新車試乗レポート [2025.03.15 UP]
NXは、また乗りたくなるレクサス【九島辰也】
文●九島辰也 写真●レクサス
自動車メディアに携わっていると、どうしても新型車に目が行きがちです。新しいテクノロジーを持ったそれを題材にコンテンツをつくるのが日常。内容を理解し、ステアリングを握り、ロードインプレッションとともに総合的に解説するのが通常パターンとなります。ただ、ひとりのモータージャーナリストとしてはそれでとどりません。気になるモデルを再度引っ張り出してもう一度走るなんてことがあります。一度とは言わず二度、三度と。いい印象の残っているモデルにはそれだけの魅力があるわけですから、それを探るのも仕事の一環と考えます。
レクサスNXはそんなモデルの一台。今回も久しぶりに広報車を借り出し、走らせてみました。
このクルマはグローバルで人気です。デビューは2014年ですから、もう10年を超えました。90以上の国と地域で累計142万台(2023年12月)販売されているそうですから大成功ですね。ちなみに、PHEVとHEVを合わせた電動車比率は56%だそうです。仕向地によっていろんなニーズに応えているのがわかります。
レクサス NX 350 Fスポーツ
NXに関しては当初からいい印象でした。カナダで行われた国際試乗会での走りは気持ちよく、大自然の中で走る姿はカッコよかった。とにかく存在感が強かったのを覚えています。フロントのスピンドルグリルもそうですし、リアのホリゾンタルなガーニッシュがセールスポイント。今考えるとこのタイプの“走り”だったかもしれません。ここ数年左右のテールランプを横一本でつないだリアガーニッシュが一般的になってきていますが、NXはその先駆けとなります。当時チーフエンジニアだった加藤氏もLEDの進化を強くアピールしていました。
そんなNXを走らせるとさらによくなっている気がしました。軽快なハンドリングとボディと一体になって追従する様は、ドライビングを楽しくします。思いのほか機敏な動きをするので、サイズは本来よりもコンパクトに感じます。そもそもこの傾向はありましたが、足まわりが進化したような仕上がりです。
そこでNXに関する情報を探ると、ちょうど一年前にやはり手が入っていました。ボディを補強して剛性アップを図っていますし、サスペンションのチューニングも変更しています。思うに、ボディを硬くして足まわりを柔らかくしたのではないでしょうか。若干減衰圧を下げるとかバネレイトを変更している気がします。まさに“熟成”ってやつですね。
結果、気持ちのいいハンドリングと快適な乗り心地を手に入れたわけですが、こうなるともう少し味付けが欲しくなります。いい意味でのクセみたいなもの。BMWあたりが得意とする手法です。VWもゴルフあたりだとしっかりそれをアピールします。特にドライブモードを「スポーツ」にした時にそれがあるといいかと。サーキットで活躍しているレーシングカーに通じるナニかを感じたいです。
もしくは極端な話「スポーツ」はなくてもいいかもしれません。「ノーマル」が優れているからです。今回の試乗では「エコ」を含めいろいろ試しましたが、ほぼ「ノーマル」で走っていました。ちょうどいいセッティングなんです。
レクサス NX 350h バージョンL
それ以外に今回感じたのはこのクルマの認知度は意外に高いこと。友人3人を横に乗せましたが、そのうちのふたりは購入を検討したことがあるそうです。たくさんの荷物を載せられて、長距離走って疲れなくて、大きすぎなくて、なおかつ信頼できるという条件です。友人のひとりは結局メルセデスCクラスワゴンにしたそうですが、今もNXは気になると言っていました。なるほど、リアルな意見です。
それを踏まえ、NXは日本で乗るのに多くのひとの条件を満たしていると思います。特にサイズ。どこへ行ってもストレスなく駐車できました。アメリカで乗るならRXでしょうがね。LBXは積載性の面で少し小さすぎるかな。今回は27インチの自転車を運んだので、そう思っちゃいました。NXはリアシートすべてを倒すとラゲッジをかなり広く使えます。
レクサス NX 350 Fスポーツ
ということで、久しぶりのNX。昨年11月はRXで愛知県までロングドライブに出かけましたので、それに続く「レクサス リインプレ」シリーズですね。さて、次はナニにしようかな。今気になるのはES。確か国際試乗会はナッシュビルだったような。SUV全盛の中、ESはかなりのダークホースですね。あえてのセダンが今カッコよく見えます。
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