レクサス「RX」の高性能モデル「RX500h“F SPORT Performance”」に、今尾直樹が試乗した。これまでのハイブリッドとは異なる走りとは?
軽やかさに驚く
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新型レクサスRX500h“F SPORT Performance”は飛ぶように走る。
これが筆者の第一印象だった。今年2月に袖ヶ浦フォレストレースウェイで開かれた、レクサスの電動車試乗会でのこと。主役は同ブランド初の100%BEV、「RZ」のプロトタイプで、プロトタイプゆえナンバーは付いておらず、サーキットでの試乗に限定されていた。一方のRX500h“F SPORT Performance”はナンバー付きで、サーキット周辺の一般道をチョイ乗りできた。
で、RZとおなじくらいたまげた。ハイブリッド(HEV)なのに、BEVみたいにモーター駆動で山道を走ったからだ。従来のレクサス=トヨタのハイブリッドとは別物の軽やかさで!
なぜならレクサスRX500h“F SPORT Performance”のハイブリッド・システムは、エンジン横置き用の電気モーターを2基搭載する高性能モデル用だからだ。おなじ500hでも、ご存じ「LS」、「LC」用はエンジン縦置きの3.5リッターV6+電気モーターで、システム最高出力は359ps。このうち、V6の最高出力は299ps、モーターは180psとなっている。
これに対してRX500h“F SPORT Performance”用は、国内では先に登場したトヨタ「クラウン・クロスオーバー」とおなじデュアルブーストハイブリッドを採用している。これは2.4リッター直4ターボエンジンと後輪eAxelを組み合わせた高性能モデルに開発されたHEVシステムで、しかもRX500h“F SPORT Performance”用はクラウン用よりパワー・アップしている。
数字を並べてみると、エンジンの最高出力はクラウンの272psから275psに、フロントのモーターは82.9psから87psに、リヤのモーターは80.2psから103psにそれぞれ微妙に増強されている。これらの集合となるシステム最高出力は349psから371psに引き上げられている。
ボディのしっかり感はLCを上まわっているように感じる新型RX500h“F SPORT Performance”で、今回は横浜から都心まで高速道路と市街地を中心にドライブしてみた。すると、意外や、いや、理屈で考えれば当然というべきか、RX500h“F SPORT Performance”はまた別の顔を見せた。
一般に、HEVはストップ&ゴーの多い街中ではモーターの出番が増え、高速巡航時には内燃機関の出番となる。そのほうが内燃機関とモーターの特性に合っていて、効率的だからである。RX500h“F SPORT Performance”もその例に漏れないようで、液晶のスクリーンに表示されるEV比率は、街中では30%だったのに、首都高速を走り始めたら12%にまで下がった。2.4リッター直4ターボがわりと頻繁に目覚め、目覚めてはまた寝る、ということを繰り返す。
それでいて違和感がないというか、ドライバーは気にならない。それはエンジンの始動と休止時にショックが皆無なことに加えて、アクティブ・ノイズ・コントロール/アクティブ・サウンド・コントロールなる音響システムが室内の雑音を打ち消すなど、いい仕事をしているからだと思われる。
もうひとつ印象的なのは、近年、レクサスのリリースで必ず使われる“LEXUS ならではの乗り味「Lexus Driving Signature」が目指しているのは、たぶん、こういうことなんだろうな……というイメージが、高速道路を走行中に浮かんできたことだ。
これは試乗した当日、レクサス「LC500h」から乗り換えたことも影響している。高性能ラグジュアリー・クーペのLC500hは前40、後ろ35の21インチという超薄型大径タイヤを装着しており、乗り心地はスポーツGTらしい、硬めのセッティングが施されている。
対してRX500h“F SPORT Performance”はもうちょっとラグジュアリー寄りの、ごくシンプルな用語で申し上げるとソフトなのだ。RXのタイヤも21インチという大径ながら、235/50とトレッドもさほど広くないし、扁平率も低くない。このことからも開発者の意向をくみとることができる。乗り心地に定評のあるミシュランを選んでもいる。
そもそもRXはLCより設計年次が新しい。その分、ボディのしっかり感はLCを上まわっているように感じる。ボディ剛性が高ければ、サスペンションをより動かすこともできる。だけど、とりわけ高速巡航中に細かい凸凹路面に出くわすと、両車とも微妙にウニウニと動きながら、車体をフラットに保とうとする。LCはストローク量が小さい。RXはもうちょっと大きい。という違いはあれど、足さばきの動きは共通している、ように思えたのだ。
さらに申し上げると、これまでのレクサスは、少なくとも先代のRXは、路面の細かい凸凹に対して、もうちょっと鈍感だった。いわば、鈍感であることによって、ボディをフラットに保っていたように思う。
新型は、路面の凸凹に対して、足まわりが正確に反応しようとしている。凸凹路面に対して細かくジャブを打つことによって、自分の身体を路面に対して並行にしようとしているように感じるのだ。
それでなにがいいのかというと、そういうサスペンションの動きをドライバーは感知することによって、路面状態を感じることができるのである。あ。いま、細かい凸凹のある路面を走っているのだ、と。
そのためにレクサスRXの開発陣は、GA-Kプラットフォームに手を加えている。具体的には重心高を先代比で15mm下げ、ホイールベースを60mm延長、トレッドを前15mm、後ろは45mmも広げている。2850mmのホイールベースは、同じGA-Kプラットフォームのクラウン・クロスオーバーとおなじだけれど、クラウンのトレッドは前1605/後1615mmで、RXより45/60mmもナロー……つまり新型レクサスRXはトヨタ・クラウンより前後トレッドが45/60mmもワイドなのだ。蛇足ながら、一般論として重心はより低く、トレッドはより広いほうが見た目も、運動性能もよくなる。
アメイジングが詰まった1台おまけにRX500h“F SPORT Performance”は可変ダンピングのAVS(Adaptive Variable Suspension system)を標準装備している。高速域で静かなのは、空力性能もさることながら、前述したアクティブ・ノイズ・コントロール/アクティブ・サウンド・コントロールなるお馴染みの音響システムを採用するなど、気をつかっているからでもある。
山道を飛ぶように走る。と冒頭に記したのは、前後の駆動力配分を100:0から20:80の間で制御し、レスポンスに優れるモーターが内燃機関をアシストするDIRECT4という4WDシステムによるところも大だろうし、後輪操舵のDRS(Dynamic Rear Steering)がスイスイ曲がる感を演出していたりもするからだろう。
そんなわけで、最新のレクサスボディのしっかり感はLCを上まわっているように感じるは、彼らが考えるレクサスの理想に向かって着々と進化している。
思えば、日本では「ハリアー」だった中型クロスオーバーSUVが海を渡って名前を変え、北米で大成功をおさめたのが初代レクサスRXで、発売は1998年だというから今年ではや四半世紀。かくも長きにわたって人気モデルであり続けているその舞台裏では、新しい技術へのチャレンジと工夫が積み重ねられているのだ。ものづくりにおいては、当たり前のことかもしれない。
しかして、その当たり前のこと、たとえば原稿の締め切りを守るというような当たり前のことさえできないのが世のなかというものである。リッパと申し上げるほかない。
そうそう。ホイールベースの延長による後席居住空間の拡大、エネルギーの回生をまったく意識させないブレーキ・フィーリングにもたまげた。新型RX500h“F SPORT Performance”にはアメイジングが詰まっている。
文・今尾直樹 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
偽物造りに力入れただけじゃん
全然コストかけてない
パワートレインもトヨタの使いまわし RAV4かクラウン 笑
大衆車寄せ集めお手軽自称プレミアムSUVは欧州では見向きもされませんね