レクサスの主戦場である米・中での状況は?
中国市場におけるレクサスの2023年シーズンの販売台数の詳細をみると、ここ数年、落ち込みを見せているといいます。中国市場ではいま何が起こっているのでしょうか? レクサスの異変についてを解説します。
レクサスが次世代バッテリーEVコンセプト「LF-ZC」から着想を得たインスタレーションをマイアミ現代美術館にて展示
まず、今回取り上げていきたいトヨタの高級ブランドであるレクサスについて、2022年シーズンにおけるグローバル販売台数62.5万台のうち、もっとも販売台数を捌いていたのが北米市場です。その販売台数も28万台以上と、レクサスの中核マーケットであることが見て取れます。
他方で、その北米市場の次に大きかったのが中国市場の存在です。2022年シーズンにおいては17.6万台と、欧州や日本などと比較しても圧倒的な販売規模を実現していることから、レクサスとしては、この北米と中国こそが最重要なマーケットであり、この両マーケットでいかに販売規模を伸ばしていくのかが重要なわけです。
そして、そのレクサスのグローバル全体の販売台数の変遷を、とくに競合となるドイツ御三家やテスラとを比較してみると、2022年シーズンというのは、レクサスにとってもっとも厳しい1年であったことが見て取れます。
ドイツBBAと比較しても、2021年シーズンと比較した販売台数の落ち込み幅は最大、生産という観点でも大苦戦してしまった1年だったわけです。そしてレクサスについては、ドイツ御三家であったり、さらにテスラと比較しても販売台数で大きな差が開いてしまっている状況です。
そこでレクサスについては、2023年にも本格オフロードSUVであるGX、3列目シート搭載の北米専用モデルであるTX、さらにはエントリーモデルのLBX、そのうえバッテリーEVであるRZなど、新型モデルを次々と投入することで、2030年グローバル販売台数100万台の達成を実行しようとしています。
それでは、この販売攻勢をしかけてきているレクサスが、とくにEVシフトが強烈に進む主力マーケットの中国市場において、どのような販売状況であるのかを確認していきたいと思います。
まず初めに、2023年12月度における中国レクサスの販売台数は、ズバリ2万2500台越えと、2023年シーズン最高の販売台数を更新しました。前年同月と比較しても販売台数を大きく伸ばすことに成功しています。
このとおり、ピンクで示された2023年シーズンに関しては、前半は販売で大苦戦していたものの、後半に突入すると、紫で示された2022年シーズンの販売台数を超えていることが見て取れます。
他方で、そのシーズン別の月間販売台数の累計を積み上げたグラフを比較してみると、ピンクで示された2023年シーズンに関しては、2022年シーズンの販売台数をわずかに下まわってしまっていることが見て取れます。
よって、2020年シーズン以降、3年連続で中国国内の販売台数が低下してしまったわけです。
ちなみにこの販売データについては、中国の大手自動車メディアの集計している販売データであり、レクサスが公式に発表している販売台数の数値とはわずかに乖離があります。よって、レクサスがまもなく発表する、中国国内の正式な販売台数とを比較すると、もしかしたら2023年シーズンの販売台数は、2022年シーズンを上まわっている可能性も存在するという点は注意するべき点ではあります。
いずれにしても、強烈な追い上げを見せているように見えた2023年シーズンというのは、2020年や2021年シーズンと比較しても、明らかに販売規模で低迷していることが見て取れるわけです。
それでは、この中国市場でどのような車種が人気であるのかについてを確認していきたいと思います。
まず、中国レクサスで圧倒的な販売シェアを有しているのが、ミッドサイズセダンであるESの存在です。その販売台数も1.4万台以上と、レクサス全体の65%程度の販売台数を占めているという超売れ筋モデルです。
その次に、ミッドサイズSUVであるRX、およびNXが続いているものの、基本的にはESで販売台数の大半を稼いでいる様子が見て取れます。裏を返せば、現在の中国レクサスというのは、このESの一本足打法であると捉えることも可能です。
そして、この中国レクサスの販売シェアを支えているESに関して懸念するべき動向が主に2点ほど存在します。
まず1点目というのが、そのESの値引きセールによるジリ貧な販売戦略という観点です。
現在ESについては、おおよそ30万元弱、日本円で600万円程度から発売されているものの、実際の値段設定については、販売ディーラーにおいて一律で大幅値引き対応中であり、2023年末の段階で24万6900元、日本円で510万円という、100万円近い大幅値引きを実施して、なんとか需要を喚起している状況です。
そのうえ、上級グレードに至っては、その値引き幅はさらに拡大し、最大8万元、日本円で165万円というとてつもない値引き幅にまで拡大している状況です。
そして、ふたつ目の懸念にも絡むポイントとして、このES実質の値段設定に関しては、テスラモデル3とまったく同等となっているという点です。
