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MX-30ロータリーEVで再び注目…マツダとロータリーエンジンの歴史

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MX-30ロータリーEVで再び注目…マツダとロータリーエンジンの歴史

車の歴史 [2023.09.16 UP]


MX-30ロータリーEVで再び注目…マツダとロータリーエンジンの歴史

マツダ「MX-30ロータリーEV」発表 ロータリーエンジンがPHEVで復活!【動画あり】

マツダ MX-30ロータリーEV エディションR
 9月14日、国内向けに予約受注がスタートしたマツダ・MX-30ロータリーEV。2012年6月にRX-8の生産が終了されて以来、市販モデルへの搭載が無かったロータリーエンジンをPHEVの発電用エンジンとして採用したことが大きな話題を呼んでいます。

 今回の発表においても「マツダの“飽くなき挑戦”を象徴する存在である」と、その重要性が強調されているロータリーエンジンですが、その誕生はおよそ60年前の1960年代に遡ります。

 この記事では、マツダのキーストーンであるロータリーエンジンについてご紹介します。


そもそもロータリーエンジンとは何なのか?普通のエンジンとの違いとは

ファミリアロータリークーペ 10A型エンジン
 日本国内ではマツダが唯一量産車に搭載してきたロータリーエンジン。この10年は国産の市販車に搭載されてこなかったので、いまいちピンと来ない方もいることでしょう。

 通常のエンジンは、上下に動くピストンの往復運動によって力を生み出すレシプロエンジンと呼ばれるもの。これに対しロータリーエンジンは、おむすび型のローターを回転させ、そのエネルギーで出力を得るエンジンです。


ロータリーエンジンの心臓ともいえるローター。これを回転させて回転エネルギーを作り出す
 ロータリーエンジンの長所は、レシプロエンジンに比べて部品数が少なく、コンパクトかつ軽量である点。また、回転運動が低振動なため騒音が低く、効率よくパワーを生み出せることもメリットです。反面、レシプロエンジンに比べて燃費が悪い、エンジンオイルの消費量が多いといったデメリットもあります。

 滑らかな加速性能やエンジン音などレシプロエンジンとは異なる特徴があり、その魅力に惹かれるドライバーも少なくありません。

【あわせて読みたい】
>>紙で作ったロータリーエンジンが動く! 構造丸わかりのペーパークラフト


マツダの社運を賭けたロータリーエンジンの実用化

1964年開発のコスモスポーツ(試作車)
 自動車市場の競争が激化していった1960年代、マツダ(当時・東洋工業)は商品・技術競争力を飛躍的に高め、グローバルな発展を遂げるための一手を求めていました。そこで当時の松田恒次社長が目を付けたのが、西ドイツのNSU社で試験開発された「バンケル・ロータリーエンジン」でした。

 バンケル・ロータリーエンジンは現在のようにおむすび型のローターを採用した方式でしたが、ローターの回転時にこれを覆うローターハウジングの内壁を異常摩耗しエンジンが停止してしまうトラブルが発生するなど、実用化までに乗り越えなければならない課題が山積みであることが明らかに。

 これに対してマツダは47人の若い技術者を集め、赤穂浪士になぞらえて「ロータリー四十七士」として開発に着手。そして1967年、試行錯誤を重ねた末に世界初の量産型ロータリーエンジン搭載車「コスモスポーツ」を発売させたのでした。


幾多の困難を乗り越え、1967年に世界初の量産型ロータリーエンジン搭載車「コスモスポーツ」を発売した

規制との戦いを技術で乗り越えた「ロータリースピリット」

1968年式 ファミリア(2代目)ロータリークーペ
 ロータリーエンジンの量産化を達成したマツダは1968年にファミリア ロータリークーペ、1978年にはロータリーエンジン専用の量産スポーツカーであるRX-7を発表し、海外で「ロータリーエンジンのマツダ」という地位を確立していきます。

 ただし、その成功の陰には1970年の大気清浄法(通称:マスキー法)、1974年の第一次オイルショックという大きな壁を乗り越えていった技術者たちの挑戦がありました。これらの功績をたたえ、マツダでは現在も彼らの不屈の精神を“ロータリースピリット”と呼び、技術開発の礎としています。


1978年式 サバンナRX-7
 このRX-7を携え、マツダはル・マン24時間耐久レースや世界ラリー選手権をはじめ、様々なモータースポーツに挑戦。1979年に初参戦したデイトナ24時間レースでは鮮烈なクラス優勝を獲得しました。

 さらにル・マン24時間耐久レースにおいては、1982年にRX-7で初完走。1991年には、700馬力を誇る4ローターロータリーエンジンを搭載したMazda787Bで、ついに日本車初となる総合優勝を獲得しマツダの名を世界に轟かせました。


1991年のル・マン24時間耐久レースで総合優勝を獲得したMazda787B

これからのロータリーエンジン

2012年、RX-8の生産終了でロータリーエンジン搭載車は市場から一旦退くこととなった(写真はRX-8 スピリットR)
 90年代以降も様々な障壁を乗り越えながら販売が続けられてきたロータリーエンジン搭載車でしたが、2012年のRX-8生産終了をもって市場から退くこととなりました。

 しかし当時の山内孝 代表取締役会長 社長兼CEOが「マツダは今後もロータリーエンジンの研究・開発を継続していきます」とコメント。その言葉通り、2000年代に開発された水素自動車やコンセプトモデルの動力源として私達の前に登場しています。


RX-8ハイドロジェンRE

Mazda RX-VISION
 そして今年1月のブリュッセルモーターショーで「MAZDA MX-30 e-SKYACTIV R-EV」を初公開。6月には欧州向けの同モデルが宇品第1工場で量産スタート、そして先日満を持して日本仕様車が予約受注スタートとなりました。

 ロータリーエンジンのコンパクトかつ軽量なサイズはレンジエクステンダーとしての相性が良く、これからのマツダの新たなスタンダードとなり得る可能性を秘めています。今後の動向に注目です。

【参考資料】
マツダ ロータリーエンジン開発物語
https://www.mazda.co.jp/cars/mx-30/special-contents/rotary_engine/#tab_anch

【あわせて読みたい】

https://www.goo-net.com/magazine/newmodel/by-vehicle-type-information/202770/https://www.goo-net.com/magazine/newmodel/by-vehicle-type-information/202779/

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みんなのコメント

11件
  • でも発電機だからなあ
  • どんなに提灯記事出したって、こんな不景気な上にガソリンが高騰している時に「ハイブリッドだから値段が高いのに燃費がたいして良くないし、車としての使い勝手が悪い」ものが売れるわけないわな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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