現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > フォルクワーゲン ゴルフに待望のディーゼルを追加。シャランと共にVW製TDIを味わう

ここから本文です

フォルクワーゲン ゴルフに待望のディーゼルを追加。シャランと共にVW製TDIを味わう

掲載 更新
フォルクワーゲン ゴルフに待望のディーゼルを追加。シャランと共にVW製TDIを味わう

Volkswagen Golf TDI / Sharan TDI

フォルクワーゲン ゴルフ TDI/シャラン TDI

フォルクワーゲン ゴルフに待望のディーゼルを追加。シャランと共にVW製TDIを味わう

待望の2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボ

長かったと思う。待ちわびたユーザーも多かったことだろう。ようやくフォルクスワーゲンが日本での禁を解き、彼らのアイデンティティであるゴルフにTDIをラインナップした。果たして排気量2.0リッターから最高出力150ps/最大トルク340Nmを発揮し、これを7速DSGで走らせるディーゼル・ゴルフの出来映えはどんなものだったのか?

ガソリンモデルのTSIと比較すると・・・

誤解を恐れずに言おう。これは今流行りのプレミアム・ユニットというよりは、地味で実直な実用エンジンである。少なくとも私はそう感じた。

つまり燃費(WLTCモード18.9km/L)以外の多くの点で、TSIの方が素晴らしいユニットだと思う。世の中の流れは、もはやガソリンエンジンがスピード時代の象徴かのように見ているフシすらあるけれど、よくできたガソリンエンジンのドライバビリティはディーゼルエンジンとは比べものにならない。特にその排気量が小さくなればなるほどに。

そしてフォルクスワーゲングループの作る4気筒直噴ターボユニットは、世界の4気筒ガソリンターボユニットの中でも出力や切れ味において突出した性能を持っていると思う。もちろんここには、アウディやポルシェのユニットも含まれる。

まずエンジン単体で見ても、TDIはアイドリング付近から3000rpmあたりといった常用領域で、ゴロゴロとした小さなバイブレーションを感じる。340Nm/1750~3250rpmという最大トルクは、その数値から期待するほどのパンチがない。ディーゼル・ゲート問題後にドイツで試乗したときよりもその過給圧は上がっているように思えるから、やっぱりあのときは自粛していたのかな・・・などと穿ってしまうのだが、それはひとまず置いておこう。

7速DSGと2.0TDIのマッチングはどうか?

率直に言ってしまえば、我々が期待するのはパサートやトゥーランに搭載される190ps/400Nm仕様の走りなのだと思う。ヒエラルキーや価格設定の問題もあるが、ゴルフにはその設定があっても良いと思う。

7速DSGとの連携も気になる。これはフォルクスワーゲンに限ったことではないのだが、2.0リッター以下のディーゼルターボはガソリンターボに比べダウンシフト時のレスポンスがおしなべて鈍い。ディーゼルというと低中速トルクのキック力ばかりに気を取られがちなのだが、変速レスポンスはさほど良くないのである。

そもそもDSGというトランスミッションは、カウンターシャフトを2軸に分けることで一方をスタンバイして変速レスポンスを高めるのが最大の利点。だからこそ、ディーゼルターボの鈍い回転レスポンスと組み合わせることに疑問を感じてしまう。むしろこうした性格には、自分でブリッピングをコントロールできるマニュアルトランスミッションの方が合っていると思う。

比較して際立つガソリンモデルの秀逸さ

ただし、こうしたレスポンスの鈍さには理由がある。まずそれは、ディーゼルユニット自体の特性だ。ロングストロークかつ燃焼速度の遅いディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べておっとり型である。なおかつシフトダウンに対してはエミッションコントロールが働く。むしろディーゼルは燃料の着火点が低いため、燃料さえ吹いてしまえばそのレスポンスはガソリンエンジンよりも鋭くできる。しかし吸入空気量を無視して燃料を吹けば、排気は煤(すす)を多く含んでしまうのだ。

もちろん、このフォルクスワーゲン製2.0リッターTDIは、排気再循環システムや微粒子捕集フィルター、そしてAdBlueインジェクター(尿素水溶液噴射システム)といった高価なシステムを備えている。それでもシフトダウンでは燃料を噴射してエンジン回転を上げることになるため吸入空気に対して燃料がリッチになり、レスポンスを上げることができない(自粛している)のではないかと私は思う。

シャシーとの相性でもTSIにやや軍配が上がる。タイヤはそれなりのプレミアムコンパウンドを履かせていたし、リヤサスペンションもこのハイライン・マイスターはマルチリンクになっているのだが、エンジン重量との関係かバネ下でばたつく感が強い。1.4TSIやGTIのまったりと心地良い乗り心地やリニアな操作性に比べると、少しばかり上質感に欠ける気がした。というよりも、ガソリンモデルのバランスがゴルフは整いすぎているのだ。

