■寒い地域に適した「寒冷地仕様」とは?
日本は南北に長く、北は北海道から南は沖縄まで、地域によって気候に差があります。そのため、寒さが厳しいエリアで使われるクルマのために、「寒冷地仕様」というものが用意されています。
寒冷地仕様とはその名のとおり、気温の低い地域で使われることを前提としており、通常仕様のクルマに比べて強化された装備や追加装備が備わっています。
・暖房性能の強化(リアヒーターの追加やシートヒーターの追加など)
・バッテリーの大型化(低温時はバッテリー性能が低下しやすいため)
・オルタネーターの強化(バッテリーの大型化や電装品の使用頻度が増えるため)
・ワイパーモーターの強化(着雪時にワイパーモーターに負荷がかかるため)
・高濃度冷却水の使用(低温時の凍結対策)
・リアフォグランプの追加(吹雪などの悪天候時の視認性向上)
車種によって強化や追加される装備は異なりますが、基本的には寒冷地での信頼性や利便性を向上させる仕様になっているといえるでしょう。
そんな寒冷地仕様ですが、一部の車種ではオプションではなく、全車標準装備となっていることがあります。
OEM車などでは、車両を供給するメーカーの設定に準ずるのが基本ですが、日産と三菱が共同開発した「デイズ」と「ekワゴン/eKクロス」は、差別化が図られています。
デイズは4WDのみに寒冷地仕様が標準装備されていますが、2WDはオプション設定となります。また、ekワゴン/eKクロスでは全車に標準装備となっています。
設定の違いについて、三菱は次のように説明します。
「ekワゴン/eKクロスについては、どんな地域にお住まいのお客さまにも安心してお乗りいただけるように、寒冷地仕様を全車標準装備としました。
デイズとの違いについては、両車はOEM車ではなく、共同開発車ということで、それぞれのメーカーの考えが車両に反映されたという形になりました」
※ ※ ※
トヨタなどでは「北海道地区メーカー希望小売価格」が設定されている場合がありますが、これは北海道で販売される車両にはあらかじめ寒冷地仕様の装備が含まれているためです。
■ウインタースポーツを楽しむ人は寒冷地仕様のクルマがオススメ
寒冷地仕様が標準ではなくオプション設定の車種を購入する際、どのような基準で選べばいいのでしょうか。
ひとつの基準としては、住んでいる地域で冬になると日常的に雪が積もるかどうかで判断すると良いでしょう。
また非降雪地域に住んでいても、スキーやスノーボードといったウインタースポーツを楽しむという人は、降雪地域に行く機会が多くなるため寒冷地仕様を選択することをオススメします。
トヨタ「アクア」や日産「ノート e-POWER」といった一部のハイブリッドモデルは、通常のエンジン車と同じくエンジンの排熱を暖房に回していますが、そうなると常にエンジンを動かすことになるため、暖房を使う時期に燃費が悪化してしまいます。
寒冷地仕様は、バッテリーを動力源とするPTC(自己温度制御システム)ヒーターが追加され、エンジンの熱に頼らずとも暖が取れるようになるので、燃費を気にする人も寒冷地仕様を選んだ方がいい場合もあります。
※ ※ ※
最近のクルマは、寒冷地仕様でないからといって寒冷地で致命的なトラブルが発生するということはありません。しかし、寒冷地仕様を選ぶことで信頼性や快適性がアップするというのも事実です。
車種にもよりますが、寒冷地仕様のオプション価格はそこまで高価ではないため、四季のある日本ではプラスしておいても損はないといえるでしょう。
強いてデメリットを挙げるとすれば、標準装備されるものが強化品になるため、万が一の故障などで交換する際に、部品代が若干高くなってしてしまう可能性があるということです。
しかし、一部のメーカーでは寒冷地仕様が標準装備となるほどですから、金額についてはほとんど問題ないといってもいいかもしれません。
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①ワイパー下の熱線
②吹雪いても雪が付きにくい、実用的なハロゲンフォグ
③ヒーターミラー
④下回りの防錆コートの強化
⑤緊急用に金属チェーンが装着できるクリアランス