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今見ても斬新すぎる「いすゞピアッツァ」! 評論家に「もう一度乗りたい」と言わしめる「色褪せない魅力」とは

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今見ても斬新すぎる「いすゞピアッツァ」! 評論家に「もう一度乗りたい」と言わしめる「色褪せない魅力」とは

近未来の内外装が今見ても斬新!

 仕事とはいえ古いクルマのカタログを手元で開いて眺めていると心弾む。そのカタログのページを最初に開いた当時の“面持ち”が自然と蘇ってくるからだ。

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 いすゞ・ピアッツァ。もっと古いクルマ、昔のクルマもあるなかでクラシックカーと呼ぶにはいささか最近のクルマの部類ではあるが、それでもこのクルマの登場は今から40年前の1981年に遡る。

新時代のスペシャルティカーとして注目を浴びた

 奇しくもあの初代ソアラの登場も同年で、どちらも近未来的なデジタルメーターを採用(“日本初”は登場が3カ月早いソアラだった)。クラスやコンセプトは違ってはいたが、新時代のスペシャルティカーといった括りでどちらも自動車雑誌などでも取り上げられ、注目を集めた。 ところでこのピアッツァは、いすゞから突然変異的に登場したクルマではなかった。ピアッツァ登場時の広報資料をあたると、「117クーペ同様に、デザインはイタリアのカー・デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロ」とサラリと記されている。1968年に登場し結果的に13年のライフを全うした117クーペを前身にもち、しかも同じG・ジウジアーロのスタイリングを纏ったという、何とも贅沢で恵まれた星の下に生まれたのがピアッツァだったのである。

ジウジアーロのスタイリングを纏ったピアッツァ

 広報資料でもチラッと触れられているが、まず1979年のジュネーブショーにプロトタイプの“アッソ・ディ・フィオーリ(クラブのエース)”として登場。その後“いすゞX”として東京モーターショーに展示(展示車には“asso”のエンブレムがそのまま装着されていた)、1981年5月13日(発売は6月6日)、ピアッツァとして正式デビューを飾った。

 車名の“PIAZZA(広場)”には“1980年代の新しい車社会を先導する広場となるように”との意味が込められ、車名ロゴとその横の石畳を模したマークは、いずれもいすゞ社内のデザイナー(マークは女性)の手によるものだったという。なおボディサイズは、アッソの全長×全幅×全高、ホイールベースが4195×1620×1278mm、2405mmだったのに対し、ピアッツァは4310×1655×1300mm、2440mmと、ひとまわり大きかった。 さてピアッツァといえば、やはり1番の味わいどころはG・ジウジアーロが生み出した、当時としては時代の先を行く斬新なプロトタイプの内・外観デザインが、ほぼそのまま量産化された点だった。どうやら4ドア版も検討されモデルも存在した……らしかったが、もしも実現されていたら、同年代のG・ジウジアーロのショーモデルだったランチア・メデューサ(リヤエンジン)、オルカ(FF)のようなスタイリッシュな4ドアが生まれていたかどうか。

ショルダーラインに引かれたストライプでよりスタイリッシュに

 あらためてピアッツァの美の秘訣を検証しておくと、それは徹底したフラッシュサーフェスと整理されたパーティング(見切り線)によるものだった。フラッシュサーフェスのポイントはいかにボディとガラス面の段差を無くすかで、フロントガラスはボディ表面とガラスの間を樹脂モールで繋ぎ、断面で見たときの段差を小さくする手法を採用。

 同様にドアガラスもドア面と表面が揃うようにガラスを外に出し、位置決めするガイドシューを用いた構造をとっていた。パーティングラインは、ショルダーラインがボンネットやバックドアの見切りを兼ねるようにし、線の数を減らすことで、スッキリとした見栄えに。 ショルダーラインに引かれたストライプは2色(黒/赤、ネロは黒/ゴールド)だったが、この上方の“黒”の部分を巧みに使い、フェンダーに上から被さるように重なって閉じるエンジンフードの“影”をストライプの“黒”に見えるようにし、フロントフェンダーとドア以降とのラインが自然に繋がって見えるようにした工夫が盛り込まれていた。

デジタルメーターとサテライトスイッチがピアッツァの見せ場

 一方でインテリアでは、何といってもデジタルメーターとサテライトスイッチがピアッツァの見せ場。デジタルメーター(アナログメーターもあった)は前期型に対し、4ZC1型2Lターボが登場した’85年以降の後期型ではデザインを一新。

 一方でサテライトスイッチは下部のダイヤルを緩めて縦軸方向にハウジング全体のアングル調整が可能になっている。左右のハウジングにそれぞれ機能を振り分け、ウインカーも右側に2本の指で挟み上下にカチカチと操作する仕組みの“スイッチ”になっていた。

 ライト(右)、ワイパー(左)は一般的なレバー式のヘッド状のスイッチをハウジングの左右に突き出させて備えることで、デザインは斬新だが、実際の使い勝手も自然に扱える考えられたデザイン。ATのODオン/オフは、右側のハウジングの4角いボタンで切り替えるようになっていた。インパネのあちこちにスイッチ類が点在する多くのクルマに対し、とにかく操作性がいいし、見た目のデザインもスッキリとしていたのが特徴だった。

少し乾いたエンジン音を聞きながら十二分な加速も味わった

 何を隠そう(シリーズで恐縮だが)、筆者はネロのターボの所有経験があり、乗っている間、ピアッツァのスマートでユニークな世界観をたっぷりと満喫した。納車時に“Tカー”由来の古式豊かなシャーシ性能を勘案し、走行中のロール方向の揺れとロードノイズを少しでも抑えるべくタイヤをBSの最初のレグノ(GR−01)に指定するなどしたが(当時、ヤナセの担当セールス氏には、そんな我が侭を聞いていただけた)、ターボということで、少し乾いたエンジン音を聞きながら十二分な加速も味わったし、3段重ねのセンターコンソールに好みのカーコンポをインストール。グライコのカラフルなレベルインジケーターが踊るのを眺めて楽しんだりもした。 経年変化でグローブボックスのカドの部分の表皮がめくれてきたのが、記憶にある唯一のトラブルだったかもしれない。いずれにしても、今でも乗りたいか? と聞かれたら、ぜひ! と答えたい1台で、当時のピアッツァ・ファンなら同じ気持ちのはずだ。

 なおいすゞプラザ(神奈川県藤沢市)ではピアッツァ生誕40周年を記念し、プロトタイプのアッソ・ディ・フィオーリ(レストア車)の展示を実施中。 ただし緊急事態宣言の発出により臨時休館が続いているため、当初9月までだった公開期間を来年3月頃まで延長するとしている(予定は変更、早期終了の可能性もあり)。最新情報、詳細はいすゞプラザ(0466−41−5811)にご確認いただきたい。

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みんなのコメント

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  • デザインはともかく乗れば単なる旧車だぞ。
    眺めて思い出に浸るくらいで丁度いい。
  • あの時代にこのデザインはかなりぶっ飛んでいた。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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