現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】アトレー7はわずか4年しか生産されなかった悲運の3列7人乗りコンパクトミニバン!

ここから本文です

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】アトレー7はわずか4年しか生産されなかった悲運の3列7人乗りコンパクトミニバン!

掲載 15
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】アトレー7はわずか4年しか生産されなかった悲運の3列7人乗りコンパクトミニバン!

 これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。

 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、スモールキャブワゴンとして新たなジャンルに挑戦した、ダイハツのアトレー7を取り上げる。

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】アトレー7はわずか4年しか生産されなかった悲運の3列7人乗りコンパクトミニバン!

文:フォッケウルフ/写真:ダイハツ

■ミニマムなボディで7人乗りを可能にしたコンパクトミニバン

 ミニバンは多種多様な目的に対応できるクルマとしてファミリーを中心に人気を集めているジャンルだ。現在は取捨選択されて車種数が絞られているものの、1990年代から2000年代には大小さまざまなモデルが登場して最盛期を迎えていた。

 「アトレー7」のデビューはそんなミニバンブームの最中であり、先行して市場へ導入されていたスズキ エブリィプラス、三菱 タウンボックスワイドに追従する形で2000年7月7日に発売された。

ベースは軽のアトレーワゴンで、リアフロアとホイールベースを延長して、大人7人が乗れる居住空間を確保している

 アトレー7は軽自動車のアトレーワゴンをベースに、リアフロアとホイールベースを延長してボディサイズを拡大し、車内に3列シートを備え、7人乗りを可能にしたコンパクトミニバンに位置づけられる。

 ミニバンがブームになりつつあったとはいえ、当時は小型ミニバンの選択肢はまだ少ないこともあって、アトレー7は小さくても7人乗れて実用的な車種を求めるユーザーに歓迎された。

 ボディサイズは全長3765mmx全幅1515mmx全高1895mm、ホイールベースは2420mmで、ミニバンとしてはかなり小さい部類となる。このボディで多人数乗車は現実的ではないように思えるが、セミキャブレイアウトのボディや、リアフロアをアトレーワゴンから230mm延長したことによって室内長は2585mmという十分な余裕を確保。

 広さは上位クラスのミニバンと比較しても遜色がなく、車内には3列シートを備え、前席2名+2列目3名+3列目2名の7名乗車を可能にしていた。

 全長が370mm、全幅は40mm大型化されたうえに、大型カラードエアロバンパー(前後)、サイドストーンガード一体大型ドアガーニッシュ、ワイドフェンダーといった専用のエクステリアアイテムを備えることで、「普通車感」をしっかりと演出。アトレーの派生車だが、サイズ感だけでなく、一見したときの印象についてもベース車と差別化が図られていた。



記事リンク















前の記事





こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】広さの追求から解き放たれた個性際立つ上質ミニカー[スバルR2]















次の記事





こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】まさに車名通りの趣味のクルマ! [バモスホビオ]の人気が衰えなかった理由とは















■リアシートに新機構を採用することで多彩なニーズに対応

 たとえ軽自動車がベースであったとしても、ミニバンに分類されるクルマなので、3列すべてのシートに大人が快適に乗車できることに加え、広い室内スペースを積載空間として活用できることは重要な課題である。

 広さに関しては全長が伸びたことで、室内長は2585mmという2000ccクラスのミニバンに匹敵する余裕が確保できた。このスペースをうまく活用するためにアトレー7では、2列目と3列目のシートを床下に格納できるハイダウェイシート機構を採用した。

 使用頻度の高い5名乗車時には3列目シートを格納してクラス最大の荷室スペースとし、日常的な用途はもちろんレジャーまで幅広い用途に対応。

 2名乗車時には2列目シートと3列目シートが床下にすっきりと格納できるので、広くフラットな荷室には自転車などの大きな荷物や長尺物も難なく積載できた。

ボディサイズを拡大し、大型カラードエアロバンパーやサイドストーンガード一体大型ドアガーニッシュ、ワイドフェンダーなどのアイテムを装備することで、迫力あるローダウンイメージスタイルを演出。車重の増加を考慮して1.3Lエンジンを搭載する

