「ちょうどいい」から、ちょうどいいを継承しつつ「すっごくいい」コンパクトミニバンに仕上がったのが、新型ホンダ・フリードだ。
3代目となったフリードは、クリーンでシンプルなエアーと、クロスオーバーテイストを強め、エクステリア、インテリアともに異なる2列シートも用意した、全幅1720mmの3ナンバーとなったクロスターの2タイプがあり、ハイブリッドも先代の1モーター、i-DCDからホンダ最新の2モーターとなるe:HEVを搭載。クラス初のリヤクーラーを用意するなど、ライバルを驚愕させる新型となっている。
最高出力507PS、最大トルク770Nm、0-100km/h加速4.1秒を実現したアウディのフルサイズSUV「SQ7」「SQ8」
アウトドア、車中泊にもうってつけの2列シートモデル
新型フリード エアー
新型フリード クロスター
ここでは新型フリードe:HEV AIR EXのFF 3列シートモデルに続き、新型ではクロスターのみに用意される、アウトドア、車中泊にもうってつけの2列シートモデルのFFと4WDの試乗記をお届けする。
エクステリアのエアーとの違いは、SUVテイストあるシルバーのパネルを配した前後のデザイン、無塗装の樹脂製ホイールアーチプロテクターの装着が主で、そのホイールアーチプロテクターの出っ張りによって全幅が1720mmとなる。つまり、基本ボディのサイズは5ナンバーの全幅1695mmのエアーと変わらず、全長、全高、ミラー・トゥ・ミラー幅は同じ。エアーと車両感覚、運転のしやすさもまた同様だ。
が、エアーと大きく違うのが、テールゲートの開き方とラゲッジルームの仕立て。ラゲッジルームの開口部地上高はエアーFFの460mmに対して、クロスターのFFは地面スレスレのようにも感じる320mm(4WDは520mm。それでも低い)だ。それは、アウトドアから介護まで幅広く使えるスロープモデルと同時開発されたのがクロスターだからである。電動ウインチも付くスロープは、車椅子の乗降だけでなく、重い荷物を満載したアウトドア用キャリーカートの出し入れにも便利に使えるというわけだ。
大容量ハイトワゴンとも呼べる2段仕立てのラゲッジルームの寸法は、奥行が下段1000mm、上段885mm、幅1270mm、天井高下段1130mm、上段885mm(すべて実測値)。前席を前に出し、2列目席座面を持ち上げてダブルフォールダウンさせ、2列目席背もたれを前にフラットに倒し、ベルトで固定されていたラゲッジルームとの”渡し板”を後ろにスライドさせて隙間を埋め、フラットアレンジした時のフロア長は、大人が真っすぐに寝られる1840mmに達し、フロア後部下が大容量の物入になるから、アウトドアでの車内お座敷化、車中泊にぴったり。
ラゲッジルームは上下2段で使えるワイパブル仕様のユーティリティボードが標準装備(ライバルのシエンタはオプション)され、左右壁面には無数の穴が開いたマグネット対応のステンレス製ユーティリティサイドパネルが備わり、テールゲート内側には開けた際にランタンや濡れたアイテムなどを吊るせるユーティリティナットを用意。かなり本格なアウトドア仕様となっている。ちなみに、先に説明した全長1840mmのフラットスペースを作る際は、耐荷重200kgのユーティリティボードの上段を使用する。
ところで、エアーとクロスターのテールゲートが別物であることは一目瞭然だが、なんとクロスターのFFと4WDでもテールゲートは別仕立て。具体的には、ラゲッジルームの開口部地上高の違いから、FFはシルバーのガーニッシュの上から、4WDはガーニッシュの下からガバッと開くのである。つまり、新型フリードのテールゲートはエアーとクロスター2種類の3種類もあることになる。
インテリアの基本、インパネ、メーターなどはエアーと同じだが、ブラック1色となるインテリアカラー(エアーはグレージュとブラック)、そしてファブテクト素材を用いた撥水・撥油機能を持つシート地が異なる。エアーは標準のフルファブリックと、上級のエアーEX用のファブリック×合皮の2タイプがあるのに対して、モノグレードのクロスターは、ファブテクト素材のブラックのジャージ風ファブリック×合皮シートのみの組み合わせになる。なお、新型フリードで大きな話題、待望の装備となったリヤクーラー(冷房機能のみ)は、クロスターでは3列シート、6人乗りのみに装備。今回、試乗した2列シート、5人乗りには残念ながら装備されない・・・。
