森や畑の廃棄物が由来のバイオ燃料
次の目的地は、グレートブリテン島を北上してスコットランドの首都、エディンバラ。ここからの道は、走りがいがある。FD型マツダRX-7の燃費は、一層悪くなるはず。給油のため、退避スペースでサステイン社のサポート車両を待つことに。
【画像】ロータリーターボでバイオ燃料を燃やす マツダRX-7で1500km RX-8とコスモ110Sも 全101枚
遠くないところに、巨大なステンレス製のサイロが見える。ベルトコンベアからこぼれたジャガイモが、地面で土へ還ろうとしている。
サスティン社のバイオ燃料は、第二次大戦時の合成ガソリンとは異なる。当時のドイツは、石炭由来の代替石油を生産していた。
現代の合成燃料、e-フュエルは再生可能エネルギーを利用し、水の電気分解で水素を抽出。大気中に含まれる二酸化炭素と合成した液体が、一般的といえる。だが、サステイン社の燃料はそれとも異なる。
森林からの廃棄物や、廃棄される野菜を原料に、炭化水素を合成している。もちろん、その炭素は植物が成長の過程で空気中から取り入れた成分だから、燃焼時のCO2増加は基本的にないと考えていい。
精製所で生産されるバイオ燃料は、オクタン価93のガソリンと変わらない。最終的には、英国で一般的なオクタン価95へ調整を受ける。
似た手法で作られるバイオエタノールとは異なり、ガソリンと同様にエンジンで使えるのが特長。クルマを改造する必要はなく、パワーの低下もないそうだ。
フラットなコーナリング ダイレクトなアクセル
科学の難しい話は、このくらいにしよう。最後の給油を終え、グレートブリテン島最北の小さな町、ジョン・オ・グローツまでは残り440kmほど。これまで以上に、カーブが連続する区間へ突入する。
ただしスコットランドの国道、A9号線は幹線道路で、速度取締用のカメラが点在している。RX-7の燃費は伸ばしやすいが、気は抜けない。
日が暮れて、手前のダンケルドという街で2泊目。燃料計の針は、残り75%位の位置を指している。
翌朝、ケアンゴームズ山脈付近に広がる、美しい景観を目指す。交通量は徐々に少なくなり、スコットランドの名所、ノースコースト500というドライブルートが始まる。遅い車両が見えたらシフトダウン。クルージング状態から、素早く追い越しを完了させる。
アスファルトは滑らかになり、RX-7の真価を確かめられるように。北東部のドーノック湾の付近は、道も景色も特に素晴らしい。幅の広い直線と、見通しの良いタイトなカーブが連続している。起伏も適度にある。
アクセルレスポンスはダイレクト。コーナリングはフラット。ステアリングホイールは適度に重く安定している。運転する喜びを、思い切り堪能する。
東岸を北上しつつ、走りへ夢中になっているうちに、ウィックの町へ。国の果て、といった雰囲気がそこはかと漂う。
純粋なスポーツカー 平均燃費はざっくり7.4km/L
傷んだアスファルトでも、RX-7はサスペンションがソフトすぎて底突きすることはない。ハードすぎて、グリップが途切れ途切れになることもない。しっかり路面へ追従し、筆者以上の高速でも、ジョン・オ・グローツを目指せそうだ。
とはいえ、理想的に快適なわけではない。舗装が荒れてくると、振動と騒音が絶え間なく続く。前方に見える凹凸を、避けずにはいられない。やむを得ず窪みを通過すると、思わず顔をしかめてしまう。
RX-7の個性は、少し掴みにくい。シートは本皮で、当時は贅沢装備といえたクルーズコントロールも備わり、高速安定性が高くグランドツアラー的といえる。平坦な路面では、特にそう感じられる。ロータリーエンジンのパワーデリバリーも丁寧だ。
他方、上質とは表現しにくい乗り心地は、グランドツアラー的ではないだろう。後輪駆動のマツダ車を担当し続け、最近引退した技術者の山本修弘氏は、可能な限り速く走ることへフォーカスした、純粋なスポーツカーだと主張していた。
RX-7のステアリングホイールを握ったら、軽く汗をかきながら、目前へ伸びる道へ挑戦するべきだろう。ポルシェ968 クラブスポーツが、最も個性が近いように思う。
ウィックから最終目的地まで路面は優れず、RX-7を穏やかに進めた。北海を望む岬へ到着するまでの平均燃費は、ざっくり7.4km/L。手動ポンプでの給油だったから、正確な数字ではないが、普通のガソリンを燃やすのと変わらない効率で走破できた。
自動車の特長を変えずに環境負荷を軽減する
もし石油由来のガソリンなら、ここまでに512kgのCO2を排出していた計算になる。英国のヒースロー空港からキプロス島まで、1人がエコノミークラスの飛行機で移動するのと同じくらいの量といえる。60インチの液晶テレビを、1台作るのとも同等だ。
しかし今回は、サスティン社のバイオ燃料だったから、実質92kg。とはいえ、クラシック・スーパー80の英国価格は、一般的なガソリンの3倍もする。
確かに、クラシックカーの走行時の環境負荷を減らす手段にはなり得る。だがエレクトロモッドと同様に、現実的に受け入れられるのは一部の富裕層に限られるだろう。
だいぶ昔のことだが、ガソリンも高価だった時代はあった。バイオ燃料の量産が進み、普及するほど、安価に転じていく可能性はある。エンジンで走る自動車本来の特長や魅力を変えることなく、環境負荷を大幅に軽減することは不可能ではない。
バッテリーEVの普及で、ガソリンの流通量は減っていくだろう。将来的にもロータリーエンジンのRX-7を運転でき、グレートブリテン島北端までドライブできるなら、サステイン社の取り組みを筆者は強く賛同したいと思った。
協力:マツダUK社、サステイン・フュエルズ社
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みんなのコメント
水素エンジンの急先鋒がロータリーと言われたこともある。
ずいぶん昔のサバンナやコスモの頃、変な油をごにょごにょやったとかやらなかったとか…
まさかマツダが「森や畑はゴミの山」だと言った、なんてことはないだろうな
『廃棄物』だというならバイオマス発電って「ゴミを燃やして電気を起こしている」ってことになるがな
そもそも“新”燃料じゃないんだよ、燃料の元が違うだけだ
『お勉強』してから出直して来いよ