■デザインも優れた働くクルマを振り返る
バンやトラックといった働くクルマに求められる性能は、いかに大量の荷物を運べ、長い期間使えるかということです。ほかにも燃費が良くて経済性に優れていることや、長時間運転しても疲れにくいなども必須です。
そうした性能を優先するために、見た目のデザインについてはあまり重要ではありません。
しかし、働くクルマのなかには、機能美といえるほど見た目にも優れたモデルがあり、とくに海外で販売されている日本の商用車にはユニークなモデルも存在。
そこで、かなりイケてる働くクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「NP200」
日産のピックアップトラックといえば、かつて日本で販売していた「ダットサントラック」や「サニートラック」が広く知られています。
また、現在も海外では「ナバラ」や「タイタン」といった、中型から大型のピックアップトラックを販売中ですが、南アフリカではサニートラック(現地名は「1400バッキー」)の後継車として、小型の「NP200」をラインナップ。
NP200は2008年に誕生したモノコックシャシのピックアップトラックで、南アフリカで生産されています。
外観はウェッジシェイプのフロントノーズが特徴で、キャビンはシートの後方にスペースを確保したキングキャブを採用したスタイリッシュなフォルムです。
搭載されるエンジンは1.6リッターガソリンが2バルブと4バルブの2種類と、1.5リッターのディーゼルを設定。トランスミッションは全車5速MTのみとなっています。
0.5トンクラスに属しますが最大積載量は800kgで、発売当時はクラス最大の室内空間と荷台の広さを誇りました。
また、生活に密着したピックアップトラックとして仕事用にはもちろんのこと、レジャー用としても人気で、数々のアクセサリーが用意されています。
NP200の価格は日本円で約150万円からと、現地でも比較的リーズナブルなのも人気の秘訣のようです。
●いすゞ「D-MAX ユーティリティ」
日本では乗用車市場から撤退してしまったいすゞですが、海外ではいまもSUVや小型ピックアップトラックの販売を継続しています。
タイで生産しているピックアップトラック「D-MAX」もそのひとつで、このD-MAXは商用車というだけではなく乗用車としての使用を想定されているため、デザイン面においても力が入れられていることが特徴です。
現行モデルのD-MAXは2019年10月に登場した3代目にあたり、生産国のタイだけでなく欧州などでも販売されるグローバルカーで、さらにマツダにもOEM供給しています。
ボディタイプはシングルキャブ、キングキャブ、ダブルキャブの3タイプで、全体のフォルムは比較的オーソドックスなピックアップトラックのシルエットで、フロンフェイスは精悍かつ力強い印象です。
グレード構成は英国仕様の場合大きく分けて「ユーティリティ」「オールパーパス」「アドベンチャー」の3つで、装備や外観の加飾が異なります。
ベーシックモデルのユーティリティは素地のバンパーなど加飾は極力抑えつつ、商用車ながらスタイリッシュです。
エンジンは英国仕様では1.9リッター直列4気筒ディーゼルターボのみで、他の地域では3リッターディーゼルもラインナップ。トランスミッションは6速MTと6速ATが用意され、駆動方式はグレード別で2WDと4WDが設定されています。
英国での価格は日本円で、約320万円から約480万円です。
●トヨタ「ランドクルーザー 70 ワークメイト」
2021年8月2日にトヨタ新型「ランドクルーザー(300系)」が発売され、すでに納期は1年以上かかる見通しとなっているなど、人気ぶりは変わっていません。
これまでランドクルーザーシリーズは3タイプに分けられ、現行モデルでは300系がステーションワゴン、「ランドクルーザープラド」はライトデューティ、「ランドクルーザー(70系)」はヘビーデューティに該当します。
このうちランドクルーザー70系は1984年に誕生し、日本では2004年に販売を終了しましたが、そのタフさから海外ではフルモデルチェンジすることなく、今も過酷な環境で活躍しています。
2014年には期間限定で、ワゴンタイプのバンとダブルキャブピックアップトラックが、日本で再販されて大いに話題となりました。
現在、ランドクルーザー70系の主な輸出先はオーストラリア、中東、アフリカ諸国で、なかでもオーストラリアでは数多くのラインナップを展開するほど、優れた道具として人気があります。
豪州仕様ではエンジンは4.5リッターV型8気筒ターボディーゼルを搭載し、組み合わされるトランスミッションは5速MTのみです。
ボディタイプは4ドアのワゴン、シングルキャブのピックアップトラック、ダブルキャブのピックアップトラック、そして、マイクロバスのように多人数乗車も可能な2ドアワゴンである「トゥループキャリア」をラインナップ。
さらに、もっとも装備が簡素化された「ワークメイト」と、装備が充実した「GX」「GXL」グレードが各ボディに設定されています
外観は日本で再販されたモデルと大きく変わりませんが、エアダクト付きのボンネットや、渡河性能を向上させるシュノーケルを標準装備し、ピックアップトラックでは荷台の形状が日本仕様と異なります。
とくにワークメイトはオーバーフェンダーを装備せず、素地のバンパーで、ランドクルーザー70系本来の姿といえ、機能美あふれるデザインです。
現在のランドクルーザー70系では、エンジンは高度に電子制御化されていますが、駆動系は昔ながらのパートタイム4WDのアナログなままで、とにかく耐久性と信頼性を重視。まさに「どこへでも行き、生きて帰って来られる」というランドクルーザーシリーズの掲げるコンセプトの原点といえるモデルです。
オーストラリアでの価格は日本円で約600万円からです。
※ ※ ※
本文中に登場した日産「1400バッキー」は、1971年に発売された2代目サニートラックそのものです。
日本では1994年に販売を終了していますが、南アフリカでは現地生産されて2008年まで販売され、じつに37年間もの超ロングセラーでした。
エンジンは国内でもお馴染みの1.4リッター直列4気筒OHVの「A14型」を搭載しており、初代サニーからすると42年間も生産されたことになります。
一般的に商用車は20年近くフルモデルチェンジしないことは珍しくありませんが、サニートラックも変わらないことで信頼性が評価されたということでしょう。
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みんなのコメント
見ていない。
みんな浮世離れしたデザインをカッコ良く
乗ってる雰囲気ですよね。