このグラフは、そのESを筆頭として、プレミアムセダンにおける競合車種の販売台数の変遷を示したものになります。
このとおり、現状ドイツ御三家の3シリーズやCクラス、A4という内燃機関車の販売台数は、概ね1.5万台から2万台の間を推移していることから、ESはドイツ御三家に対して、うまくやっているという見方が可能です。
強力ライバルの登場で激戦必至
ところが問題は、このプレミアムセダンセグメントに極めて強力なEVセダンが続々と投入されているという点です。
とくに注目するべきは、ファーウェイのLuxeed S7、そのS7の兄弟車であるExeed Sterra ES、ジーリーの高級EVブランドZeekrのZeekr 007、そのZeekr 007の兄弟車であるGalaxy E8などの存在です。
とくにLuxeed S7については、ファーウェイが開発していることから、EV性能だけでなく、とくにHarmony OSを採用したことによる、ファーウェイのスマホユーザーの囲い込みという観点で強みを持ちます。
また、中国国内でもっとも評価が高い、ファーウェイ独自開発の自動運転システムによって、これまでドイツ御三家やレクサスのプレミアムセダンを購入していた、ブランドに重きを置いている購入層が、同じく中国国内においては絶大的なブランド価値を有するファーウェイ製のLuxeed S7へと流れる可能性があるわけです。
実際問題として、ファーウェイのミッドサイズSUVであるAITO M7が、発売開始数カ月で13万台以上の確定注文が入っていることを踏まえれば、まったく不思議な流れではないと思います。
また、Zeekr 007についても、とくに既存の内燃機関車オーナーを満足させることが可能な、最大870kmというゆとりの航続距離、15分間の充電時間で最大610km分の航続距離を回復可能という世界最速クラスの充電性能、ドイツBBAやレクサスESを上まわる内外装の質感の高さも相まって、2024年EVのベンチマークとして、内燃機関車のドイツ/レクサス勢とどこまで張り合うことができるのかに注目が集まっている状況です。
いずれにしても、この2023年シーズンについては、大幅値引きによってなんとか販売台数をキープすることができていたESであったものの、さらに競争力の高いEVセダンが複数市場に投入されることによって、値引き措置だけでは販売規模を維持できなくなる可能性が出てきているわけです。
また、レクサスの新型モデルとして中国国内でも正式納車がスタートしている、オフロードSUVのGXに関しても、超強力な競合車種が複数投入されてしまっている状況です。
とくに、中国BYDのFangChengBaoのBao5、およびハイエンドブランドYangwangのU8という2車種のオフロードSUVの存在です。
確かにBao5については、日本円で600万円程度からのスタートと、1500万円程度のGXとは直接の競合にならないと思われているものの、そのスペックについては完全な競合関係にあり、しかもBao5の販売台数は、発売開始2カ月目の12月単体で5000台オーバーと、まさかのスマッシュヒット状態です。
さらに、日本円で2000万円以上というU8についても、発売数カ月しか経過していない12月単体で1600台弱と、超高級車ということを踏まえれば、驚きの販売台数に達している状況です。
いずれにしても、この中国BYDの高級オフロードSUVの存在によって、GXの販売台数にどのような影響を与えるのか、その販売動向には注目する必要があると思います。
そして、中国レクサスのEVシフトという観点についても非常に課題が多く、すでにラインアップしているUX300e、およびRZの販売台数については低迷している状況です。
とくにRZについては、2月から登録がスタートしているものの、2023年通しで5200台程度しか販売することができていない状況です。直近の12月についてはたったの375台と、中国レクサスの販売台数にはまったく貢献することができていない状況でもあります。
いずれにしても、中国レクサスに関しては、グローバル全体で販売台数が回復しているにもかかわらず、3年連続で販売台数が落ち込んでしまっていることが見て取れます。そのうえ2024年シーズンについては、
・ES一本足打法に対して、そのESの競合となるEVセダンが矢継ぎ早に発売されていることで、値引きだけでは販売台数を維持することが難しくなるのではないかという点 ・新型モデルとして中国にも投入されたGXに対して、その競合が中国BYDからも投入されたことで、発売開始直後から苦しい戦いを強いられるのではないかという点 ・2030年までにバッテリーEV販売100%というEVシフト目標の達成についても、現状新型EVのRZについてはまったく販売台数を伸ばすことができていないという点
これらの観点から、短期的、および中長期的な観点からも、この中国国内でレクサスがさらに苦しい立ち位置に追いやられるのではないかと予測できます。2024年シーズンの中国レクサスの販売動向については定期的に情報をアップデートしていきたいと思います。
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さっさと撤退すればいいのに。