現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > おかえりレイニー! あの事故から26年、伝説のチャンピオン〈ウェイン・レイニー〉が再び鈴鹿を走った!【SUZUKA Sound of ENGINE 2019 レポート】

ここから本文です

おかえりレイニー! あの事故から26年、伝説のチャンピオン〈ウェイン・レイニー〉が再び鈴鹿を走った!【SUZUKA Sound of ENGINE 2019 レポート】

掲載 38
おかえりレイニー! あの事故から26年、伝説のチャンピオン〈ウェイン・レイニー〉が再び鈴鹿を走った!【SUZUKA Sound of ENGINE 2019 レポート】

青木3兄弟が提唱したサイドスタンドプロジェクト。車いすだって、バイクに乗れるんだ! 夢をあきらめることなんてないんだ! という運動がついにアメリカへ、伝説のチャンピオンへと広がった! ウェイン・レイニー、奇跡のライドアゲイン!
(※月刊オートバイ2020年1月号より)

伝説のチャンピオンが再び鈴鹿を疾走るまで
ウェイン・レイニーといえば、1990年から3年連続して世界グランプリ500ccクラスを制した伝説のチャンピオン。

35年の歴史に幕、ヤマハが「セロー250」のファイナルエディションを発表

しかし93年シーズン、4連覇を目前にレース中に転倒、第6頸椎を損傷し、そのままライダー生活を引退。以後は車いす生活を余儀なくされている。

ウェイン・レイニー

1983/87年にAMAスーパーバイクチャンピオンとなり、88年からチームロバーツより世界グランプリに本格デビュー。

90年から3年連続チャンピオンとなるも、93年イタリアGPで転倒し、下半身不随の重症を負い、ライダーを引退。

88年には鈴鹿8耐も制覇。

そのレイニーが日本に来る! というニュースだけでもオールドファンにはうれしい話なのに、なんとバイクに乗るとは!

これは、同じく車いすライダーとして知られる青木拓磨の「サイドスタンドプロジェクト」(SSP)が大きく関係している。

拓磨のSSPは、なにも車いすの人にバイクに乗ろうよ、という提案ではなく、どんな困難なことだって諦めることないよ、というメッセージ。これに、レイニーが呼応したのだ。

「初めてこの話をもらったときは、僕はいいよ、って断ったんだ。あの事故から26年、その間にバイクに乗ろうとか、なんとか乗りたい、なんて気持ちはなかったからね」とレイニー。

来日も26年ぶりだ。

しかし、ここから奇跡へのカウントダウンが始まっていく。

「素晴らしい経験だった、本当に楽しかったよ」
当初レイニーは、モビリティランドの来日オファーを、日本のファンにまた会える、また挨拶したいという思いで快諾していた。

「このイベントの話をもらって、実はこんな企画がある、ってデモランを勧められたんだ。でも、僕はそんな気になれなかった」

レイニーの背中を押したのは、師匠であるケニー・ロバーツ、先輩ライダーであるエディ・ローソン。

けれど、家族は反対だった。

「ワイフや息子たちは『なぜ今更そんなことを?』って言う。ケニーやエディ、友人たちは『やろうやろう』って正反対さ(笑)。

でも、10月に誕生日が来て、59歳になった。ふと気が変わったんだろうね、『なぜやるの?』って聞かれて、『なぜやらないの?』って答えるようになった。乗る理由なんてないさ、でも乗らない理由だってないんだ」

それからは、拓磨が使用できるまでにこぎつけたフットレスト、ハンドチェンジシステムなどのパーツがUSヤマハに届き、YZF-R1に装着してテスト。

最初は上手く乗れなかったものの、何度かテストするうちに、きちんと走行できるまでになる。

それが事前に世界公開された動画だった。

「日本から送ってもらった、タクマが走行するビデオを見て、楽しそうだな、スゴい男だ、って勇気をもらったね。でも、アメリカで乗った時、特別な感情は生まれなかったんだ。またバイクに乗れる、って嬉しさはあったけどね」

そしてサウンドofエンジン当日。

「土曜の朝のうち、観客のみんなに気づかれないように西コースで練習したんだ。そうしたら、気持ちが変わってしまったんだ!」

レイニーが鈴鹿を走るのは、あの93年、シュワンツ、ビーティ、伊藤との激しいバトルを制して優勝した日本GP以来、26年ぶり!

「走り出した瞬間、思い出したんだ。鈴鹿のストレートを、ヘアピンを、スプーンをね。ライバルたちとの戦いより、鈴鹿を走ったあの頃を思い出した。ワーオ!だよ。事故をして以来、こんな気持ちになったのは初めて。自分でもびっくりするくらいの感動だった!」

そしてレイニーは、土曜と日曜、たった3周、しかも東コースだけだったけれど、26年ぶりに、鈴鹿の大観衆の前で走った!

「ひどいんだよ、ケニーとエディが僕を抜いて、置いて行っちゃうんだもん(笑)。でも、メインストレートでふたりの後ろを走って、あのふたりのバトルの輪に入りたいなぁ、と思ったけど、後ろからふたりの美しい姿を見るのも素晴らしいものだったなぁ」

ウェインisバック! けれどこのプロジェクトはいったん終了。アメリカに帰ってまた次、という気持ちにはなれないんだという。

「だって、また走るとなったら、今度はマシンのセッティングだって始めちゃうかもよ(笑)。いつかは、あの頃の500ccのGPマシンに乗ってみたいな。まぁ、それは夢としておいておくさ」

本当に素晴らしい経験だった、最高に楽しかったよ、と語るレイニーの背後で、ケニーとエディが、そして拓磨が幸せそうな笑顔でいたのが忘れられない。

ウェイン、見ている僕らも、最高だったよ!

