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ついに新型「CX-60」日本初公開!マツダ新型SUVは「スポーティセダン」みたい!? 豪華SUVを2022年初秋に発売へ

掲載 更新 10
ついに新型「CX-60」日本初公開!マツダ新型SUVは「スポーティセダン」みたい!?  豪華SUVを2022年初秋に発売へ

■ついに新型「CX-60」に乗ってみた! その感想は「驚き」ばかり

 マツダは、新世代ラージ商品群の第一弾となる新型「CX-60」の日本仕様を2022年4月7日に初公開しました。日本での販売開始は2022年初秋を予定しているようです。
 
 これに先駆け、筆者(山本シンヤ)はプロトタイプに試乗してきたので、そのときの印象を含めてお伝えしていきたいと思います。

【画像】これカッコいい! 新型「CX-60」初公開! 内外装を実車を見る(45枚)

 

 ちなみに今回試乗したモデルの外装/内装は偽装されていたため、ここでは言及しません。
 
 なぜなら、デザインは偽装を外して、日の光の下で自分の目で見ないと良し悪しが判断できないからです。
 
 これまで「写真/映像では微妙だったけど、実車はいいよ」というクルマも何度も見てきた筆者としてはなんともいえないところです。

 ひとつだけいえるのは「CX-5」の数少ない残念な部分であるボディの寸詰まり感が、FRレイアウトの採用で適正化されたこと。

 ショートオーバーハング、フロントアクスルとAピラーのバランス、ロングホイールベースなどによって、魂動デザインが新たなフェイズに入っています。

 まずCX-60の話をする前に、ラージ商品群導入の狙いについてお伝えしておきたいと思います。

「マツダのプレミア化」、「調子に乗っている」、「時代に逆行?」などと揶揄する人もいますが、その本質は生き残りのための「効率化」です。

 もう少し具体的にいうと「地域で異なる要求の両立(全長/全幅違いの効率的な派生が可能)」、「電動化技術の展開容易性(エンジン/モーター/トランスミッションを同軸上に搭載可能)」、「商品力(独自のプロポーションと走り)と価格競争力(一括開発により全世代比25%減)の両立」ですが、これらをマツダの規模で前述の課題をバランスよく実現させるには、「縦置きFRレイアウトが最適」という判断です。

 イメージ的には“攻め”の戦略に見えますが、実際のところは“守り”の戦略なのです。

 パワートレイン/プラットフォームは完全な新規開発となりますが、それを活かして「マツダの理想」が具体的に反映されています。

 まずパワートレインですが、今回発表されたのは2.5リッター直列4気筒ガソリン(191ps/261Nm)+大型モーター(175ps/270Nm)の組み合わせでシステム出力327ps/500Nmを誇る「プラグインハイブリッド」。

 3.3リッター直列6気筒ディーゼルターボ(254ps/550Nm)+小型モーター(17ps/153Nm)の「48Vマイルドハイブリッド」の2タイプを設定。

 どちらもトランスミッションはトルクコンバーターレスでクラッチ機構を備えた8速ATの組み合わせです。ちなみに前述のパワートレイン以外にも各仕向け地の要望に合わせてさまざまなユニットが用意されているそうです。

 やはり注目はこのタイミングで新設計された直列6気筒でしょう。「時代錯誤」、「マツダのご乱心」という人もいますが、実はこれも効率化のためです。

 北米市場で成功するためにはマルチシリンダーはマスト。従来の常識ならばV型6気筒ですが、直列とV型では吸気/燃料噴射などの数理モデルが共有できないため、「逆にコストが掛かってしまう」と。そこで直列4気筒の基礎研究が応用できる直列6気筒を選んだといいます。

 従来のディーゼル(2.2リッター直列4気筒)より排気量を上げたのは「理想の燃焼」のためで、DCPCI(空間制御予混合燃焼)の採用などにより、出力/トルクUPによるパフォーマンス向上だけでなく、燃費向上やエミッション低減(高トルク領域まで)にも活用されています。気になる燃費はスモール商品群のディーゼルと同等レベルだそうです。

 プラットフォームは新規開発の「縦置きレイアウト+後輪駆動ベースAWD」を採用。直列6気筒搭載するには必然の流れですが、いちから開発するメリットを活かした最適設計がおこなわれています。

