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色々許せちゃう多能ぶり! スズキ・イグニスへ英国試乗 オフロードタイヤなら悪路も得意

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色々許せちゃう多能ぶり! スズキ・イグニスへ英国試乗 オフロードタイヤなら悪路も得意

英国唯一のウルトラ・コンパクトSUV

小さな都会派SUV、スズキ・イグニス。全長3700mm、全幅1690mmと小さなボディに、オプションで四輪駆動も設定され、最低地上高はしっかり確保。どろんこ遊びが大好きな、ブルドッグのような見た目の可愛いクルマだ。

【画像】色々許せちゃう多能ぶり! スズキ・イグニス サイズが近いコンパクトと写真で比較 全117枚

英国では、市場唯一のウルトラ・コンパクトSUVだと、スズキは主張する。2020年に小改良が施され、新しいフロントグリルとアウトドア感の強いボディカラーが追加された。そして2023年にも、僅かに手が加えられている。

見た目と裏腹に、車内空間は広い。季節を問わず移動が不可欠な人にも、都会での運転を安楽にこなしたい人にも、実用的で高効率な小型車をお探しの人にも、実はイグニスはぴったり。魅力は少なくない。

プラットフォームは、ハッチバックのスイフトと同じハーテクトと呼ばれるもの。コンパクトさが手伝い、車重は四輪駆動でも1tを余裕で切る。

ベーシックな英国仕様に載るパワートレインは、1.2L 4気筒ガソリンと5速MTの前輪駆動。必要ならCVTへ変更できる。

このエンジンは、2020年にデュアルジェットのK12D型へアップデート。電圧12Vのマイルド・ハイブリッドで、駆動用バッテリーの容量も僅かに増え、燃費効率を高めた。

コイルスプリングが支えるサスペンションは、前がマクファーソンストラット式で、前輪駆動では後ろがトーションビーム式。スズキがオールグリップと呼ぶ四輪駆動では、リアがリジッドアクスルになる。

安っぽい内装を忘れさせるパッケージング

以前のフェイスリフトでは、新しい防音材を追加。テールゲートとルーフ、フロア、サスペンションマウント部分に補強材を与え、剛性が高められた。乗り心地や走行時の質感を、改善するために。

見た目と裏腹に、イグニスには大人4名が快適に座れる空間がある。運転席の調整域は広く、直立気味だが、良好な運転姿勢を探せる。後席側も上下方向に充分な高さがあり、天井の圧迫感は小さい。

荷室は前輪駆動で260L。四輪駆動では204Lへ小さくなる。リアシートはスライド可能で、50:50の分割で折りたためる。

確かに、インテリアの素材は安っぽい。だが優れたパッケージングと開放感で、それを忘れさせる。ツートーンのダッシュボードは、見た目も悪くないだろう。センターコンソールのパネルは押すと変形するが、全般的に耐久性は高いようだ。

エアコンの操作パネルは、実際に押せるハードボタン。ヒルディセント・コントロールと四輪駆動システム、運転支援システムにも、それぞれボタンやダイヤルが設けられ、扱いやすさは間違いない。

インフォテインメント用のタッチモニターは備わるものの、反応はいまひとつ。そのかわり、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには対応している。ステアリングホイールには、オーディオ用のボタンがあり便利だ。

動力性能は平均程度 素晴らしい燃費

動力性能は、都市部を前提にするシティカーの平均。特に速いわけではなく、0-100km/h加速に12.8秒を要するが、これで構わないだろう。高速道路の合流で、走行車線の速度へ合わせるのに苦労するほどではない。高速走行は、イグニスの得意分野でもないが。

1.2L自然吸気エンジンは、軽くは吹け上がらない印象だが、低回転域で5.1kg-mをアシストするマイルド・ハイブリッドの効果は明らか。発進停止の多い区間で、エンジンを過度に気張らせる必要はない。

5速MTのシフトレバーは軽く倒せ、ストロークが短く扱いやすい。ブレーキも漸進的に効き、停まる直前の制動力を調整しやすい。

2017年の登場当時は、やや洗練度の低さが目立った乗り心地ながら、2020年のフェイスリフトで改善。とはいえ滑らかなアスファルトでも、ピタリと落ち着いているわけではない。特にリジッドアクスルの四輪駆動では。

舗装のツギハギの多い区間では、初期型より快適といえるものの、低速域で揺れが目立つ。速度域が上昇すると、お手頃なこのクラスなりに、車内のノイズも小さくはない。

カーブが連続する区間では、ゆったり身をこなし、スポーティな印象は得にくい。少なくともグリップ力は高く、姿勢制御も一定の敏捷性を叶えられる程度に締まりはある。オフロードもこなすコンパクトSUVとして、充分に納得できる範囲だろう。

燃費は素晴らしく、荒っぽく運転しても18.0km/L前後は難しくない。前輪駆動を丁寧に扱えば、23.0km/Lも夢ではない。

実は驚く悪路性能 便利で好感を抱ける小型車

四輪駆動のイグニスなら、オフロードタイヤへ交換するのも一興。ゴツゴツした岩場を難なく進み、急勾配をスルスルと登り降りする能力へ驚けるはず。ギア比が低い1速に入れたまま、83psの最高出力をしっかり使い切れる。

フロントタイヤが滑ると、ビスカスカップリングを介して、リアタイヤへトルクが割り振られる。最低地上高は180mmあり、ホイールベースも前後のオーバーハングも短い。電子制御のヒルディセント・コントロールまで備わる。

英国価格は、エントリーグレードで約1万8000ポンド(約360万円)から。装備は充実し、衝突被害軽減ブレーキや車線維持支援、エアコン、LEDヘッドライト、プライバシーガラス、16インチ・アルミホイールなどが標準で付いてくる。

残念なことに、英国ではスズキ・ジムニーを乗用車仕様で購入できない。その代替になるわけではないものの、いざという時に威力を発揮する四輪駆動の小さなSUVとして、英国では唯一といえる選択肢にある。

フィアットは、パンダ 4x4の生産を終了した。予算に余裕があるなら、ダチア・ダスターという魅力的な選択肢もあるが、こちらは600mm以上長い。

他にはない個性と優れた実用性、価格価値の高さはイグニスの明らかな強み。多様な路面へ対応でき、便利で好感を抱ける、稀代のコンパクトカーだと思う。

◯:素晴らしい車内パッケージングが生む空間と実用性 見た目と同じくらい運転も楽しい 四輪駆動システムで驚くほど悪路に強い
△:インテリアの品質は、欧州製モデルへ明確に劣る 低速域でやや粗い乗り心地

スズキ・イグニス 1.2デュアルジェット・ハイブリッド SZ5 オールグリップ(英国仕様)のスペック

英国価格:1万9695ポンド(約394万円)
全長:3700mm
全幅:1690mm
全高:1720mm
最高速度:165km/h
0-100km/h加速:12.8秒
燃費:18.5km/L
CO2排出量:121g/km
車両重量:940kg
パワートレイン:直列4気筒1197cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:83ps/6000rpm
最大トルク:10.9kg-m/2800rpm
ギアボックス:5速マニュアル(四輪駆動)

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みんなのコメント

7件
  • kmq********
    イグニス、エスクードとクロスビーは傑作である
    絶版では、SX-4やSX-4クロス
  • ******
    5ナンバーで人気のロッキー/ライズよりさら小さな車体は、デカSUVばかりの中で希少価値が高い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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