2024年1月にデビューした「トライトン」は、三菱が12年ぶりに国内市場に投入したピックアップトラック。ちなみに、ピックアップトラックとトラックの違いは、ボンネットが車体前方にあるか否か。ボンネットのある乗用車タイプのボディ形状で、車体後部に荷台のある形状のクルマをピックアップトラックという。
ワイルドなデザイン、機能美、走りの安定感、三菱の軽スーパーハイトワゴン「デリカ ミニ」人気の理由
日本やヨーロッパではあまり普及していないが、東南アジアや北米では個人ユースの乗用車として人気がある。北米では税制も優遇されており、ベストセラーカーのトップはセダンやSUVではなく、ピックアップだ。日本でもピックアップマニアがいて、トヨタは「ハイラックス」を販売していたが、販売台数が少ないこともあり、国内での販売は中止している。
「トライトン」だが、現行モデルは2023年7月に東南アジア市場に投入された新型車。生産はタイ工場だ。ワイルド感のあるボディはオーバーフェンダーを装着した上級モデルで、全長5360mm、全幅1930mm、全高1875mm、ホイールベース3130mmというサイズ。全幅、全高はトヨタの「ランドクルーザー300」よりもわずかに小さい程度だが、全長は30cm以上長くなっている。
パワーユニットは直4、2.4Lのディーゼルターボ。204PS、470Nmの性能に6速ATを組み合わせて、2.1トンもの車体を引っ張る。最初に「トライトン」を試乗したのは、富士山麓のオフロードランド。自然の山にコースを切り開いた会場だった。もちろんオフロードでの性能を試すためだ。
運転席に乗り込んで、駆動モードを選択する。コンソールダイヤルは2WD/4WD/4HLC/4LLCの4ポジション。さすがに2WDでは辛いと思い、4WDを選択。クルマを数メートル走らせると4WDモードに切り替わった。このモードにすれば、泥濘地やモーグルのように片輪が浮いても、駆動力がどこかの車輪に伝わり、慎重にアクセルとハンドルを操作すれば、乗り切れることがわかった。
「ランサーエボリューション」や「パジェロ」で培ったオールホイールコントロール(AWC)から進化したスーパーセレクト4WD-IIが素晴らしい働きをしてくれる。ニュートラル(N)でも作動するヒルディセントコントロールも頼もしかった。日を改めて、オンロードに試乗した。2.4Lエンジンはアイドリング時は、少しだけ振動が伝わる。Dレンジでスタート。2WDを選択した。
車体に対して、やや低めのポジションだがボンネットは見えるので、大きなボディもあまり苦にならない。ハンドルはやや重めだが、切り込むと軽くなる。直進性は強め。コーナーでは、しっかり切り込まないと、反復力が強い。乗り心地は硬い。ゴツゴツ感が強め。車速を高めていくと細かい上下動も加わってくる。高速では路面のうねりに対して、大きく上下する動きも見られた。
そこで4WDモードに切り替える。一度停止し、ダイヤルを動かす。目の前のインジケーターが点滅し、数m走ると4WDに切り替わった。4WD走行になるとハンドルが重くなる。直進から切りこむ時も重め。2WDの時の直進の強さはない。コーナーでも、切りこむときはハンドルが重い。コーナーを速く抜ける時は、ボディの揺り戻しもある。
ブレーキ制御式アクティブコントロール(AYC)やアクティブLSDでの制御は、ワインディングをラリースピードで走った時に恩恵を感じる。6速ATはマニュアルモードでレッドゾーン入口の4000回転まで引っぱると、1速40、2速70、3速で100km/hに達する。これを駆使すれば「トライトン」はラリーエイドの競技車的な走りを体感させてくれる。一方、高速道路の100km/h巡航は5速1900、6速1600回転なので、エンジン音や振動は抑えられており、平和なドライブも可能だ。
4WD走行で、2WDと異なっていたのは、乗り心地。低速から乗り心地が良くなるのだ。細かいゴツゴツや上下動が少なくなり、高速でも硬めの乗り心地。動きが締まっている。タイヤはヨコハマ「ジオランダーG94」で265/60R18を装着していた。後席はやや高めの着座位置で、乗降時は足元はステップ、手元はグリップが備わっているので、安心感がある。室内は床面にはトンネルがややあり、コンソールが張り出しているので、左右2名乗車が快適だ。頭上のスペースは身長170cm以上でも余裕がある。背もたれは4:6で前倒するが、後ろは工具置き場で、荷物は入らない。
車体後部の荷台は、奥行き1420mm、左右幅約1520mm、最大積載量は500kg。床面までは840mmと高いので重量物の積み下ろしは大変だが、2024年の秋以降に発売予定の「キャノピー」を、この荷台に搭載すれば、ワゴン的にも使える(68万6400円予価)。リヤウインドウやサイドウインドウも付いており、キャンピングカーとしても使えそうだ。
ワイルドな走りは、これまでのキャンピングカーでは行けなかった秘境でのアウトドアライフを楽しめるに違いない。車両本体価格は上級グレードで、販売台数の90%近くを占めている「GSR」で540万1000円。
■関連情報
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/triton/
文/石川真禧照 撮影/萩原文博
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みんなのコメント
…が1ナンバーだと高速料金が高かったり、車検が1年毎だったり
「ラリーエイド」じやなくて「ラリーレイド」ね