 具体的には慣性質量配分(重量物をセンターに集約/曲がりやすさ)、エネルギーコントロールボディ(剛性の連続性/力の伝達/減衰構造など)、サスペンションの最適設計(作動軸を揃える/バウンス挙動/KPC効果を最大限発揮できるジオメトリー)などが盛り込まれています。

 要するにマツダが目指す「人間中心の走り」をピュアに実現させるために、飛び道具に頼るのではなく基本に忠実な“オーガニック”なボディ/シャシに仕上げたということでしょう。

■肝心な新型「CX-60」の走りはどうだった?

 その走りはどうだったのでしょうか。

 今回試乗したモデルはプロトタイプですが、この手のモデルでよくある量産直前ではなく、開発真っ只中といったフェイズのモデルです。

 つまり、ここから熟成が進むわけで、今回は「調理の途中に“味見”をさせてもらった」というわけです。

 まずは「3.3リッター直列6気筒ディーゼルターボ+48Vマイルドハイブリッド」から。走り始めはスペックほどのトルク感はありませんが2000rpmを超えるとグッと力が湧き出てくるような特性です。

 そこから高回転まで滑らかに回るフィーリングは4気筒の軽快/スポーティとは異なり、重厚でジェントル。サウンドはディーゼルのビートは感じますが濁音が圧倒的に少ないのでノイジーではなく逆に心地よさも感じたほどです。

 減速時のエンジン停止やわずかながらEV走行も可能ですが、肝心のモーターアシストは実感しにくいかもしれません。

 個人的にはノーマルモードはまだしも、せめてスポーツモードでは常用域(1000~2000rpm付近)でもう少しアシストしてあげたほうがドライバビリティは高まると思いました。

 そういう意味でいうと、ディーゼルのMIドライブの各モードの差は比べれば分かりますが、直感的には実感しにくいかもしれません。

 続いて「2.5リッター直列4気筒NA+プライグインハイブリッド」に乗ります。

 ノーマルモードはバッテリー残量があるときは基本EV走行となりますが、ドーピング的な力強さはなくドライバーのペダル操作に合わせて必要なだけ力強さが増していく自然なフィーリングです。

 アクセル開度が増えるとエンジンが始動、モーターとエンジンの連携もスムーズですが、「システム出力(327ps/500Nm)を感じるか?」といわれると、まだ本気は出していない印象です。エンジンはあくまでも黒子でジェントルな特性。粛々と走る感じがしました。

 スポーツモードを選ぶとキャラクターはガラッと変わります。PHEVにもかかわらずエンジンは常時始動状態でメーターも赤基調で専用表示(エネルギーメーター → タコメーター)に変更されるなど、やる気満々です。

 アクセルをグッと踏み込むと思わず「おーっ、速い」と声に出てしまうくらいの加速力で、歴代マツダ車トップとなるシステム出力を実感。

 ただ、瞬時に力が湧き出るような力強さではなく、まるで電動ターボのような伸びのある力強さで、かなり内燃機関寄りのフィーリングです。

 どちらのパワートレインも8速ATとの組み合わせですが、共通しているのは「滑らかなDCT」のようなフィーリングとアクセルを踏んだときのダイレクト感、そしてシフト時の小気味よさです。

 とくにPHEVのスポーツモードでのシフトダウン制御は、下手なスポーツモデルのそれよりも気持ち良いと感じたくらいです。それに対して、ディーゼルのシフトダウン制御は中途半端だったので、そこは差別せず共用してほしいなと思います。

 一方、ゆっくりと走らせているときに僅かにギクシャクしてしまうシーンが何度かありましたが、そこは開発陣も認識しており解決するでしょう。

 つまり、基本的にはクラッチ式のネガはほとんどないといっていいと思います。

 ハンドリングの印象は「新しいのに懐かしい」です。ノーズの素直な入り方、前後バランスの良さ、駆動のかかり方といった縦置きFRレイアウトの旨味に加えて、足の動きやロールの仕方、4つのタイヤの働かせ方といったコーナリング時の一連のクルマの動きがシンプルより無理なく、より自然に、より小さな力で曲がるように感じました。

