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ブレグジット(EU離脱)で面倒になった中古車の個人輸入 英国のクルマ事情

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ブレグジット(EU離脱)で面倒になった中古車の個人輸入 英国のクルマ事情

欧州から個人輸入する愛好家

1993年7月、AUTOCAR英国編集部は意を決して、初代ルノー・トゥインゴを購入した。この可愛らしい新型車は英国では販売されていなかったため、編集部は本国フランスで左ハンドルのモデルを購入し(価格は約130万円)、輸入しなければならなかった。

【画像】レトロで可愛い1990年代のフランス車【ルノー・トゥインゴ(初代)を写真で見る】 全9枚

数か月間をトゥインゴと暮らしてみて、期待は確信へと変わった。編集部の誰もが、そのスタイリング、パッケージング、洗練性、運転のしやすさを気に入った。ほどなく、英国の道路には、この風変わりなクルマが増え始めた。

それから31年が経ち、偶然にも同じく1993年式でコリアンダーグリーン(Vert Coriandre)に塗装された別の初代トゥインゴが英国にやってきた。走行距離は13万kmだが、コンディションは良好だ。

購入と輸入の理由について、ニック・ベイリーさんは次のように語る。「わたしはずっと初代ルノー・トゥインゴに憧れていました。1993年にフランスに留学していたとき、いつか必ず手に入れると心に誓ったんです」

残念ながら、ここで我らがブレグジットの話をせざるを得ない。英国がEUを離脱する前は、欧州からクルマを輸入するのは比較的簡単だったが、2020年1月31日以降は少し難しくなった。

ほとんどの人はまず、英国政府のウェブサイトでクルマの輸入方法を確認するだろう。重要な要件は、Nova(車両到着通知)と呼ばれるサービスを利用して、クルマを受け取ってから14日以内にHMRC(歳入関税庁)に通知しなければならないことだ。

また、このサービスではクルマにかかるVAT(付加価値税)と関税の額も計算される。

VATに関する規則は一見すると非常にシンプルで、すでに製造終了したモデルで、出荷から30年以上経過し、改造されていない車両の購入価格には5%の税金、それより新しい車両には20%が課される。

しかし、輸送費や輸入関税にもVATが課される。

ウェブサイトには、輸入業者はHMRCに電話して納税額を問い合わせることができると記載されているが、2022年10月にそのサービスが中止され、現在ではクルマを輸入したい人は輸入代行業者に連絡を取らなければならない。

代行業者に頼めば、通常120ポンド(約24万円)ほどでNovaの必須項目を記入し、HMRCが納税額を計算するために必要とする証明書類(オリジナルの登録証明書、車両購入および運送請求書)を提出してくれる。

支払いが確認されると、HMRCはC384という “リリース申請書” を発行し、輸入者は次のステップであるクルマの登録手続きに進むことができる。

車齢10年未満のクルマには、欧州適合証明書と、ヘッドライトやリアフォグランプなどが合法であることを証明するIVA(個別車両認証)のGB変換証明書が必要となる。

10年以上前のクルマは、MOT(車検)テストでライトが検査される。また、MPH表示のスピードメーターは法的要件ではない。

40年以上前のクルマではMOT証明書は必要ないが、輸入業者は安全性を証明し、登録プロセスを迅速化するために証明書を用意することを推奨している。

DVLA(運転免許庁)がMOTのない古いクルマに懸念を抱いた場合は、検査を行う。

国内で買うよりも安く手に入る

ニックさんの話に戻る。初代トゥインゴはフランスで人気が高まっており、ニックさんはオークションサイトのleboncoin.frで、1993年式の個体が3500ポンドで売られているのを見つけた。

取引が成立したので、次にやるべきことは保険の手続きだった。外国で登録されたクルマの保険加入は、英国人にとって通常簡単なことではないが、フランス語が堪能なニックさんは、フランス国内から英国の自宅まで運転できるように、30日間の保険契約を交渉で取り付けた。

一方、ニックさんが利用した輸入代行業者が、クルマの輸入と登録申請の手続きを代行した。

5%のVAT、初回登録料55ポンド(約1万円)、300ポンド(約6万円)の自動車税、代行手数料などを含め、ニックさんは合計1400ポンド(約28万円)を支払った。

英国国内で買うよりも安く、珍しいクルマを海外で入手できるという魅力に惹かれた愛好家は他にもいる。ジェフ・ラグルズさんもその1人だ。

彼は最近、1977年式のフォード・フィエスタ1.1 Sを2100ポンド(約42万円)で購入した。これもleboncoin.frで広告が出ていたものだ。保険の問題を避けるため、フランス在住の友人にクルマを購入して保険をかけてもらい、その人から購入するという流れをとった。

フランスでは保険は所有者ではなくクルマに対してかけられるので、ジェフさんはフィエスタを港まで運転し、英国に輸入した後は自宅までトレーラーで牽引して運んだ。

「英国の相場は5000ポンド(約100万円)くらいなので、満足していますよ。(イタリア製の)イノチェンティ・ミニをすでに持っているため、フィエスタが左ハンドルでも問題ないんです」とジェフさんは言う。

DVLAはAUTOCARの問い合わせに対し、欧州から英国に輸入された中古車の台数について明らかにしなかったが、輸入代行業者のマイカー・インポート社は、週に最大8台を輸入していると述べた。

同社のウィル・スミス取締役は、「古いクルマにかけられるVATはわずか5%で、コンディションの良い希少車を求める愛好家にとっては、それほど大きな障害ではありません。当社の輸送車は毎週出動し、クルマを集めています」と説明する。

英国で登録された自分のトゥインゴと再会したニック・ベイリーさんは、この小さなクルマをもっとよく知りたいと思っている。

ただし、レストアはしないつもりだという。「少し手入れをするだけです。それ以外は、そのままにしておきます」

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みんなのコメント

1件
  • カーズの一味
    トゥインゴは壊れやすいからダメ!
    特にクイック5と呼ばれる自動変速ミッション
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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