とはいえ、クロスターの後席はFF/4WDを問わず、240mmのスライド量を持ち、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で頭上に210mm、膝周りに最大240mmものスぺースがあるからゆったりできる。
まるで格上のステップワゴンを走らせているよう
さて、先代のフリードと2列シートのフリード+では、エクステリアの違いはほぼなかったのだが、エアーとクロスターの違いが外から一目で分かる新型クロスターのFFモデルを走らせれば、おおらかな乗り味、つまりおおらかなアクセルレスポンス、操縦性、そして上質で上級車並みの、荒れた路面、段差、ゼブラゾーンを走破しても快適性が失われない文句なしのゆったりとした乗り心地、2列目席(クロスターでは後席)にフォーカスした車内の静かさ、ダイナミクス・・・という点では、エアーと変わるところはない。
ただし、シートのかけ心地はエアーとはシート地が異なるため、エアーの2/3列目席のソファ感覚となる、体重でじんわりと沈み込むかけ心地ではなく、やや硬めのしかりとしたかけ心地となるのが特徴だ。
e:HEVモデルであれば出足はもちろんEV走行。そこから加速し、エンジンが始動し、エンジンを高回転まで回しても、エンジンの透過音はまったく耳触りではない。すっきりとしたパワーステアリングの操舵感、高速走行、カーブでの重心の感じにくさもあって、あらゆる走行シーンでの安定感、安心感、心地よさは特筆に値する。とくにカーブでは4輪のタイヤが路面に張り付くような走りを、爽快な視界とともに味わせてくれるのだ。筆者はエアーのe:HEVもでるもそうだが、「まるで格上のステップワゴンを走らせているようだ」と思ったりもしたほどである。ブレーキの効きも優秀で、スッと前のめりになることなく、スムーズに減速し、停止してくれるのだから、助手席、後席の乗員にも優しい。新型では電子パーキングブレーキとメモリー付きオートブレーキホールド機能を標準装備しているため、高速道路でのACC作動時の渋滞追従機能、一般道での一時停止時にブレーキを踏み続けなくていい運転支援機能もあって、終始、ストレスフリーの運転ができた。
高速走行では新制御のACC(アダプティブクルーズコントロール)も試したが、自然な減速感、自然で唐突感のない、しかし十二分な再加速性能を確認できた。この点も先代から大きく進化した部分と言っていい。
クロスター2列シートの4WDに乗り換えれば、基本的な走行性能でFFモデルとの違いはほぼない。これはじつに嬉しいことで、兄貴分のステップワゴンはFFだとかなり快適に静かに走ってくれるのだが、4WDになると途端にロードノイズが気になったことを覚えている(初期型)。しかしこの新型クロスターでは(というか新型フリードでは)、4WDでもロードノイズを含めた車内の静かさはFFに準じているのだ。ただし、重箱の隅をつつけば、4WDモデルのパワーステアリングの戻し方向のねっとりとした操舵フィールはFF車で感じられなかったもので、剛性面で不利な巨大なテールゲート(の多分、振動)による車内のこもり音(微小だが)が、少々、気になるシーンもなかったわけではない。
逆に、FFに対して有利なのは、高速安定性だ。フリードの4WDは電気式ではなく、本格とも言えるプロペラシャフト式を先代から踏襲しているため、高速域でも(上限は120km/h程度か?)4WDのまま走行でき、直進性、横風安定性に寄与してくれることは言うまでもない。長距離、高速道路の走行機会が多いという開発陣の1人も、「買うなら4WD」と言っていた。当然、アウトドアフィールドで遭遇する悪路や雪道にも強いオールラウンダー・クロスターになりうるわけだ。デザートベージュ・パールのボディカラーを選べば、アウトドアテイストはさらに加速する。
いずれにしても、新型フリードのクロスターは、その一目でクロスターと分かるSUV、クロスオーバーテイスト強めのスタイリング、ラゲッジルーム周りの抜群の使い勝手の良さ、車中泊にもうってつけのシートアレンジ性が光る、大容量ワゴンを望むユーザーから、アウトドア派や愛犬家にもぴったりの1台だと断言できる。もちろん、3列シートモデルを選べば2列目キャプテンシートのかけ心地、居心地の良さに満足できる、最大6名乗車のコンパクトミニバンとして使えることになる。
ホンダ・フリード
文・写真/青山尚暉
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