■圧巻のフェラーリファンミーティングが御殿場で開催された
世の多くのクルマと同じように、高級スポーツカーブランドのフェラーリにもオーナーズクラブが存在しています。
高潮で全損のフェラーリ51台… 海水を浴びた新車のフェラーリはその後どうなる?
今回は、そんなフェラーリのオーナーズクラブとしては日本で最も格式高く、会員数も多いFOCJ(Ferrari Owners’ Club Japan)が開催したファンミーティング「FOCJブランチ」に行ってきました。
2019年4月7日。イベント会場となったのは、静岡県にあるミュゼオ御殿場です。山々の麓に位置し、天気が良ければ富士山も大きく見える、とても穏やかな空気が流れている気持ちのいい場所です。
まずは入り口の高台からフェラーリが並んでいる会場内を覗き込むと、およそ180台ものフェラーリがズラリ。まさに壮観のひとことです。
参加車両で最も古いモデルは、デイトナこと「365GTB4」で、最も新しいモデルは、イベント開催前日に納車されたばかりという「488ピスタ」。会場内では、芝生の上だけでなくその間を縫うように走る道路上にも、美しくボディを輝かせてるフェラーリが並んでいます。
会場の高台には、「スペチアーレ」モデルが並べられています。スペチアーレとは、フェラーリのなかでも特にレアな限定モデルのことで、世界トップクラスにまで高められた走行パフォーマンスと、美しくもスポーティな至高のデザインを備えた車両です。
そのほかにも、クルマに興味があれば知らない人はいないであろう「F40」のほか、その後継となった「F50」、創業者の名を冠した「エンツォ・フェラーリ」、そしてフェラーリとしては初の市販ハイブリッドカーでもある「ラ・フェラーリ」などが整然と置かれています。
これら「億」を優に超えるモデルばかりの空間に立っているだけで身が引き締まり、ただただ圧倒されてしまいます。
とくに会場中心部に置かれた、FOCJの顧問である松田氏(コレクターとしても著名な方)の白いラ・フェラーリ・アペルタは、210台のみ生産されたラ・フェラーリのオープンバージョンで最新のスペチアーレモデルです。見事なまでに美しいボディラインは、見ているだけでため息が漏れるほどでした。
■「ディノ」や「デイトナ」など、芸術品級のモデルもズラリ
FOCJブランチの会場でも台数が多かったのは、現在日本で買うことのできる最新のV8モデル「488GTB」のオープン版、「488スパイダー」でした。そのほか、V8シリーズとしては「308」から「488」まで、そして「カリフォルニア」系のFRオープンモデルなどあらゆるモデルが参加しています。
V12シリーズも、80年代の代表作である「テスタロッサ」のほか、その系譜を受け継ぐ「512TR」、FRとなった「550マラネロ」、「575」、「599」、「F12」、4シーターの「612スカリエッティ」、「812スーパーファスト」、シューティングブレイクのFF系などが目に飛び込んできます。
さらにその間には、「ディノ」や「デイトナ」といった博物館に展示されるような貴重なモデルまで並んでおり、その豪華さはまるで宮殿のようです。
FOCJ会員、および参加者が、自分や仲間たちの愛車を眺めながらフェラーリ談義に花を咲かせている間に、3名のオーナーからお話を伺いました。
埼玉から「360モデナ」に乗ってきたT.Sさんは、オーナーズミーティングとしては今回が9回目の参加とのことです。モデナの前は「512BB」に乗っていたということで、この日もやはりBBが気になってつい見入ってしまったそうです。
「初めて来たのは2002年です。やっぱりフェラーリが好きなので、たくさんのモデルが見られて楽しいですよ」とコメントしてくれました。
※ ※ ※
赤い「F355」のオーナーは、横浜から参加したM.Rさん。まだ半年前に買ったばかりで、フェラーリオーナーになりたてなのだとか。M.Rさんは今回の初参加について以下のようにコメントしています。
「過去にギャラリーとして見学した頃から、いつかはオーナーとして参加したいと思っていて、ついに今年念願かなった次第です。今ここでオーナーの一員になれたのだと実感しているところですね。
これだけフェラーリが一堂に会する機会はないですし、他のオーナーの方々とのコミュニティが広がればもっとフェラーリライフが楽しくなると思っています」
※ ※ ※
会場でも相当目立っていた「512BBi」のオーナーは川崎から参加のH.Kさん。オーナーズミーティングには2014年から毎年参加しているそうです。
「430スクーデリアとか興味深いクルマはありますけど、やっぱり古いモデルが気になりますね。今の愛車のBBは、やはりスタイリングが気に入っています。このイベントは、特別決まったプログラムがあるわけでもなく、自由に見て回れるところがいいんですよ」とコメントしてくれました。
■人同士の繋がりもフェラーリオーナーになる醍醐味
フェラーリと聞くと庶民には雲の上の存在のように感じられますが、このFOCJにはまったくそのような雰囲気はありません。
FOCJの会長を務める川崎さんが「とてもアットホームなクラブです」と言うとおり、FOCJは新たなメンバーも温かく迎えてくれるようです。FOCJブランチについて、川崎さんは以下のようにコメントしています。
「フェラーリ本社に統括されている正式なフェラーリのオーナーズクラブというものは、現在、世界40カ国に存在し、約1万4000人の会員がおります。
我々FOCJには、現在約500人の会員が所属し、今年で5周年を迎えました。主な活動としては、ツーリングやサーキット走行会、季節イベントなど様々で、このブランチのようなミーティングイベントも、前身としての長い歴史はありますが、『FOCJブランチ』という名称では、今回が初開催となりました」
※ ※ ※
また、このFOCJを支えているのが、フェラーリの正規日本法人であるフェラーリ・ジャパンです。同社のマーケティングダイレクターを務める遠藤さんは、FOCJへのサポートについて、次のようにコメントしています。
「このような会員向けのイベントは、オーナーだけでなく仲間や家族が一緒に楽しめることが必要なので、フェラーリ・ジャパンとしても積極的にサポートさせもらっております。
今年はスクーデリア・フェラーリの90周年ということで、鈴鹿でのF1観戦ツアーなども予定しているほか、全国のオフィシャルディーラーとともにさまざまなイベントを開催予定です」
※ ※ ※
朝10時にスタートしたFOCJブランチも、昼過ぎには順次解散となりました。一台ずつ会場の外へ出て行くフェラーリは、音の大小はあれど、それぞれが魅力的なエキゾーストノートを響かせていたのが印象的です。
参加車のナンバープレートの地名は様々でしたが、多くの車両がこの会場まで自走してきている様子。まさに、走る芸術品といっても過言ではありません。
フェラーリの美意識はあらゆるモデルに受け継がれており、どの車両もデビュー当時のままの輝きを放っていました。きっとフェラーリはこれからも多くの人を魅了し、さらにオーナーの数を増やしていくに違いないと確信させられたイベントでした。 【了】
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