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「違和感ある」ほど速い500馬力 ランドローバー・ディフェンダー 130へ試乗 走破性を維持

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「違和感ある」ほど速い500馬力 ランドローバー・ディフェンダー 130へ試乗 走破性を維持

最も強力でにぎやかな130のP500

新型ランドローバー・ディフェンダーの発売から、3年が経過する。このタイミングで、新たな1択が追加された。

【画像】「違和感ある」ほど速い ランドローバー・ディフェンダー 130 競合クラスのSUVと比較 全131枚

初代にはリアにベンチシートが横向きで備わるモデルも存在したが、現行で6名以上の大人を乗せるには、130が唯一の選択。だがパワートレインは、マイルド・ハイブリッドの直列6気筒ガソリンかディーゼルに限定されていた。

プラグイン・ハイブリッドは、駆動用バッテリーなどを搭載する都合上、3列シートでの実現は難しい。そこでラインナップを充実するべく、ランドローバーは5.0L V型8気筒スーパーチャージャーをチョイス。最も強力でにぎやかな、P500が登場した。

少々時代錯誤かもしれない。環境負荷を強く意識する一部からは、反発の声が聞こえそうだ。それでも同社は、今後1年以内にバッテリーEVを発売する予定がある。多様性の1つ、と考えても良いだろう。

前から2名+3名+3名が座れ、定員は8名。英国では定員が9名を超えると、ミニバス扱いになるため、最前列にジャンプシートは指定できない。

全長は5358mm。ディフェンダー 110から伸びた600mmはリアのオーバーハングへ充てがわれ、ホイールベースは変わりない。急勾配でリアの下端が路面へ当たらないよう、形状も僅かに変更してある。

装備内容は110より充実しており、車高を調整できるエアサスペンションが標準。そのかわり車重は200kg重く、2670kgへ増えている。

最高出力500ps 大人でも余裕で座れる3列目

ディフェンダーを、スポーツ・ラグジュアリーSUVへ押し上げる仕様といえ、直接的に対峙するのはメルセデスAMG G 63。アウディRS Q8やBMW アルピナ XB7、ポルシェ・カイエン・ターボなどとも、比較されるのに不足はない。

ボンネット内に納まるのは、ジャガー・ランドローバーによるAJ型ユニットで、最高出力は500ps。最大トルクは62.2kg-mを発揮する。レンジローバーのように、BMW由来の4.4Lユニットではない。

残念なことに、このAJ型ユニットは生産が終了している。ジャガーFタイプにも同じ在庫が割り当てられるため、ご関心をお持ちなら早めの行動をオススメしたい。

600mmも長くなったことで、車内空間は広大。一般的な3列シートのSUVでは、最後列は子供や小柄な大人の席になりがちだが、130なら背が高くても2名が余裕で過ごせる。3名を押し込むと、流石に不満は出るかもしれない。

2列目をスライドさせ、隙間から乗り降りする必要はあるものの、大家族には重宝がられるに違いない。チャイルドシートは、2列目と3列目に2脚づつ固定できる。

3列目にも人が座った状態で、荷室には400L近い空間が残る。1列目以外を折りたたむと、荷室容量は2500Lへ広がる。ワンボックスのバンほど広くはないにしろ、子供の引っ越しにも活躍するはず。

世界最高峰のオフローダー 称賛したいV8

さて、早速オフロードへ出かけてみよう。全高は1970mmで、110より僅かに高いが、1996mmの全幅は同じ。狭い林道では取り回しに気を使うものの、運転席からの視界に優れ、車幅感覚は掴みやすい。

ローレンジ・トランスファーと、最低地上高を増やすエアサス、ピレリのオールテレーン・タイヤ、知的なトラクションとスタビリティ・コントロールに、急勾配で活躍するヒルディセント・コントロールなどを実装。酷い不整地でも、余裕で対応できる。