ヴァリアントのキャラクターに相応しいTDI

そういう意味ではステーションワゴンであるゴルフ・ヴァリアントの方がTDIのキャラクターには合っているように思える。荷物を満載するような状況なら前後の重量バランスも整うはずであり、長距離をハイアベレージで安定して走行するような状況にこそ、この穏やかなエンジン特性がマッチングするはずだ。

対して5ドアハッチのゴルフは、ガソリンエンジンの方がその良さが光る。特別仕様の「マイスター」を採用するTDIハイラインは391万円、この価格を支払うならばがんばってGTI(417.9万円~)を選ぶのもひとつの手。1.4TSI(140ps/250Nm)ユニットでマイスター仕様のTSIハイラインを選んでも、その価格は367万円~とリーズナブルである。プレミアムと言うには少し実直すぎる150psの2.0TDIは、マイスター仕様よりもコンフォートライン(323万円~)やハイライン(362万円~)で手に入れて、ロングライフに使い倒すのが理想である。

177ps版2.0リッターTDIを搭載するシャラン

さらにいえばシャランのようなミニバンにこそ、このTDIユニットの相性は抜群だと言えるだろう。とてもスライドドア付きとは思えない走安性の高さは、日本のミニバンとは全く違う安全優先の考え方。多少路面の具合で突き上げ感が高くなろうとも足まわりはしっかり固めてフラつきを抑えている。何より安全性を優先したそのコンセプトには、大いに共感が持てる。

こうしたシャシーに対しシャランTDIハイラインのエンジンは177ps/380Nmと、ガソリンエンジンを含むシャランシリーズでも一番パワフル&トルキーであり、その巨体を引っ張り上げるにはジャストな動力性能だと言える。ちなみにフォルクスワーゲン全体としては、パサートやティグアンに次ぐ高出力なディーゼルユニットとなる。

少し重ためのアクセルを踏み込むと、その低中速トルクを活かしてシャランTDIはそつなく走る。本当に、“そつない”という言葉がよく似合う。ゴルフTDIに対して40Nm高いトルクと6速DSGのギヤ比はマッチングが絶妙で、忙しなさも唐突さもなく、極めて平和にそのミニバンボディを走らせてくれる。そしてこれを床まで踏み込んでもパワー感は高くないのだが、エンジンは5000rpmのレッドゾーンまで根詰まり感なくきっちり回ってくれる。

働くクルマ的な操作感では知らせる楽しさがある

欲を言えばゴルフTDIと同様、このエンジンにももうひと個性やパンチがあると面白い。率直に言えばこの巨体にこそ、400Nmのグレードを設定して欲しい。そう思わされるのは、あまりにこの動力性能が平和なことと、日本の道路環境がストップ&ゴーを主体とした完全なトルク型だからだ。欧州のように高速巡航時のアベレージが高ければこのパワー&トルクでも不満はないのだが、どうしてもダッシュ力が欲しくなるのだと思う。

とはいえ“フォルクスワーゲンのミニバン”というキャラ設定に対して、この生真面目かつ実直な170ps仕様のエンジン特性は悪くない。ある種“働くクルマ”的な操作感をもって大ぶりなクルマを走らせる楽しさがシャランTDIにはある。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)

PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

【SPECIFICATIONS】

フォルクスワーゲン ゴルフ TDI コンフォートライン

ボディサイズ:全長4265 全幅1800 全高1480mm

ホイールベース:2635mm

トレッド:前1545 後1515mm

車両重量:1430kg

エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ

総排気量:1968cc

ボア×ストローク:81.0×95.5mm

最高出力:110kW(150ps)/3500-4000rpm

最大トルク:340Nm/1750-3000rpm

圧縮比:16.2

トランスミッション:7速DCT

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後4リンク

ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク

タイヤサイズ:前後205/55R16

燃料消費率(WLTC):18.9km/L

車両価格(消費税10%込):323万円

フォルクワーゲン シャラン TDI ハイライン

ボディサイズ:全長4855 全幅1910 全高1765mm

ホイールベース:2920mm

トレッド:前1555 後1605mm

車両重量:1900〈1930〉kg

エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ

総排気量:1968cc

ボア×ストローク:81.0×95.5mm

最高出力:130kW(177ps)/3500-4000rpm

最大トルク:380Nm/1750-3250rpm

圧縮比:15.8

トランスミッション:6速DCT

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後4リンク

ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク

タイヤサイズ:前後225/50R17

燃料消費率(WLTC):14.0km/L

車両価格(消費税10%込):529万6000円

※〈〉パノラマスライディングルーフ装着車

【問い合わせ】

フォルクワーゲン カスタマーセンター

TEL 0120-993-199

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ヤマハの電動アシスト自転車『PAS』、2025年モデル「11車種の特徴と違い」を比較チェック!
ヤマハの電動アシスト自転車『PAS』、2025年モデル「11車種の特徴と違い」を比較チェック!
レスポンス
BYD、佐賀県初の正規ディーラーをオープン
BYD、佐賀県初の正規ディーラーをオープン
レスポンス
どんな由来があるのか知ってる? バイクにまつわる専門用語
どんな由来があるのか知ってる? バイクにまつわる専門用語
バイクのニュース
モデリスタやば!! 新型アルファード専用エアロが鬼カッコいい件
モデリスタやば!! 新型アルファード専用エアロが鬼カッコいい件
ベストカーWeb
車のナンバー 謎の「2784」どんな意味? 読めたら「天才」! まるでパズルのような難解「語呂合わせナンバー」に込められた思いとは
車のナンバー 謎の「2784」どんな意味? 読めたら「天才」! まるでパズルのような難解「語呂合わせナンバー」に込められた思いとは
くるまのニュース
ホンダ青山ビル、建て替えで2025年5月に業務終了 新本社は2030年完成予定
ホンダ青山ビル、建て替えで2025年5月に業務終了 新本社は2030年完成予定
日刊自動車新聞
【TAS2025】スズキ 「SUZUKI BOOST GARAGE」をテーマに参考出品を含め7台を展示
【TAS2025】スズキ 「SUZUKI BOOST GARAGE」をテーマに参考出品を含め7台を展示
Auto Prove
トヨタ『MIRAI』が動力源の水素キッチンカー、汐留クリスマスマーケットに出店へ…12月21-22日
トヨタ『MIRAI』が動力源の水素キッチンカー、汐留クリスマスマーケットに出店へ…12月21-22日
レスポンス
ついに1000万円超えた、トヨタ『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEV…510万円からの入門車も
ついに1000万円超えた、トヨタ『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEV…510万円からの入門車も
レスポンス
とうとう1000万円超え!! 新型アルファード/ヴェルファイアが衝撃の姿に
とうとう1000万円超え!! 新型アルファード/ヴェルファイアが衝撃の姿に
ベストカーWeb
ホンダ新型「プレリュード」2025年登場へ! 新ハイブリッド搭載? 迫力エアロ仕様もあり!? 24年ぶり復活の「スペシャリティクーペ」どんなクルマになるのか
ホンダ新型「プレリュード」2025年登場へ! 新ハイブリッド搭載? 迫力エアロ仕様もあり!? 24年ぶり復活の「スペシャリティクーペ」どんなクルマになるのか
くるまのニュース
カワサキ「シェルパ」延期していた発売日が12月25日に決定
カワサキ「シェルパ」延期していた発売日が12月25日に決定
レスポンス
イギリスのマイナーメーカー「ヴォグゾール」の工場閉鎖で大騒ぎ! ムリなEV化の流れが生む社会不安
イギリスのマイナーメーカー「ヴォグゾール」の工場閉鎖で大騒ぎ! ムリなEV化の流れが生む社会不安
WEB CARTOP
【ホンダレーシング2024 シーズンフィナーレ・レポート】 日頃の応援に感謝を込めて、トップライダーがウェルカムプラザ青山に集結!
【ホンダレーシング2024 シーズンフィナーレ・レポート】 日頃の応援に感謝を込めて、トップライダーがウェルカムプラザ青山に集結!
モーサイ
【ニューモデル速報】新型「BMW M3」はM部門初のEVモデルになる可能性がある でもご心配なく 内燃機関モデルも併行して投入されます!
【ニューモデル速報】新型「BMW M3」はM部門初のEVモデルになる可能性がある でもご心配なく 内燃機関モデルも併行して投入されます!
AutoBild Japan
トヨタ『エスティマ』復活最新スクープ!…生まれ変わった天才タマゴに採用される技術とは
トヨタ『エスティマ』復活最新スクープ!…生まれ変わった天才タマゴに採用される技術とは
レスポンス
バイク女子が参加!初心者特化&数百円からのバイク教室「ベーシックライディングレッスン」で安心安全なバイクライフを
バイク女子が参加!初心者特化&数百円からのバイク教室「ベーシックライディングレッスン」で安心安全なバイクライフを
モーサイ
トヨタ「ノア」がまさかのSUV化!? 斬新すぎる“SUVミニバン”「アクティブ クロス」が使い勝手最高! どんなコンセプトカー?
トヨタ「ノア」がまさかのSUV化!? 斬新すぎる“SUVミニバン”「アクティブ クロス」が使い勝手最高! どんなコンセプトカー?
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

374.9549.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

40.8418.0万円

中古車を検索
シャランの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

374.9549.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

40.8418.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村