交通違反に関する行政処分のなかで、最も重い処分に当たる免許の取り消し。前歴のない状態で違反点数が15点累積すると取り消し処分となってしまうのだが、違反点数が重なって累積してしまう場合もあれば、一発で免許取り消しとなる違反行為もある。
たとえ軽微な違反でも、繰り返してしまえば気づいた時には点数が累積し、「え、まじ! 免許取り消し!?」などといった事態に陥ることも考えられる。今回は、決して甘くみてはいけない、免許取り消し処分について解説していこう。
意外とあっさり免許はなくなる! 免許取り消しは他人事じゃありません
文/中村秋子、写真/写真AC
免許取り消し処分後はすぐに免許を再取得することは不可!
よく聞く“免停”と、免許取り消しは別もの。交通違反となる原因が発生した日から3年前までの違反点数の累積が6点以上で免許停止、15点以上で免許取り消しとなる。
免許停止の場合には一定の期間が経過すれば免許の効力は回復するが、取り消しの場合には再取得する必要がある。しかもすぐには再取得できず、取り消しとなってから再取得可能になるまでには一定の期間をおかなくてはならない。この期間のことを欠落期間という。
欠落期間は1~10年で、その年数は過去3年以内に免許停止や取り消しになったことがあるかといった前歴や、累積した点数、違反行為の内容などをもとにして決定される。
違反行為には一般違反行為と特定違反行為があり、一般違反行為にあたるのは信号無視や放置駐車、無免許・仮免・酒気帯びでの運転、速度超過、妨害運転など。特定違反行為には、酒酔い運転やひき逃げなどの運転殺傷や危険運転致死などが該当する。それぞれ欠落期間は一般違反行為で1~5年、特定違反行為では3~10年とされる。また、前歴が多ければ多いほど欠落期間は長くなる。
違反点数はあっという間にたまってしまう!!
酒酔い運転は、前歴や累積点数の有無にかかわらず一発免許取り消し! 前歴、その他の累積点数がなくても欠格期間は3年と長い。飲酒運転は、極めて悪質で危険な犯罪とみなされているのだ
違反行為に対する主な違反点数は以下の通り。例えば、前歴なしで信号無視を3回すれば6点となり免許停止、さらに速度超過12点が加わった場合には、累計18点となり、免許取り消しとなる。違反点数が小さいからといって油断をしていると、意外とあっさり免許停止→免許取り消しとなってしまうことがわかると思う。
※いずれも前歴なしの場合
酒酔い運転…35点
麻薬等運転…35点
妨害運転(著しい交通の危険)…35点
無免許運転…25点
酒気帯び運転(呼気1リッターあたり0.25mg以上)…25点
酒気帯び運転(呼気1リッターあたり0.15以上0.25未満)…13点
速度超過…超過の程度によって1~12点
信号無視…2点
駐停車違反…1~2点
整備不良…1~2点
携帯電話使用等(交通の危険)…6点
携帯電話使用等(保持)…3点
座席ベルト装着義務違反…1点
無灯火…1点
など
また、事故を起こしてしまった場合には上記点数に加え、負傷者の怪我の程度や違反者の責任の程度によって付加点数がつけられる。例えば、信号無視により傷害事故を起こし負傷者の治療に要する期間が3月以上または後遺障害が残る場合には、信号無視による点数が2点、付加点数が13点で、合計15点となる。その他、行政処分を受ければ民事上・刑事上の責任から逃れられるわけではないので注意が必要だ。付加点数については、警視庁のホームページが参考になる。
交通事故の付加点数
交通違反以外にも、免許取り消しとなる理由もある
違反行為ばかりが免許取り消しの対象となるわけではない。運転に支障を及ぼす恐れのある一定の病気や障害があると判明した場合にも、免許取り消しの処分は下される。
例えば、統合失調症などの精神疾患や無自覚性の低血糖、てんかん、認知症、アルコールや麻薬中毒、失明などがそれに該当する。ただし、症状が回復した場合には免許の再取得が認められ、取り消し日から3年以内であれば、学科試験と技能試験が免除される。
免許取り消しになったらどのような手続きを踏むのか?
欠格期間が終わったとしても、講習を受けた後に指定の自動車教習所に通うか、一発試験を受けなくてはならない。と、再取得までの道は険しい
免許取り消しの対象となる事故や違反が発生すると、そこから2週間ほどで「意見の聴取通知書」が届き、各都道府県の公安委員会によって「意見の聴取」手続きが行われる。これは免許取り消しの処分が適正であるかどうかを判断するために当事者から意見を聞く手続きで、欠席をすることもできるが、きちんと状況を説明することができれば処分が軽減される可能性もあるので、出席したほうがいいと言われる。
取り消し処分が確定した場合には、「運転免許取消処分書」が発行され、このタイミングから欠落期間に入る。その後、再取得には「取消処分者講習」を予約し、参加することが必須となる。講習では運転適性検査の実施と指導、自動車等による運転の適性診断と指導、プロジェクターを使用した講義などが行われる。また、参加には運転免許取消処分書と、3万550円の講習手数料が必要だ。
講習を受けた後は免許の再取得が可能となるわけだが、そのためには一発試験を受けるか、あるいは指定自動車教習所に通うかのいずれかを選ぶ。一発試験の場合には直接運転免許試験場で学科試験と技能試験を受験するのだが、教習所に通わない分、費用は安く済むものの、試験場の道路をルールに沿ってぶっつけ本番で運転するわけなので、なかなかの難関であることは覚悟しておこう。
また、再取得は取消処分者講習を受けてから1年以内という決まりもあるので注意が必要だ。
とにもかくにも安全第一!
以上の通り、一度免許が取り消しとなると運転ができない期間が最低でも1年以上設けられ、免許も再取得する必要がある。事故の場合には行政処分に加えて民事上・刑事上の責任も問われ、勾留や逮捕、懲役、罰金などの処分も下される。
いつの間にか点数が累積してしまった!? なんてことにならないように、安全運転を心がけよう。
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みんなのコメント
最近も都議会議員でいたよね。
免許を持ってるって事と、現実クルマを運転してる事とは何の関係もない。
あなたの前後を走っているドライバーが、免許を持っているとは限らないのです。
事故るか捕まるかして、初めて免許の有無がわかる