トリノ・ショーにおける評価は、とても高かった
完成したホンダHP-Xがデビューを飾った、40年前のトリノ・ショーにおける評価は、とても高いものであった。そして、表立って公表されていなかったホンダとピニンファリーナのコラボレーションが、白昼にさらされる絶好のタイミングでもあった。何せ当時のホンダはF1に市販モデルにとても元気がよかったのだから、注目の度合いが違った。従来の『スーパーカー』とは全く異なった未来的コンセプトを持つHP-Xは、「さすがはホンダ」と絶賛されたわけだ。
【画像】『ホンダHP-X』貴重な1984年当時の広報写真! 全10枚
しかし、ホンダ・サイドとしてはそこまで楽観的でなかった。勢いはあったものの、まだ4輪ブランドとしてはニッチなポジションであり、今だ『4気筒エンジンのブランド』であるという、身の丈にあった考えが社内にはあったようだ。果たしてホンダという大衆車ブランドが作るスーパーカーがマーケットで受け入れられるかどうかは、大きな賭けであったと当時の関係者は語る。
そしてそれから5年後に発表されたホンダ初のスーパーカーが、HP-Xとは全くコンセプトを異にするNSXであったことは誰もが知るところだ。フィオラバンティをして「彼ら(ホンダ)はフェラーリ(のようなスタイリング)を求めた」というのが結論であった。しかし、ホンダの開発スタッフはHP-Xのスタイリング開発プロセスから多くを学び、そのモチーフを活用できないか検討したことは間違いない。
ロレンツォ・ラマチョッティの証言
ところで、このHP-Xコンセプトはスタティック(不動)モデルであり、エンジンは搭載されていない。とすると、件のF2エンジンはどうなってしまったのであろうか。
前述したように、フィオラバンティはダラーラ製シャシーを用いてF2エンジンを搭載し、『この轟音を立てる未来的な物体が、ピニンファリーナ構内をテストランした』と自著に書き印している。
とするとピニンファリーナが製作したコンセプトモデルは2台存在したことになる。その疑問を当時、フィオラバンティの元でマネージャーを務めた(後にピニンファリーナ研究開発のCEOを務める)ロレンツォ・ラマチョッティに尋ねてみた。
「ピニンファリーナがホンダから、F2エンジンを使ったランニングプロトタイプの企画を任されたのはご存じのとおりだ。1984年のトリノ・ショーで、ピニンファリーナはHP-Xコンセプトを発表した。これは、インテリアを備えたモデルであったが、エンジンを含め、メカニカルパートは何もないモックアップだ。
そのデザインは、ピニンファリーナがフェラーリのために使用していた言語とは意図的に大きく異なっていることもおわかりだろう。このモデルがピニンファリーナのコレクションとして保管されていたもので、昨年のペブルビーチ・コンクールデレガンスでお目見えした。
そしてそのスタティックモデルを発表した翌年である1985年に、ピニンファリーナはこのコンセプトからインスピレーションを得たプロトタイプをホンダに納品した。これには件のF2エンジンが搭載されたものであり、ホンダはこのクルマを非公開とした。であるからこの個体は、存在しないものと関係者は認識しているのだ」
これは恐らく、初めて明かされた真実ではないであろうか。HP-Xのコンセプトモデルは2台作られ、私たちが目にすることができるのは、よりピュアなコンセプトに基づいたものであるのだ。よりプロダクションモデルに向けての提案であろう、もう1台のコンセプトモデルが存在するならば、いつの日かお目にかかりたいものではないか。
ピニンファリーナ広報マネージャーの証言
さて、この重要なコンセプトモデルがどのような流れで、40年の眠りから目覚めることになったのであろうか? ピニンファリーナの広報マネージャーであるフランチェスコ・フィオルデリージが、その答えを用意してくれた。
「ピニンファリーナにとってHP-Xは、ホンダとのコラボレーションにおける最初のシンボルです。とてもユニークな傑作ですが、それ以上に重要なのは、ホンダが発表した初のコンセプトカーでもあるということです。
前年に、北米ホンダから2024年にペブルビーチで開催されるコンクールデレガンスにHP-Xコンセプトを出品してほしいという依頼を受け、私たちはとても嬉しく思いました。当社の保管庫でその状態を調査した結果、40年前に使用された素材が経年劣化していたため、公開に先立ち本質的なレストアが必要であることが明らかになりました。
しかし、ベースは健全であったため、私たちは喜んでこのコンセプトモデルのレストレーションを開始したのです。幸いなことに、レストア作業はすべて社内で行うことができました。私たちにはいかなるリクエストに対しても迅速にコンセプトモデルや限定生産車製造を行うチームを持っていますから」
(つづく)
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