブリッド車]、FCEV[燃料電池車])の販売比率は2%台だ。

 仮に中国系メーカーのBEVが全体の3%ほど売れると、約13.5万台となる。政府補助金の話は別としても、2023暦年締めでの中国の新車販売台数約3000万台のうち、NEV(新エネルギー車/BEV、PHEV、FCEV)の販売比率は31.6%となっており、台数ベースでは約950万台(日本の年間総新車販売台数の2年分以上)、性能や品質に対する中国製BEVの高い割安感は統計数値だけを見れば、その圧倒的な量産効果による企業努力の結果というものも軽んじて見ることはできないものと考えている。

 政府間レベルも含め、日本と中国の間には何かと軋轢があるのは否めないので、ほかの市場のように軽々と日本市場へ進出するのは中国系メーカーもリスクが高い。

 しかし、EUやアメリカ、カナダのように関税引き上げを行おうとしても、中国政府から「自由貿易を阻害する」などといわれれば日本政府がそこまで強硬に出ることができるかは疑問が残る。ここまである意味包囲網を敷かれれば、「それでは日本へ」と考えるのは自然の流れのようにも見える。

 中国アレルギーが低いともされる東南アジアでも、あえてメーカー名を表に出さずに中国メーカーが進出するケースが目立っている。たとえばタイにおける上海汽車は多くの車種を「MGブランド車」としてラインアップする。また、中国メーカーは中国語名と欧文社名をもっている。たとえば奇瑞汽車は「チェリー」、長城汽車は「グレートウォール」といった具合である。日本でも有名なBYDオートもこれは欧文社名であり、「比亜迪汽車」が中国語社名であり、これに近い発音がBYDとなっている。

 ブランド名で展開しなくとも、欧文社名を全面に押し出してくることで「ごまかし」は可能なのである。タイで中国メーカーだとすぐわかるのは「CHANGAN」としている長安汽車ぐらいといえるだろう。

 筆者は最近、機種お任せでスマホの機種変更を行った。見慣れないブランド名なので調べてみると、中国「シャオミ」製であった。

 本稿執筆段階では日本の新しいリーダーを決めるともいえる、自民党総裁選挙の話題でニュースが盛り上がっている。世代交代が進むともいわれており、政府がこのタイミングで何か新しいアクションを起こせば、中国メーカーにも好機到来となるかもしれないし、中国としてもなんらかの動きを見せるかもしれない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