 穏やかなのに一体感が高い走りは、クロスオーバーの域を超えて、どちらかといえば目線が高いスポーティセダンに近いかなと。

 ちなみにディーゼルとPHEVを比べると、鼻先に若干重さを感じるも軽快かつ素直な動きのディーゼル、ドシッと構えるのも意外とフットワークが軽いPHEVと、素性の違いのよる差はあるも、走りの方向性に大きな違いはないようです。

 ただ、追い込んだ時にリアがジャーマン3(メルセデス・ベンツ、BMW・アウディ)のようにビターっと踏ん張らず、わずかにテールスライドを許容させる特性には驚きでした。

 もちろんスライドも穏やかでコントロールできる範疇ですし、その先はVDC制御でカバーしてくれるので不安は全くありません。

 もちろん、最終的には安定方向ですが、そこに辿り着くまでの過程は「必ずしもアンダーステアが正解ではない」という考えなのでしょう。この自在性の高さはある意味“ロードスター譲り”なのかもしれません。

 乗り心地は比較的フラットな路面が多かったので断定はできないものの、路面のアタリ良さやザラザラ/ビリビリ感の少なさ、さらに「シュッ」と抑え込むのではなく「スッ」と入力を逃がすような吸収のさせ方など、バネ上の姿勢変化がより少なくなっているようで、体全体のブレも少ないように感じました。

 この辺りはハンドリングで感じた印象と同じで、より無理なく、より自然な足の動き、クルマの挙動になっているのでしょう。

■ダイナミクスの部分だけでいうと「マツダ6の後継は必要ないかな?」と思う実力

 ブレーキはどちらも回生協調式を採用していますが、フィーリング/コントロール性はほぼ同等でした。CX-30/マツダ3では踏力コントロールにこだわりすぎ、まるで鉄板を踏んでいるような硬めのタッチが気になっていましたが、CX-60は最新のマツダ車と同じようにパッドを押しているのが分かるような自然なタッチになっていて一安心。

 このようにダイナミクスの部分だけでいうと「マツダ6の後継は必要ないかな?」と思うくらいの実力が備えられています。

 走る/曲がる/止まるに関しては、「SUVだから」といういい訳はないようです。ただ、これが「マツダらしさなのか?」といわれると、少々悩ましいのも事実です。

 そして、「その心は?」。

 新型CX-60の走りのコンセプトのひとつに「ドライバーの操作とクルマの反応のシンクロ(同期)」とありますが、筆者はシンクロしすぎていることが原因じゃないかと思っています。

 筆者の考えるドライバーとクルマの信頼関係とは「操作に対してクルマがわずかに上回っている状況」が理想で、そこの塩梅にこそメーカー/ブランドの“味”が宿っていると考えています。

「普段は出しゃばらないけど、いざというときにそっと背中を押してくれる存在」、それこそが本当の人馬一体じゃないのかなと。

 例えばドライバーの操作が80だったら、クルマは82-83くらいで応えてくれるようなイメージ。この僅かな差こそがクルマへの「安心」や「信頼」に繋がっていると思っています。

※ ※ ※

 新型CX-60の基本素性の良さは、世界のクロスオーバーのなかでもトップクラスだと思っています。

 だからこそ、市販までに“魂”をシッカリ注入してほしいと思っています。実は筆者は大幅改良されたCX-5に乗って「FRレイアウトにする必要ないんじゃないの?」と思うくらいの進化を感じました。

 CX-60がそれを超えるには「基本素性が良ければOK」ではなく、その基本素性をより活かした味付けが重要でしょう。

 澄んだピュアな水を活かしたマツダならではの“おいしい出汁”、期待しています。価格は正式発売までお預けですが、風のウワサによるとCX-5とラップする戦略的な価格設定だといわれており、そちらも期待大です。

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みんなのコメント

10件
  • まずは「3.3リッター直列6気筒ディーゼルターボ+48Vマイルドハイブリッド」から。走り始めはスペックほどのトルク感はありませんが2000rpmを超えるとグッと力が湧き出てくるような特性です。

    むしろ2000以下にトルク感のないディーゼルの魅力ってなんなんでしょう。
  • 8ATのフィーリング地味に楽しみにしています。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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