[ アルバム : 写真をまとめて見る! はオリジナルサイトでご覧ください ]

PHOTO & TEXT:中村浩史

月刊オートバイでは毎号、モータースポーツの最新情報を掲載!

関連タグ

こんな記事も読まれています

もはや熟成の域だよレガシィアウトバック!! さすが4駆のスバル!! やっぱアウトドアにピッタリだった 
もはや熟成の域だよレガシィアウトバック!! さすが4駆のスバル!! やっぱアウトドアにピッタリだった 
ベストカーWeb
[ハイラックスサーフ]の後ろに注目!! 巨大リアウィングの機能がスゴかった
[ハイラックスサーフ]の後ろに注目!! 巨大リアウィングの機能がスゴかった
ベストカーWeb
トヨタ小林可夢偉が見据えるテール・トゥ・ウイン。「優勝以外リベンジとは言えない」と平川亮/ル・マン24時間
トヨタ小林可夢偉が見据えるテール・トゥ・ウイン。「優勝以外リベンジとは言えない」と平川亮/ル・マン24時間
AUTOSPORT web
LMP2新レギュレーション、3度目の導入延期。2027年末まで現行規定を維持へ
LMP2新レギュレーション、3度目の導入延期。2027年末まで現行規定を維持へ
AUTOSPORT web
2025年からのハイパーカー『最低2台義務』が正式発表。イモラはガレージ数を拡張へ
2025年からのハイパーカー『最低2台義務』が正式発表。イモラはガレージ数を拡張へ
AUTOSPORT web
マフラーを横から出しちゃダメだろ! クルマの「サイド排気」って車検に通るの?
マフラーを横から出しちゃダメだろ! クルマの「サイド排気」って車検に通るの?
ベストカーWeb
ル・マン24時間グランドマーシャルとTGR-E副会長で多忙な中嶋一貴。「しっかり役をこなしたい」
ル・マン24時間グランドマーシャルとTGR-E副会長で多忙な中嶋一貴。「しっかり役をこなしたい」
AUTOSPORT web
一体どこが抜け出すんだ!? 2024年ル・マン24時間は開始1時間を過ぎても依然接近戦……11番手発進トヨタ8号車もトップ争いに加わる
一体どこが抜け出すんだ!? 2024年ル・マン24時間は開始1時間を過ぎても依然接近戦……11番手発進トヨタ8号車もトップ争いに加わる
motorsport.com 日本版
ハイパーカーのホモロゲーションサイクルが2029年まで延長。水素クラス導入は2028年へ4度目の延期
ハイパーカーのホモロゲーションサイクルが2029年まで延長。水素クラス導入は2028年へ4度目の延期
AUTOSPORT web
アストンマーティン、2025年WECハイパーカー参戦を確認。2台のヴァルキリーAMR-LMHが登場へ
アストンマーティン、2025年WECハイパーカー参戦を確認。2台のヴァルキリーAMR-LMHが登場へ
AUTOSPORT web
築110年の駅舎には2つのミュージアム! バーストーの街はクルマ好きも鉄道好きも立ち寄る価値ありです【ルート66旅_56】
築110年の駅舎には2つのミュージアム! バーストーの街はクルマ好きも鉄道好きも立ち寄る価値ありです【ルート66旅_56】
Auto Messe Web
[セレナミニ]爆誕!? シエンタにフリードバカ売れなのに日産なぜ出さない!?
[セレナミニ]爆誕!? シエンタにフリードバカ売れなのに日産なぜ出さない!?
ベストカーWeb
2024年のル・マン24時間がスタート! フェラーリがすかさずワンツー奪取……トヨタ8号車6番手
2024年のル・マン24時間がスタート! フェラーリがすかさずワンツー奪取……トヨタ8号車6番手
motorsport.com 日本版
いよいよステーションワゴン登場! BMW i5 ツーリングへ試乗 万能道具感は先代を超えず?
いよいよステーションワゴン登場! BMW i5 ツーリングへ試乗 万能道具感は先代を超えず?
AUTOCAR JAPAN
富士6時間レースは9月に開催。WEC、ル・マンで全8戦の2025年レースカレンダーを発表
富士6時間レースは9月に開催。WEC、ル・マンで全8戦の2025年レースカレンダーを発表
AUTOSPORT web
ランボルギーニ史上初、ル・マン24時間レースのハイパーカークラスに参戦! SC63の2台体制で歴史的なデビューを飾ります
ランボルギーニ史上初、ル・マン24時間レースのハイパーカークラスに参戦! SC63の2台体制で歴史的なデビューを飾ります
Auto Messe Web
登録者数400万人超YouTuber、新車で買った「高級車」公開! ガラスルーフ×白内装の“近未来モデル”に「カッコイイ!」の声集まる
登録者数400万人超YouTuber、新車で買った「高級車」公開! ガラスルーフ×白内装の“近未来モデル”に「カッコイイ!」の声集まる
くるまのニュース
「高級小型スポーツ」がパワーアップ! 直6ターボで480馬力 新型BMW M2クーペ、8月生産開始
「高級小型スポーツ」がパワーアップ! 直6ターボで480馬力 新型BMW M2クーペ、8月生産開始
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

38件
  • 26年ぶりに走って
    新たに走る夢持ってくれたんですね
    500のYZRで走ってるの観たら
    泣くな俺。
  • ケニー、ローソン、レイニー、すごいメンバー
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村