現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【名車への道】’03 ルノー ルーテシア ルノースポール V6

ここから本文です

【名車への道】’03 ルノー ルーテシア ルノースポール V6

掲載 5
【名車への道】’03 ルノー ルーテシア ルノースポール V6

エンスーの心に刺さるデザインや性能、名車とは完成度の高さのみにあらず

——松本さん、ずっと探していた車がようやく見つかりました!

過去記事はこちら

松本 それは良かったけど、車はなに?

——クリオ V6(日本名 ルーテシア ルノー スポールV6)です!

松本 いいじゃない! 採算度外視で作ったモデルといえばこの車だよね。

——松本さん、そういう車好きですよね。

松本 そうだね。例えば、アウディ TTの初期型に2シーターモデルがあって、日本に少しだけ輸入されたんだ。そういう変わったスポーツモデルはやっぱりいいよね。

——ルノーってそういうモデルが得意なイメージがありますね。

松本 ルノーはすごいメーカーだよ! モータースポーツやスポーツモデルの開発には、宣伝費や広告費までも投入しているといわれているからね。そんなメーカーはルノーくらいなんじゃないかなぁ。

 ——R.S.とか、尖った車もありますもんね。

松本 印象深いのは1980年代の縦置きユニット、FFレイアウトのルノー 5(サンク)かな。そのデザインを継承しながら、ラリーで勝てるスーパースポーツカーを作るように当時の副社長が指示してね。そして出来上がったのが、小さなモンスター、ルノー 5 ターボなんだよ。

——伝説のマシン、まさにモンスターって感じですよね。

松本 ターボは縦置きのミッドシップターボでね、世界ラリー選手権に勝つために作られたホモロゲモデルなんだ。言うまでもないけど、デザインはベルトーネのチーフだったマルチェロ・ガンディーニ。これは有名な話だよね

——この企画には欠かせない巨匠ですね。

松本 リアが幅広くてかっこいいんだよこれが。ターボ2となって、結局1985年までに3000台ほど生産されたんだ。

——ルノーの歴史に欠かせない名車ですよね。

松本 個人的にはその5ターボの考え方の流れを継承しているルノーのスーパーモデルが、このクリオ V6だと思うんだよ。

 ——こちらの車両がそうですね。小さいけどやっぱり存在感がすごいですね。そもそもどういう車なんですか

松本 まず、1999年から2003年までルノースポールが作ったクリオ V6 Trophyという車があったんだよ。これはシーケンシャルトランスミッションでね。たしか当時、日本にも何台か輸入されていると思うよ。その1台をサーキットで走らせるというので、ツインリンクもてぎに行ってその走りを見たけど、オーバーステアが強くてドライバーは大変そうだったね。

——何台くらい作られたんですか?

松本 クリオ V6 Trophyは159台が生産されたんだけど、市販化ということで、ジャガーの耐久レースで一気に名を上げたTWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)がスウェーデンに生産ラインを作って量産化したんだ。TWRは日産 R360のル・マンカーも作ったところでね。レーシングカーや一品モノを作るノウハウはすごかったらしいんだけど量産は? って感じだったらしいんだよ。そこが作ったのがクリオ V6なんだ。

——なるほど、すごいところが作ってるんですね……。

松本 クリオ V6 の生産台数は1500台以上、実際には2000台前後ともいわれているんだ。設計だけど、今はアルピーヌの工場で有名なフランスのディエップだね。当時、このクリオ V6を写真で見て、まず1995年に作られたエスパスF1を思い出したんだよね。これは、元祖MPVというルノーエスパスの2代目の風貌に、ルノーのF1のエンジンをミッドシップにレイアウトして、4座のバケットシートを取り付けたモデルなんだ。このデザインを行ったのがクリオV6フェーズ1のデザインをしたアクセル・ブルーン氏なんだよ。

——なんか低くて長いミニバンみたいな車でしたよね?

松本 そうそう。彼はデザイナーだけど、エンジニアリングにも精通した人物なんだ。本人はアルピーヌA110に乗っていてね、コンパクトなミッドシップレイアウトが、スポーツカーの基本と思っていたんだ。当時、ルノー トゥインゴのホイールベースを見て、これはフェラーリ 308と5mmと違わないと、スポーツモデルのクリオ V6の設計を進めたんだ。これがクリオのルノースポール V6フェーズ1の原画となったんだよ。

——名車には偉人が関わっていることが多いですもんね。

松本 そうだね。彼は1980年代の伝説的なラリーカーであるルノー 5MAXIターボをオマージュして、1997年にスケッチを完成させたんだ。彼の構想と実際のクリオ V6が違ったのはドアだね。本当はランボルギーニ カウンタックやムルシエラゴのように跳ね上げ式にしたかったようだね。

——さすがにそれはできなかったのか……。ちょっと残念ですね。

松本 まあ、あくまで乗用車だからね。で、TWRが作ったクリオ V6はその後、フェーズ2へと進化したんだ。

——個人的には、フェーズ1がやっぱり好きだなぁ。

松本 そうだね。しかし、こんな採算の取れないスポーツモデルを量産したことに価値があると思んだ。デザイナーのコンセプトが忠実に再現されているクリオ V6 フェーズ1は性能ではフェーズ2に劣るけど、ジャジャ馬ぶりはエンスージアストにたまらない勲章だと思う。完成度が高いからといって名車になるとは限らないからね。

——もうこういう車は登場しないんでしょうね。

松本 そうだね……。コンセプトといい、エンスージアストの心にグッとくるデザインや性能を有する、クリオ V6 フェーズ1を所有してこそ、語ることができる話はいっぱいあるんだろうなぁ。ホント、こんなモデルはルノーしか作れないと思うよ。

 

ルノー ルーテシア ルノースポール V6

ルーテシアをベースに2シーター化、後席に3L V6エンジンを横置き搭載。ミッドシップレイアウトの後輪駆動としたハイパフォーマンスモデル。撮影車両は、2003年までTWRの工場で生産された前期型(フェーズ1)となる。 ルノー ルーテシア ルノースポール V6の中古車を探す▼検索条件ルノー ルーテシア ルノースポール V6× 全国※カーセンサーEDGE 2021年7月号(2021年6月24日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています文/松本英雄、写真/岡村昌宏

【取材協力】Coolman CarカーセンサーEDGE.netはこちら

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
AUTOSPORT web
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
AUTOSPORT web
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
AUTOCAR JAPAN
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
乗りものニュース
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
motorsport.com 日本版
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
AUTOSPORT web
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
AUTOSPORT web
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
AUTOSPORT web
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
くるまのニュース
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
AUTOSPORT web
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
AUTOCAR JAPAN
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
Auto Messe Web
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
AUTOSPORT web
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
VAGUE
【クルマら部】「ポルシェ911」クルマ愛クイズ!全4問・解答編
【クルマら部】「ポルシェ911」クルマ愛クイズ!全4問・解答編
レスポンス
昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
レスポンス

みんなのコメント

5件
  • めっちゃ欲しかった!
  • 以前所有してました。通勤で使うと他の車から写メ撮られたり、信号待ちで歩行者に話しかけられたり、ただ乗ってるだけでも楽しかった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

299.0384.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

28.0339.9万円

中古車を検索
ルーテシアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

299.0384.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

28.0339.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村