スーパースポーツは1000ccがすべてではない
“サーキットを走るにはガチのスーパースポーツが必須”ということはまったくありません。
【画像】サーキットでも楽しめるから“コスパ”良し!? 人気のミドルスポーツ2台を写真で見る(25枚)
コースにもよりますが、1000ccクラスではなくとも400cc以下の普通二輪、125cc以下の原付でも、フルカウルでもネイキッドでも走ることができます。
むしろ1000ccクラスのスーパースポーツはサーキット走行に超特化しているため、日常では持て余してしまうことになります。
数百万円をかけて使い方が限定されてしまうことは、ある意味もったいないでしょう。
そこで、大型二輪でそれに相応しいパワーと走行性能がありつつツーリングユースにも対応できるミドルクラスに注目しましょう。
ミドルクラスとは、400ccと1000ccの中間ほどと考えて良いです。
ミドルクラスにも、高回転型直列4気筒エンジンを搭載したホンモノのスーパースポーツは存在しますが、今回はそこまで目が尖っていないフルカウルスポーツモデルに注目します。
国内4メーカーともにラインアップしていますが、“意外と”しっかりスポーツライディングもできるよう設計されています。
その中から今回は、このクラスでは歴史の長いカワサキ「ニンジャ650」と、ヤマハの新進気鋭「YZF-R7」をスペック面から比較してみましょう。
ニンジャ650は息の長いモデルで、現行型(2020年)以前から存在しています。熟成されているということもでき、このクラスの中心的な存在といえ、その乗りやすさからツアラーとしても人気を得ています。
YZF-R7は2022年に国内に新登場しました。ヤマハは“スーパースポーツ”と明確にうたっており、ガチンコのマシン「YZF-R6」とは性格の異なる“ファン”要素を追求したモデルとのことです。
ボディサイズを比較してみると、ニンジャよりもR7のほうが全幅が小さいことが分かります。前面からの投影面積を減らす目的があるのではないでしょうか。
それ以上に大きく異なるのがシート高です。ニンジャよりもR7のほうが45mmも高いのです。
R7は、ネイキッドスポーツの「MT-07」とシャシを共用しています。しかし07よりも30mmも高くなっています。単に共用するのではなく、R7用に最適化していることが見て取れます。
一方ニンジャのシート高はスーパースポーツから比べると低い値です。公道上での取り扱いが考慮されていることがみてとれます。
ちなみにサーキットでは、ニンジャの方がシート高が低い分、“膝スリ”がしやすいでしょう。逆にそのための良い練習台にもなってくれそうです。
YAMAHA YZF-R7
車体サイズ:2070×705×1160mm
ホイールベース:1395mm
シート高:835mm
車両重量:188kg
KAWASAKI NINJA 650
車体サイズ:2055×740×1145mm
ホイールベース:1410mm
シート高:790mm
車両重量:194kg
ライバルだからこそ違う特性を作り込んだ
排気量に約30ccの差がある両車のエンジンですが、それ以上に興味深い特性の違いがあります。
ニンジャのほうは最大トルクの発生回転数と最高出力の発生回転数が近いのですが、R7のほうはその幅がより広いのです。
つまり、低速域での加速が良くさらに上まで回しても使えるエンジンだということになります。アクセルを開けた以上にパンチのある加速を体感できるのではないでしょうか。
一方のニンジャは、アクセル操作に素直に追従するエンジンといえそうです。
サーキットを走ったとしても、変な回り方をせず扱いやすいエンジンではないでしょうか。
YAMAHA YZF-R7
エンジン形式:水冷直列2気筒DOHC4バルブ
排気量:688cc
最高出力:54kW(73PS)/8750rpm
最大トルク:67Nm(6.8kgm)/6500rpm
トランスミッション:6速MT
KAWASAKI NINJA 650
エンジン形式:水冷直列2気筒DOHC4バルブ
排気量:649cc
最高出力:50kW(68PS)/8000rpm
最大トルク:63Nm(6.4kgm)/6700rpm
トランスミッション:6速MT
※ ※ ※
価格は両車同じといって良いでしょう。
しかし、エンジンとシャシがMT-07のキャリーオーバーといえ、各所に最適化を施したR7がこの価格に抑えられているのは驚きです。
ニンジャを相当意識している勝負価格といっても良さそうです。
逆にいえば、ニンジャをライバル視しているからこそ、これまで比較してきた差を“作り込んだ”のではないでしょうか。
しかし、両者に共通しますが、100万円ほどで公道を楽しく走れ、その気になればサーキットにも持ち込めるバイクというのはコストパフォーマンスに優れているといえないでしょうか。
パワーは十分にあり、初心者でもアクセルを全開にする快感を味わえます。さらにタイヤをはじめとした消耗品のコストも抑えることができます。
スポーツは勝利を競うものですが、楽しむことを忘れてはいけません。
YAMAHA YZF-R7
車両本体価格:105万4900円
KAWASAKI NINJA 650
車両本体価格:106万7000円
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みんなのコメント
1000ccは軽くても一般道ではパワーを持て余す。
まぁ、一度はそのクラスを乗ってみたいだろうが。