 アトレーと比べて重量は増加しているが、これをカバーするためエンジンは1.3L直列4気筒のK3-VE型を搭載。実用域での使いやすさを追求したトルクフルな特性を持ち味とするエンジンに、高効率な電子制御2モード4速ATである「ESAT(Economy & Smooth Automatic Transmission)」を組み合わせることでスムーズな加速を実現している。

 ストップ&ゴーが連続する市街地走行でもストレスを感じさせず、高速道路でも不満のない動力性能を発揮。これも小さいながらも幅広い用途に対応できた要因と言えるだろう。

■軽自動車の利点を生かした多人数乗りの再登場に期待

 軽のアトレーをベースとしているが、トレッドのワイド化とタイヤのサイズアップが功を奏して、跳ねるような安っぽさは払拭され、軽自動車がベースとは思えない上質な走行フィーリングが味わえた。

 世界初の新開発トーコントロールリンク付3リンク式コイルスプリングリアサスペンションを採用したことも走りにいい効果をもたらし、背の高いミニバンでは不得手とされる旋回時の車両安定性と高速走行時の走行安定性で不満のないパフォーマンスを実現した。

運転席まわりはシンプルなデザインながら、ベース車よりも上質な雰囲気に仕立てられている。デュアルエアコンを標準装備したのをはじめ、乗員の快適性を高める機能が充実

 軽自動車をベースにしたことで取りまわしがよく、小さいなりにも多人数乗車ができて、多彩なシートアレンジをはじめとした機能によって幅広い用途に対応できるアトレー7は、発売当初こそ実績を挙げたが、わずか4年で生産終了となってしまう。

 コンパクトミニバンの売れ筋が、アトレー7のような軽ワンボックスをベースにした車種からホンダ モビリオ、日産 キューブキュービック、トヨタ シエンタといった乗用車(コンパクトカー)をベースにした車種に変わったことが販売不振の要因だし、そもそも軽自動車ベースでミニバン化ということ自体に無理があったことも否めない。

 しかし、小さいながらも優れた実用性や居住性を有した現代の軽自動車ベースに、3列シートを備えたミニマムミニバンを作ったなら再び注目を集める可能性はあるのではないだろうか。

【画像ギャラリー】 ミニバンの可能性を広げた一台となった、ダイハツ アトレー7の写真をもっと見る!(4枚)

投稿 こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】アトレー7はわずか4年しか生産されなかった悲運の3列7人乗りコンパクトミニバン! は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