子供の引越し先が山奥だったとしても、お父さんはステアリングホイールを握り、アクセルペダルを丁寧に傾けるだけ。難しい処理は、シャシーが引き受けてくれる。

最低地上高は、1番持ち上げた状態で291mm。リア・オーバーハングが路面と接する角度、デパーチャーアングルが多少犠牲になっているものの、世界最高峰のオフローダーであることに変わりはない。

低回転域から太いトルクを生み出す、シルキーな直列6気筒ディーゼルターボの方が、シリアスな路面へ挑むには理想的なエンジンといえる。とはいえ、このV8エンジンも非常に頼もしい。一見走破できなさそうな状況でも、苦労している様子はなかった。

ランドローバーの場合、エンジンがストロングポイントになる機会は殆どなかったといえる。だが、このV8スーパーチャージド・ガソリンは称賛したいユニットだ。同時に、ディフェンダー本来の特長が犠牲になっていない点も、称賛すべきだろう。

違和感を感じるほど速い オンとオフの2面性

エンジンを目覚めさせると、勇ましいバリトンノイズが耳へ届き出す。ディーゼルターボより、明らかにアグレッシブ。

右足へ力を込めれば、違和感があるほど速い。ドラマチックなエグゾーストノートを奏でながら、ボディの重さを忘れさせる勢いで速度を高める。スーパーチャージャーのソプラノな回転音も、鑑賞に値する。

豊満なパワーを、知的な四輪駆動と電子制御のシステムが、効果的に路面へ伝達。高回転域では、周囲を威嚇するような唸りが放たれる。カリスマチックなBMWのV8ユニットの音響体験には、届かないかもしれないが。

穏やかに運転している限り、エンジンの存在感は控えめ。ただし丁寧に運転しても、燃費が7.0km/Lを超えることはなかった。カタログ値は、10.6km/Lがうたわれる。そう、130のP500が現在のディフェンダーで1番燃費は優れない。

新型のディフェンダーは、オンとオフの2面性を備える大型SUVであることが、特長になっている。直感的に操縦でき、反応は正確。これは、130にも当てはまる。

オンロードでは、エアサスが大きなボディをしっかり支持。8名の大人を乗せれば、流石に重さを感じるかもしれないが、数名程度なら、110と比較して姿勢制御に目立った違いはないようだ。

コーナリング時のボディロールは小さくないものの、安定感は高い。ステアリングホイールの重み付けも理想的。110と変わらないレシオにも、不満は抱かなかった。

巨大で有り余る能力へ惹かれる

日常的な扱いやすさでは、ボディサイズが足を引っ張る。タイトなワインディングでは、110や90と同等の身のこなしは難しい。オフロードでも、鋭く回り込む区間では切り返しを余儀なくされた。

ダブルキャブのピックアップトラックより長く、一般的な駐車場では、オーバーハングがはみ出ることが殆ど。高さ制限にも注意したい。

自らが活きる世界に充分な空間があり、110を超える積載力を望むなら、130は理想的なディフェンダーになるだろう。ラインナップを拡充し、最も多用途なオフローダーの独自性を強める意味も果たす。しかし、その大きさが故に制限も少なくない。

130 P500では、22インチ・アルミホイールと肉薄なタイヤ、シティ仕様の塗装が標準。本来のディフェンダーのように、実用性が最優先ではないことは事実だ。

現在の地球上で、本当に必要とされる存在ではないかもしれない。だとしても、巨大で有り余る能力へ惹かれる人は少なくないはず。所有欲は存在するに違いない。

◯:驚異的な目的地までの速さ オフロードでの優れた能力 V8スーパーチャージド・エンジンそのもの
△:大きなサイズが生む扱いにくさ シャシーは強化されず、ロールやピッチは大きめ

ランドローバー・ディフェンダー 130 P500(欧州仕様)のスペック

英国価格:11万6845ポンド(約2161万円)
全長:5358mm
全幅:1996mm
全高:1970mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:10.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2670kg
パワートレイン:V型8気筒4999cc スーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:500ps
最大トルク:62.2kg-m
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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