現在は台湾『LUXGEN』ブランドでクルマ作りを行う水野和敏氏。ベストカー本誌でもおなじみだ。そんな『LUXGEN』が水野さん渾身の開発車両「U6」の台湾メディア向け試乗会を、九州はオートポリスで行った。あの水野さんが作るクルマはいったいどうなんだろうか、そんな思いでベストカー取材班は大分を目指した。
文:ベストカー編集部/写真:平野学
「ベストカー」2017年12月26日号
スポーツカー受難の時代!! それでも今年登場した秀逸スポーツ通信簿3選
■水野和敏が作る新たなクルマである「U6」とは?
本誌ベストカーで『水野和敏が斬る!!』を連載する水野さん。皆さんご存じのように以前は日産自動車に勤務していて、R35GT-Rの生みの親として知られた人物である。こう書くと、当の水野さんは「オレのことをGT-Rだけで語られては困る」と怒られてしまうが、水野さんは自動車開発畑一筋で、独自の考えに基づくパッケージングの理論や設計コンセプトの考え方をベースに、日産時代は初代プリメーラの基本コンセプトを取りまとめたり、R32スカイラインのパッケージングなどを取りまとめたりしてきた。
ホワイトボードを活用した「水野理論」も健在。紙ベースよりも思いが伝わり、わかりやすい!!
1990年代前半にはNISMOでグループC耐久レースのチーム監督兼チーフエンジニアに就任。独自の理論をフルに活かしたCカー設計により、デイトナ24時間で総合優勝、国内耐久選手権での全戦シリーズチャンピオンを勝ち取るなど、『水野理論』を実証。その水野さんが今取り組んでいるのが、台湾の自動車メーカー裕隆汽車の『LUXGEN』ブランドの自動車開発だ。日本には輸入されていないので国内ではなかなか知られていないのだが、台湾発のラグジュアリーカーブランドとして、中国本土への輸出など、勢力を伸ばしている。
LUXGENのミッドサイズSUVであるU6。水野和敏氏、入魂の1台だ
そのLUXGENの中核モデル、ミドルサイズSUVのU6。このビッグマイチェンを水野さんがリードして開発完了。台湾メディアに向けた試乗会を大分オートポリスで開催するというので、ベストカーとしては、水野さん渾身の開発車両を体感しようと、大分まで取材に出向いた。「ライバルは欧州プレミアムSUV。BMW X1やアウディQ3」と水野さんはU6のポジショニングを説明。水野さんが就任する以前からの既存車だったU6をどこまで『水野色』で作り直すかが開発のキモだったと言い、「エンジンもシャシーも全部一から作り替えた」という水野さん。果たしてどんなクルマに仕上がっているのか!?
リアのスタイリングも非常にスタイリッシュだ
■「エンジンはブロック以外を、そして足もボディも徹底的に作り直した」
実は2年半前の2015年4月、台湾のサーキットでU6に初めて乗る機会があった。その時は水野さんがLUXGENの開発に関わり始めて間もないタイミングで、「第一弾、とにかく最初に手を入れたかった部分を改良しただけ」というマイチェンだったのだが、それでもエンジンやシャシーに手を入れていて、従来型との乗り比べでエンジンの中間域でのトルクの出方、つながり方などが大幅に改善されていることを体感した。今回はそれから2年半、「エンジンはブロック以外、全面的に新設計。足もボディも徹底的に作り直した」と水野さんがホワイトボードを使って渾身の説明をする。
GTとGT220、2タイプが用意されているのだが、GTはスタンダード仕様でGT220がハイパワーエンジンを搭載するスポーティ仕様と理解すればいい。エンジンは日本のレースエンジン開発で名を馳せる東名エンジンが開発を担当。レースエンジン開発からフィードバックされた燃焼技術が盛り込まれているのがポイント。1798ccの直4ターボで、GT用は202ps/30.6kgm、GT220用は222ps/31.6kgmを発揮する。トランスミッションはアイシン製の6速ATが組み合わされる。
左がスポーティなモデル「GT220」、右が標準の「GT」。エンジンルームの作り込みもさすが
エンジンは格段にパワフルになっている。GTに乗っても体感的にハッキリとわかるほど。特に2000~3000rpmにかけての低中速域でのトルクの立ち上がりが大きいので、アクセルをスッと踏んだ時のレスポンスに優れ、クルマがグイと押し出されるように反応する。それはGT220になればより顕著で、さらに高回転域での伸びが加わり、よりハイスピードで走った時のパンチが加わる印象。アップダウンが激しいオートポリスのメインコースでの試乗でも、上り勾配のコーナー立ち上がりでもストレスなく、テンポよく加速してくれる。
特筆すべきはシャシー性能。基本的には軽快感を感じさせるハンドリングで、操舵に対して軽やかにクルマが反応する印象。サーキットでの試乗だったので、遠慮なく攻め込む走りをさせてもらったのだが、コーナー進入時にかなり奥まで突っ込んでフルブレーキングをした状態からのターンインでも挙動を乱すことなく、スッと向きを変えてくれる。
いつもの記事での水野さん流の表現をすれば「コーナーの入り口で外側前輪に荷重が載っちゃって、つんのめる姿勢になることがなく、後輪内側もちゃんと足が伸びて接地しているから、タイヤの接地を活かすことができている」となろうか。比較試乗した従来型では同じ場面で姿勢制御デバイスによる「抑え込み」が激しく作動していたし、BMW X1はややフロントを巻き込むような挙動を示した。
国産車だとレクサスNXがライバルになる。軽快なU6に対し、NXはどっしりとした操縦性で対照的だ
足のよさをさらに実感させられたのが、荒れた路面のショートコース「レイクサイド」での走り。とにかく足がよく動いて荒れた路面でも挙動を乱すことなくハイペースで走ることができるのだ。コーナー入り口でのフルブレーキングで大きなギャップを踏む時など、一瞬『ヤバイ!!』と身構えたのだが、何ごともなくスムーズに通過。なるほど、これがいつも水野さんが取材時に言っていることなのだな、と実感させられたのであった。
コックピットはセンターの12インチモニターが特徴的。IT大国の台湾らしくAR技術などを活用したアラウンドビューモニターも装備している
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