中国がなぜEV化政策を推し進め、なぜタイで中国自動車組立工場が続々と建設されるのか? バンコクモーターショーの活況から理由が見えてきました
中国がなぜEV化政策を推し進め、なぜタイで中国自動車組立工場が続々と建設されるのか? バンコクモーターショーの活況から理由が見えてきました
Auto Messe Web
ヒョンデにキアだけじゃない! 韓国には「ルノーコリア」なる注目メーカーが存在する
ヒョンデにキアだけじゃない! 韓国には「ルノーコリア」なる注目メーカーが存在する
WEB CARTOP
中国メーカーEV大躍進! ……だけど タイの自動車事情が激ヤバってどういうことなのよ?【鈴木直也の視点】
中国メーカーEV大躍進! ……だけど タイの自動車事情が激ヤバってどういうことなのよ?【鈴木直也の視点】
ベストカーWeb
原油が採れる量の問題じゃない! 日本のガソリン価格高騰はほぼ「産油国の政治的思惑」によるものだった
原油が採れる量の問題じゃない! 日本のガソリン価格高騰はほぼ「産油国の政治的思惑」によるものだった
WEB CARTOP
やたらとヒョンデ&キアの韓国車が目につく! アメリカで販売台数以上に目立つのは「奇抜な」デザインのおかげ?
やたらとヒョンデ&キアの韓国車が目につく! アメリカで販売台数以上に目立つのは「奇抜な」デザインのおかげ?
WEB CARTOP
日産9000人削減の衝撃! ゴーン前会長が残した3つの“負の遺産”とは何か? 「ルノー支配」「販売偏重」のツケが招いた辛らつ現実を再考する
日産9000人削減の衝撃! ゴーン前会長が残した3つの“負の遺産”とは何か? 「ルノー支配」「販売偏重」のツケが招いた辛らつ現実を再考する
Merkmal
北米で2代目日産キックスがデビューもぶっちゃけ人気が今ひとつ! 原因は見た目や中身じゃなくて「ヘタな売り方」
北米で2代目日産キックスがデビューもぶっちゃけ人気が今ひとつ! 原因は見た目や中身じゃなくて「ヘタな売り方」
WEB CARTOP
香港のタクシーが「サービス違反点数制度」導入で顧客満足度向上! 日本のタクシー業界も外国人運転士の採用などを考えれば検討の余地あり
香港のタクシーが「サービス違反点数制度」導入で顧客満足度向上! 日本のタクシー業界も外国人運転士の採用などを考えれば検討の余地あり
WEB CARTOP
「経済制裁を受けているのに」 ロシアが「中古車輸出先」でトップの謎。今年は輸出先ランキング1位を維持! なぜ輸出が多いのか、経済産業省に聞く
「経済制裁を受けているのに」 ロシアが「中古車輸出先」でトップの謎。今年は輸出先ランキング1位を維持! なぜ輸出が多いのか、経済産業省に聞く
くるまのニュース
米大統領選異例の大接戦,「どっちもどっち」悩ましい日本車メーカー[新聞ウォッチ]
米大統領選異例の大接戦,「どっちもどっち」悩ましい日本車メーカー[新聞ウォッチ]
レスポンス
日産大丈夫か!? トランプ氏当選でクルマ業界激変!?
日産大丈夫か!? トランプ氏当選でクルマ業界激変!?
ベストカーWeb
【業界に激震!】 日産、厳しい状況に陥った背景と未来への道筋 「苦境に必要なのは夢を語ること」
【業界に激震!】 日産、厳しい状況に陥った背景と未来への道筋 「苦境に必要なのは夢を語ること」
AUTOCAR JAPAN
「BYDが出展したら……」 いまバス業界は中国メーカーの動向に戦々恐々!
「BYDが出展したら……」 いまバス業界は中国メーカーの動向に戦々恐々!
WEB CARTOP
日本で乗るならやっぱり日本車だよなぁ~! どうしても輸入車じゃ追いつけない国産車の美点とは
日本で乗るならやっぱり日本車だよなぁ~! どうしても輸入車じゃ追いつけない国産車の美点とは
WEB CARTOP
スズキ、将来のEV展開は保留 「市場を注視」 成長鈍化と安価な中国製EVを警戒
スズキ、将来のEV展開は保留 「市場を注視」 成長鈍化と安価な中国製EVを警戒
AUTOCAR JAPAN
日本は「太陽光」「風力」発電が厳しい環境! EVを促進するのに大切な「ゼロエミッション発電」はまだまだ難しい課題だった
日本は「太陽光」「風力」発電が厳しい環境! EVを促進するのに大切な「ゼロエミッション発電」はまだまだ難しい課題だった
WEB CARTOP
バカ売れしても不思議じゃなかったけど……シビックに惨敗! 名機4A-G搭載のホットハッチ「カローラFX」は残念すぎる名車だった
バカ売れしても不思議じゃなかったけど……シビックに惨敗! 名機4A-G搭載のホットハッチ「カローラFX」は残念すぎる名車だった
WEB CARTOP
控えめにいってガラクタ……ぶっちゃけゴミだろ! フェラーリやランボの「鉄くず」が数百万円で取引されるマニアの異常っぷり
控えめにいってガラクタ……ぶっちゃけゴミだろ! フェラーリやランボの「鉄くず」が数百万円で取引されるマニアの異常っぷり
WEB CARTOP

みんなのコメント

93件
  • pokemoon
    政府が弱腰だろうが国民が信用、信頼出来ない反日国のクルマを買うとは思えない。
    どうせすぐに撤退するだろうし、今のEVに関するニュースや情勢を見てらこれでも中華EVを買う様な人が居るとは思えないな。
    現にBYDも登録車が1400台?そのうち個人客は何台買ったのさ。
    先日、新しく出来たBYDの正規販売店前を通ったけど、沢山の試乗車が置いてあった。
    2ヶ月ほど経つのにな、未だに花束が飾ってあるし、閑古鳥が鳴いてたな。
  • syp********
    心配しなくて大丈夫。国が規制しなくても誰も買わないと思います。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村