■東京オートサロンでも注目を集めた『ジムニーシエラ・ピップアップスタイル』
今年も華やかな雰囲気の中での開幕となった「東京オートサロン」。会場はドレスアップカーの百花繚乱となりましたが、来場者の視線を最も集めていたコンセプトカーがスズキブースに展示されました。それは『ジムニーシエラ・ピップアップスタイル』です。
農業もお洒落に! スズキ「ジムニー」のトラック「ジムトラ」誕生の理由
2018年から引き続き、2019年もスズキ「ジムニー」の快進撃は続きそうです。スズキは、2018年末からジムニーシリーズの製造ラインを強化し、従来の 1.5倍の生産能力を可能にしました。
納車時期は、地域やグレード、ボディカラーによって異なるようですが、販売店に話を聞いたところでは、「ジムニー」で2ヶ月から3か月、「ジムニーシエラ」で約半年となっています。
この人気ぶりは誰も予想できなかったと思います。とくに、スズキさえも予想できなかったのが、シエラの大躍進。先代のJB43型では、月販100台未満だったシエラは、2018年10月から2019年12月は月販500台と絶好調です。
発売当初のシエラの年間販売目標台数は、1200台だったわけですから、たった3か月でそれを上回ってしまったことになります。
さらに海外でもシエラ(海外名ジムニー)は高評価。2019年1月からデリバリーが開始されれば、限れた生産台数を巡って、各国で熾烈な獲得競争が勃発することも考えられます。
そんな状況下において、「東京オートサロン2019」では、2台の「ジムニーコンセプトカー」が発表されました。
1台は、軽自動車版をベースにした「ジムニー・サバイブ」というモデルで、かつて販売されていたランドローバー・ディフェンダーのドレスアップカーを彷彿させる外観と装備が特徴となっています。これに関しては、あくまでもメーカーの遊び心であり、同様のモディファイをアフターパーツメーカーがやることは間違いないです。
そして、もう1台が冒頭でも触れた『ジムニーシエラ・ピップアップスタイル』。その名の通り、シエラをピックアップトラック化したコンセプトカーです。
実は会場には、アフターパーツメーカーが造ったジムニーのピックアップトラックがもう1台存在しました。ジムニーのモディファイを考えた場合、ピックアップ化というのは、別段斬新というわけではありません。
意外と知られていませんが、2代目にあったジムニー1000(SJ40型)にはピックアップトラックが存在し、日本でもわずかな台数ながら販売されていた過去があるからです。
その存在を知っているチューナーは多く、先代のJB23型をベースに造られているピックアップトラックが現在販売されています。
■ジムニー5ドア化の実現も近い?
そんなピックアップトラックになぜ注目したかというと、それはスズキが造ったからです。コンセプトカーは、いわゆるショーの客寄せとして造られることもあるのですが、大抵の場合は未来に発売されるクルマのスタディモデルという意味合いがあります。
しかし、このジムニーシエラ・ピップアップスタイルは、全長をシエラよりも30cm延長しています。通常、ピックアップトラックは耐荷重を考えるため、フレームを延長していますが、このモデルはシエラのラダーフレームを流用しているため、荷台は“宙ぶらりん”の状態。実用性はなく見た目だけということです。
見た目だけのショーモデルですが、深読みすれば、シエラはさらにボディバリエーションを増やしていくという、メーカーのメッセージだとも受け取れます。このことを、会場にいたスズキのスタッフに投げかけてみました。
「ジムニーは、遊びのクルマですから、さまざまな可能性を示したいという点で、このようなコンセプトカーを造らせていただきました。かつてのジムニーにはピックアップトラックが存在していましたし、オープンモデルもありました。今後、皆様からご要望がどんどん高まれば、弊社としては前向きに開発を検討していくと思います」
ジムニーファンとしては、非常に希望が持てる前向きな回答です。さまざまなボディバリエーションを考えているという話は、新型が登場したときからあります。
もっとも都市伝説化していたのが、5ドアロングボディのシエラ。ロングボディ(3ドア)に関しては、2代目において東南アジア向けモデルとして存在していました。
しかし、その頃の日本にはエスクードが存在していたため、日本には導入されていません。それだけに、5ドアのロングボディはファンにとって待望のモデルなのです。5ドアになれば、積載能力も大幅にアップし、さらに使えるシチュエーションが増えます。
5ドアロングモデルについて、前出のスズキスタッフは、「5ドアですか? いろいろ、巷では話題にしていただいているようですが。ぜひ、楽しみにしていてください」との回答です。この答えから察するに、近い将来に発売される可能性が濃厚かもしれません。
衰え知らずに販売を伸ばしているジムニーだからこそ、スズキもこの追い風を使って、ジムニーワールドを一気に盤石なものにしたいと考えているはず。オープンやロングボディの発売は、単なる噂ではなく、間違いなく現実に近づいているようです。 【了】
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