今年も強すぎるau TOMS、誰よりも重いマシンで勝ち連覇に王手。「みんなが100%以上の仕事をしている」と山下健太
今年も強すぎるau TOMS、誰よりも重いマシンで勝ち連覇に王手。「みんなが100%以上の仕事をしている」と山下健太
motorsport.com 日本版
F1 Topic:エンジンの使用計画に懸念。ノーポイント回避のため6基目の投入を決断したレッドブル&HRC/ホンダ
F1 Topic:エンジンの使用計画に懸念。ノーポイント回避のため6基目の投入を決断したレッドブル&HRC/ホンダ
AUTOSPORT web
前日まで車両が決まらないのは“無駄”「ル・マン優勝車にすべき」とポルシェがルーキーテスト変革を提言
前日まで車両が決まらないのは“無駄”「ル・マン優勝車にすべき」とポルシェがルーキーテスト変革を提言
AUTOSPORT web
F1サンパウロGP予選速報|赤旗5回の大波乱! 角田裕毅が3番手獲得。ノリスがポールポジション
F1サンパウロGP予選速報|赤旗5回の大波乱! 角田裕毅が3番手獲得。ノリスがポールポジション
motorsport.com 日本版
【MotoGP】3連覇風前の灯火のバニャイヤ、最後まで諦めず「何かが起きる可能性だってある。必要なら誰かにスリップストリームも貸すよ」
【MotoGP】3連覇風前の灯火のバニャイヤ、最後まで諦めず「何かが起きる可能性だってある。必要なら誰かにスリップストリームも貸すよ」
motorsport.com 日本版
全高約0.8m!? “レーザーパルス”で動く「斬新スーパーカー」! 450kgボディでめちゃ楽しそうな「シャパラル 2X」とは
全高約0.8m!? “レーザーパルス”で動く「斬新スーパーカー」! 450kgボディでめちゃ楽しそうな「シャパラル 2X」とは
くるまのニュース
835馬力のV12エンジンで最高速度345キロ! アストンマーティンの新たなトップモデル 新型「ヴァンキッシュ」の“エレガント”な走りとは
835馬力のV12エンジンで最高速度345キロ! アストンマーティンの新たなトップモデル 新型「ヴァンキッシュ」の“エレガント”な走りとは
VAGUE
敵か味方か「タコグラフ」! トラックドライバーも運送会社も「監視する」運行記録計の中身
敵か味方か「タコグラフ」! トラックドライバーも運送会社も「監視する」運行記録計の中身
WEB CARTOP
開発責任者が明かす「鈴鹿8耐、3連覇を達成したHRCファクトリーの真実:マシン編」24年型CBR1000RR-R SP
開発責任者が明かす「鈴鹿8耐、3連覇を達成したHRCファクトリーの真実:マシン編」24年型CBR1000RR-R SP
モーサイ
[15秒でわかる]ルノー『カングー』限定仕様…サハラの風景を表現
[15秒でわかる]ルノー『カングー』限定仕様…サハラの風景を表現
レスポンス
マルティンがスプリント勝利でタイトル獲得に大きく前進。バニャイアは痛恨の転倒リタイア/第19戦マレーシアGP
マルティンがスプリント勝利でタイトル獲得に大きく前進。バニャイアは痛恨の転倒リタイア/第19戦マレーシアGP
AUTOSPORT web
ポールスタートの64号車Modulo伊沢、厳しいレースに終わるも前を向く「ネガティブな気持ちはあまりない」
ポールスタートの64号車Modulo伊沢、厳しいレースに終わるも前を向く「ネガティブな気持ちはあまりない」
motorsport.com 日本版
ルクレールがスプリント予選3番手「マクラーレンは速いが、諦めずに挑戦し続ける」フェラーリ/F1第21戦
ルクレールがスプリント予選3番手「マクラーレンは速いが、諦めずに挑戦し続ける」フェラーリ/F1第21戦
AUTOSPORT web
ストレスなく万能に走りこなすメルセデス・ベンツの最新スポーツクーペ「CLEクーペ スポーツ」
ストレスなく万能に走りこなすメルセデス・ベンツの最新スポーツクーペ「CLEクーペ スポーツ」
@DIME
日本勢は本当に苦戦している? トヨタ・ホンダ「新型車」続々投入!? 世界最大の市場で“1番売れている”意外な日本車は? 中国新車販売の現状はいかに
日本勢は本当に苦戦している? トヨタ・ホンダ「新型車」続々投入!? 世界最大の市場で“1番売れている”意外な日本車は? 中国新車販売の現状はいかに
くるまのニュース
スプリント予選トップのピアストリ「ワンツーを維持できたら、最後にノリスにポジションを譲る」/F1第21戦
スプリント予選トップのピアストリ「ワンツーを維持できたら、最後にノリスにポジションを譲る」/F1第21戦
AUTOSPORT web
BMWジャパン、「2シリーズクーペ」一部改良 エクステリアデザインを小変更
BMWジャパン、「2シリーズクーペ」一部改良 エクステリアデザインを小変更
日刊自動車新聞
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年10月27日~11月2日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年10月27日~11月2日)
Webモーターマガジン

みんなのコメント

15件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

122.1185.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.875.5万円

中古車を検索
アトレー7の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

122.1185.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.875.5万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村